ノスタルジア [DVD]

監督 : アンドレイ・タルコフスキー 
出演 : オレーグ・ヤンコフスキー  エルランド・ヨセフソン  ドミツィアナ・ジョルダーノ 
  • KADOKAWA / 角川書店
3.62
  • (9)
  • (8)
  • (7)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 86
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111247599

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 1983年イタリア・ソ連合作映画。監督はアンドレイ・タルコフスキー。
    主演はオレーグ・ヤンコフスキー。それに、エルランド・ヨセフソンにドミツィアナ・ジョルダーノ。

    詩人で伝記作家の主人公は、女性通訳とともにイタリアのとある温泉保養地にやってきた。そこで、かつて世界を救済すると称して家族とともに7年間自宅に籠っていた老人男性と出会った主人公は、彼の話に耳を傾ける。自らの原点回帰とともに・・・。

    この作品は一個の映像芸術である。どのシーンを切り取ってみても、絵画的な美しさに魅了されずにはいられない。まさに完璧な構図を練りに練られて撮影されたに違いない。どのシーンも極めて長いワンシーンとなっていて、これだけの構図を維持しながら、長回しのシーンを撮影するとは、俳優もスタッフも並大抵な努力ではなかったことだろう。一つ状況が異なれば、あっという間に構図は崩れてしまう。そんな鋭い緊張感の中にこの作品はあると言って良いだろう。
    そこに繰り広げられるモノクロとカラー映像の交錯。主人公の原点回帰的なモノクロシーンに加えて、主人公の心情が常にモノクロとカラーを行き来するイメージとなっている。最後に「母に捧げる」とあったので、まさに監督自身の原点回帰な「郷愁」であったのだろう。そんな監督自身の心の揺れ動きを感じさせる作品でもあった。
    そして、BGMとセリフも、そんな映像に完璧に絡まるように構成されており、全体として終始、重厚かつ詩的なテイストを醸し出している。始終流れている水の音、電気のこぎり(?)の音といったものも観客の感性に直接訴えかけているかのようである。
    これはシーンのその瞬間瞬間を楽しむ映画だと言い切ってもよいだろう。
    はっきり言えば、ストーリーはあって無きがごとくで、状況の説明も何もなく、観客が個々人で堪能すればよい仕組みとなっているのだが、ラストのろうそくのシーンではとてもハラハラした。余計なこともいろいろと考えながら・・・。(笑)
    大スクリーンでただただ流れていく詩的な映像と音楽と俳優の演技を楽しみたい映画。

    • mkt99さん
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!

      そう、ストーリー性は実は大したことがなく、ただただ流れるような...
      lacuoさん、こんにちわ。
      コメントいただきありがとうございます!

      そう、ストーリー性は実は大したことがなく、ただただ流れるような映像美を楽しむための映画だったと思います。
      しかし、この映像は考え尽くされた構図と細やかな技巧と根気のいる実践があって初めて実現したものだと思え、ただただ感心するばかりでした。
      あまりにも洗練された美が連続し過ぎていたため、途中でちょっと眠たくもなったかな。(笑)
      2015/05/04
    • 佐藤史緒さん
      mkt99さん、おじゃましまあす。
      タルコフスキー監督って惑星ソラリスのひとでしょうか?
      mkt99さんのレビューをみてこの映画凄く観た...
      mkt99さん、おじゃましまあす。
      タルコフスキー監督って惑星ソラリスのひとでしょうか?
      mkt99さんのレビューをみてこの映画凄く観たくなりました!
      2015/05/05
    • mkt99さん
      佐藤史緒さん、いらっしゃいませ~!
      どうぞ!どうぞ!(笑)

      そう、『惑星ソラリス』の彼ですね。

      この映画は本当に絵画的な美しさ...
      佐藤史緒さん、いらっしゃいませ~!
      どうぞ!どうぞ!(笑)

      そう、『惑星ソラリス』の彼ですね。

      この映画は本当に絵画的な美しさに満ち溢れていて、あまりにも心地良いので、自分はちょっと眠たくなってしまいました。(笑)
      本当は、大スクリーンで観ると映えるのですけどね!
      2015/05/05
  • 1983年 伊・ソ連 126分 「NOSTALGHIA」
    監督アンドレイ・タルコフスキー

    NOTE記録
    https://note.com/nabechoo/n/ndd7efa5de30b

    とにかく、圧倒的映像美!(ていうのかな)、惚れ惚れする~(そして字幕を見逃す)。印象強いシーンが多い!こんなにときめきの多い作品はそうないんじゃ?

    内容は読み取りにくかったけど、解説見たら、そう難しいものじゃなさそうだし(真意は分からんけど)大方はね。芸術的ではあるけども、まったく分からないというものではないと思う。いい塩梅。

    「1滴に1滴を足すと大きな一滴だ。2滴にならない」ドメニコ

    これは水の性質の一つだけど、ふと、個人的な死後の世界のイメージと重なった。なんだかそんな感じがしてた。一になる。戻る。根。混ざり合い、同化。他との境はなくなり、すべてが一つの世界。

    そんなイメージを持ちつつ、この作品見てると、けっこうしっくりしてくる感じがする。(と思うが…)「故郷」は、その辺の意味合いもあったりするんじゃないかなと、勝手な妄想を広げる。

    タルコさんが、「水」を多用するのが分かってきたような(分からないような)原初的イメージを彷彿させるし、人間・生命には、やはり深い部分でのつながりがあるもんなんだろーなと、思ったりして。

著者プロフィール

アンドレイ・タルコフスキー(Andrej Tarkovskij):1932-86年。ソヴィエト・ロシアの映画監督。ショットの中を流れる時間とそれを表現するリズムに注目し、独自の映像を創出。1984年に亡命。作品に『惑星ソラリス』『鏡』『ノスタルジア』など。映画は人間存在の精神的実在に迫れると確信しながら、映像を文明批評の水準に高めた。86年パリで客死。『サクリファイス』が遺作となる。

「2022年 『映像のポエジア 刻印された時間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×