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感想・レビュー・書評
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三束さんの魅力はなんだろう。
物静かで物理を教えていて、多くを語らないようでいて、光を語る。
光についてあまり考えたことはなかったかもしれない。
でも言われてみると
111頁
たとえば宇宙空間みたいに何もない場所だと、光をうけるものが何もありませんから、仮に目の前を光線が走ったとしてもそれが人の目にみえることはないんです。
なんと。
確かにそう。
これは光のことだけを言っているのだろうか、
受け取る人がいなければ輝くことはできない。
そんな簡単なことではない?
「センセイの鞄/川上弘美」を思い出しました。
共通点があって面白いです。
ショパンの子守歌が出てきました。
1つ前に読んだ、「~34のリスト」。
目標として、この曲は暗譜したい。これとカプースチンPastoral。もう少しで覚えられそうだけれど、難航難航。しかしなぜにみなさん覚えられるのでしょう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【どうして真夜中には光しかないの】
34歳フリー校閲者
友人も彼氏もなく
ひっそりと生きている冬子は
誕生日(12/24)の真夜中に
ふと1人で散歩に出た
夜の光だけが密かに祝ってくれた
酒、仕事、友人、恋、嘘…
こんなに美しくて悲しい物語を
私は他に知らない -
川上未映子、初めて読んだんだけど、なんかすごく衝撃的だった。引き込まれたし、嫌いとかじゃなくてたぶん好きなんだけど、読んでるあいだがすごく苦しかった。いつもこういう感じの作品なんだろうか。苦しい。。。
主人公の気持ちはよくわかって、わたしも人とうまくつき合えないタイプだし、なにが楽しくて生きてるのかわからないし、そう言いつつ自分からは動かなくて、ただぼんやり生きてるし、だけど、実際に主人公みたいな人がいたら苦しすぎるだろうというか、いるのかもしれないけど、すごく稀なのでは、と思った。アルコール依存もあるし、精神科にかかってもいいレベルでは、と。つまり、主人公がちょっと極端な感じで、もうちょっと普通ぽい感じでもいいのにな、と。なんだかいろいろ「狂気」がにじんでるようで。もらった服を上から下まで身につけるところとか、いろいろ、なんだか恐怖に感じるレベルで。わたしだけかなあ。
ほかの登場人物、彼女が好きになる男性も、仕事を通じて友人ぽくなる人も、その人の悪口を伝えてくる人も、なんかみんな、まあそういう人はいると思えるけれど極端な感じというか。
あと、不快な描写がすごくて、酔って吐くところとか、高校時代に無理やりセックスされるところとか、暑い、とか、描写にもやっぱり狂気がにじむようで、なんだか読んだことがトラウマになりそうなほどだった。。。
読んでいて、絶対にものすごく悪いことが起きそう、という憂鬱な気分になるような。。。
もちろん、その逆にとても美しい描写も多いんだけど、それもわたしの好みからすると、美しすぎて、濃厚すぎて、こわくなる、というか。
川上さんの経歴見て、詩人で、ミュージシャンというから、まあなるほどな、というか。詩人ぽい。
しかし、予想を裏切って、ラストが穏やかでとてもほっとした。読んでて苦しかったぶん、救われる思い、というか。友人ぽい人ととてもいい感じに思いを伝えあって友達になれるし、男性ともいわゆるハッピーエンドではないけれども、これでよかった、というようなラストで。これからの希望を感じさせる。主人公はきっともっとうまく生きていけるようになれそうで。。。
批判ばっかり書いたみたいだけど、なんだか衝撃的だっただけで、この著者の本はもっと読んでみたいと思っている。 -
どうしたらここまで拗らせられるのかと思うほど不器用に生きている冬子。自分の意志や考えをはっきり持たず、流されるままに生きている。
そんな冬子は周りの人からキツイ言葉を浴びせられることもある。特にショックだったのは、長らく会っていなかった友人が自分の近況を思う存分話した最後に、「もう冬子は自分の人生の登場人物じゃないから何でも話せる」という言葉。これは自分だったらかなり堪える。
そんな30代半ばの冬子が初めて、自分の話をしたいと思った初恋相手。言葉を噛み締め、2人の間に流れる静かで穏やかな時間は初々しくもあり大人の楽しみ方でもあるようで良かった。
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いつどこで読んでも必ず眠くなってしまって全然進まず、途中で断念しました…。私とは合わなかったかもです。
ただ、詩的な表現がとても素敵な作家さんでした。 -
なんだかとても好きな本。
なにが好きか考えてもよくわからない。川上未映子の描写が好きなのかも。
恋かなにかわからないけど、とても必要な存在に出会って、でもすごく薄いつながりで、どうしようもなくて。このおぼれていく感じや苦しい感じが、本人はきつそうだけど、こういう文体で表現されるとすごく美しい。生きている感じがして。
二人の会話も凄く素敵。
こういう会話はこの二人だけのもので、この二人でしかできないものなんだろうな。
痛々しくも物凄く美しい文体だと思う。 -
この物語の主人公は実存的な人間ではないし、周りの人間が実存的で、その人々が自分がどれだけ実存的であるかを語り、認めてもらいたくて、スポンジのようにその価値を吸収してくれる主人公に近寄ってきている。
この主人公は他人の意見を吸収はしているが、染まってはおらず、それって依存ではないけれども変化を求めているわけでもないのだよな、これって実存的なのか?と考えさせられる