ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ [Kindle]
- 東洋経済新報社 (2014年11月13日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (266ページ)
感想・レビュー・書評
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議論を適切にファシリテートするには、そのための「仕込み」が必要だ。
これは結論をファシリテーターが決めておくということではない。
仕込むべきなのは、「議論すべきこと」。
何を議論すべきかをあらかじめファシリテーターの方で掴んでおき、そこに向かって参加者の思考を誘導していく。
なぜか?
議論終了後に、その決定内容が熱量高く実行されるためには、過程が重要だからだ。
参加者を意思決定に関与させ、それに納得してもらう必要がある。
結論だけ用意しても駄目なのだ。
正しい結論を出すことではなく、その後正しく実行されるようにすること。
ここまでがファシリテーターの役割である。
そしてそのためには、ファシリテーターは誰よりも、テーマについて深く知っておかなければならない。
本書はファシリテートの技術について、特に「議論の仕込み」について書かれた本である。
「議論すべきことに向けて誘導していく」という発想はなかったので、色々参考になった。
ただこの本、とても長いという欠点がある。
タイトルは「ファシリテーションの教科書」だが、悪い意味で『教科書的』なのだ。
全体を網羅しようとして、かつそれぞれを均等に細かく書くものだから、全体的に冗長になってしまっている。
もっと要点を絞って、価値の薄い部分はバッサリ切ってほしかった。
また各章冒頭で出てくるたとえ話も、いちいち長い。
この本の全部を頭に入れるのは難しく、そういう意味で「あまり役に立たない」本となってしまった。
そこが残念である。
(長けりゃいいってもんじゃないぞ、である)
内容自体は良いと思うので、要約本の登場を望む。詳細をみるコメント0件をすべて表示