儚い羊たちの祝宴(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 個人的米澤穂信フェア開催中♫
    これも面白かった。

    夢想家のお嬢様たちが集う大学の読書サークル〈バベルの会〉。
    バベルの会に関わる5つの事件。
    どんな読書会なのかは実際に参加してる場面は描かれない。
    5つの物語にほんの少し〈バベルの会〉が文字だけで登場するのみ。

    お嬢様たちの生活や悩み、同じ年ごろの使用人がいて、敷地も広いお屋敷にお住まいで、なんとも庶民の生活からかけ離れた世界を描いてます。
    いったい時代背景はいつ頃の感じだろうか。
    1960年代くらいかな。


    それが一変しておどろおどろしい結末へと向かう。
    どの話も清々しさとか全然無し。
    現実感とはほど遠い。
    軟禁されてしまう物語が一番辛いかも。

  • お屋敷と名家と使用人がテーマの味わい深い短編集5作。
    「身内に不幸がありまして」
    「北の館の罪人」
    「山荘秘聞」
    「玉野五十鈴の誉れ」
    「儚い羊たちの晩餐」
    個人的には「儚い羊たちの晩餐」が一番好き。
    厨娘としてお屋敷で雇われた夏は珍味を用いた絶品の料理を提供するが、そのたびにあり得ない量の食材を注文する。何でも調理できる彼女にアミルスタン羊を振る舞うようマリエは指示するが、このアミルスタン羊とは「人間」の隠語。そしてこのアミルスタン羊の狩り場として、彼女を拒絶した「バベルの会」の合宿場を指定する。誰を殺してくるかなと待っている間に、厨娘の本当の仕事を知る。厨娘とは、食材のごく一部のみ使用し、残りをすべて捨ててしまうことで贅沢を演出する職業のこと。ということは、殺されるのは一人ではない、、、というゾクッとするお話。

  • うーん
    これもまた途中からわけわからんくなってしまった、、
    ボトルネックもそうだったけど言い回しが独特なのかな、、?あんまりハマらん笑

    ただインシテミルは読みやすく安かった気がする。

  • 現実に向き合うのに物語の力などいささかも必要としないあなたの輝きは、わたしたちの暗所にあってはならない。夢想家がひととき夢に浸る場所に実際家が闖入すれば、引け目を感じるのは常に夢想家の方なのです。それを、あなたはわかっていなかった。(p.290)

    このセリフがすごく残った。小説?物語の意義はバベルの会にとっては、生き甲斐のように大切で、互いをこの会に縛るものだ。けれども名前が暗示するように、バベルの会は各々が薄暗いものを抱きながら体裁を保とうと嘘を積み重ねて成立していたからこそ、結局は崩壊する。

    この本では、バベルの会に集う富裕層のお嬢様や子息たちに不幸が降りかかるけど、なんだか苦労知らずのぼんぼんは不幸になればいいみたいな作者の当てつけを感じたな。

    でもだからこそ、このセリフは登場人物の本音というか素が出ていて良かった。この本の文脈を離れて文章単体としてもわかるし。

    (自分にも暗い感情があるからこそ、私は小説が好きなのだと思う。だから話を合わせるために、うっすら苦手な人とかなんか別目的があって仲良くしようと近づいてきた人にわかる〜!私も小説好き!佐●よるとか!って言われたら嫌だから)

  • 非常に面白い。品のある文体と謎が趣のある古めかしさと怪しさを放っていて、結末の部分は旋律と戦慄という贅沢な終わり方で、ゾクゾクした。とても好みな作品。

  • おもしろかったけど、期待しすぎていたかも。もっと気軽に読んでいたらもっと楽しめていただろうな。

  • 5つの短編からなる短編集。
    それぞれの短編は独立した話ですが、夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」の存在だけが共通しています。
    いずれも物語の舞台は名家で、登場人物も上流階級の人々と彼らに仕える人々といった感じで、浮世離れしているせいか全く感情移入しないで読みました。
    どの話も残酷で読後も良くないだけに、感情移入せずに読めたおかげで傍観者のように面白く読めたのかなと思いました。

  • 豪華なお屋敷、お上品なお嬢様、従順な召使の方々。
    どことなく、昔観た昭和の昼ドラマの雰囲気を思い出してしまって
    懐かしくもわくわく?してしまった。。
    「バベルの会」。なんて痺れるネーミング。

    現実とかけ離れた、おとぎ話のような世界で、話としては読みやすかった。
    でも、真っ黒で残酷。
    読み進めるたびに、じわじわと、うすら寒くなっていく感じ。
    「玉野五十鈴の誉れ」がお気にいりです。

    米沢穂信さんの小説を読んだのは2作目。
    他の作品も読んでみようと思います。

  • 一昔前の名家に関係していること、読書会「バベルの会」のみが共通点の5つの物語。静粛で厳かな雰囲気が全編を通して流れており、ひとつの長編を読んだ感じがします。すべて読み終わったときに、「あぁ」と各タイトルの意味を納得。好きです。こういうの。どれもこれも、語り手の女性の覗いてはいけない影の部分を見てしまったときの衝撃が大きい。名家に生まれた/仕えた人達の抑圧された思いは計り知れないほど心の闇に深く根付いていて、自分でどう処理していくか、もしくはその闇に押しつぶされてしまうのか、そういったことがとても巧みに物語に組み込まれていて圧倒されました。今までの小市民や古典部シリーズとは全く違った印象ですね。

  • 短編を1日にひとつずつ読んでいきました。 「お金持ちのお嬢様とバベルの会という読書会」にまつわる5編ですが、まずその世界観が好み。 ミステリーだけど読みやすく、予想しやすさはあるけれど、ラストでああなるほどー!となるくだりが毎回心地よかった。どれもよかったけど、「玉野五十鈴の誉れ」が特に好き。

著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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