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- / ISBN・EAN: 4959241756909
感想・レビュー・書評
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夏の間、北海道の海辺の村に住む大岩夫妻の元で暮らすことになった12歳の少女・杏奈。
彼女はある日、誰も住んでいないはずの湿っ地屋敷で、金髪の少女マーニーと出会う。
悲しみを抱えたようなマーニーと心を通わすようになった杏奈は、彼女とともに不思議な体験をするようになり、次第に深い絆で結ばれていく。
イギリス人作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学を、スタジオジブリが舞台を北海道に移してアニメ映画化したファンタジー。監督は『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌。
今回の主人公・杏奈は、幼少期のあることが原因で、「この世には魔法の輪がある。私は輪の外の人間。私は自分が嫌い」と思って、人と上手く関われない悩みを抱えながら生きているので、似たり寄ったりな思春期を過ごしてきた自分には、周りの人間がおせっかいをやいたり心配することや無神経に自分に立ち入ってくる態度に反発してしまうハリネズミのジレンマにかかっている主人公のモノローグや行動に共感しまくりました。
謎めいた美少女マーニーと絆を深めていく中で、杏奈が上手く人間関係を結べない原因やマーニーと杏奈との関係やマーニーの正体の謎に向き合って解き明かしていく中で、杏奈が少しずつ成長していく展開がリリカルな青春ミステリータッチで描かれていて、じんわり温かくなります。
いわゆる女性の世代を超えた絆が描かれているので、女性のほうが、より感動すると思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「思い出は奥底から」
自分の事が大嫌いの時が若い頃にありました
高校を出て仕事をし始め、酒を覚えて体たらくな日々を暮らしていた頃です
未来のことも考えず、毎日のように酔っ払い飲みに行くことが1番楽しかった頃、酔って家に帰り姿見の前に座り込みじっと自分を見つめていた時に
「お前、誰だ? お前、毎日ないやってんだよ」
と自分の姿に話しかけていた頃がいちばん楽しい頃だったけどいちばん自分が嫌いだった頃だったな
将来の不安から目を逸らして酒に逃げて酔えば楽しくてどんどん飲んでいた頃だったな
杏奈のようにその思いから救われるような劇的な事はなかったけど、今は自分を好きになりかけています
彼女の「思い出」がこの物語そのものなのでしょうね
周りにいる人たちの優しさに気がつくことができるまでのストーリー
この先、何度もこの地を訪れるのでしょうね
かなり前にこの作品を見ているはずなのにその時はあまり心に響かなかったけど、今なら分かります
もっと若い頃にわかっていたら…
でも、遅くない、今だっていいではないか
気がつけただけで、それだけで幸せな気持ちになれました
そんな事をおの頃とは違う飲み方をしながら見ていました(やっぱ飲んでんじゃん)
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あまり話題にならなかったので、おもしろくないのかと思いきや、ジブリらしくないというだけで、泣けた。思春期のドロドロした行き場のない感情を見事に表しているし、マーニの正体にも満足。
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劇場上映中に観たのですが、初めて、映画館でウルッとしてしまいました。
孤独な少女・杏奈が、自分を支える「家族」の優しさに気づき、療養先で出会った少女たちと「不思議な友情」で結ばれていくという心温まるお話です。
劇中の音楽も耳心地が良く、癒されます。
お気に入りすぎて、映画館で観たのに、DVDも買ってしまいました! -
「わたしたちのことは秘密よ、永久に」
両親に捨てられたと思い、心を閉ざした少女・杏奈の前に現れたのは、湿地帯に建てられた洋館の青い窓に閉じ込められた金髪の少女・マーニーだった。
杏奈の身に次々と起こる不思議な出来事。
時を越えた舞踏会。告白の森。崖の上のサイロの夜。
隣の芝生は青い。
けれども意外に見えていない自分のこと。
自分は不幸な星のもとに生まれてきた。
そう思うのは個人の勝手でしょう。
しかし、その後の人生が幸福なものになるのか、不幸なものになるのかも、他人ではない、自分自身の心がけ次第。
これからを生きる少女がそのことに気づき、成長していく物語。 -
2014年
20230213 原作読了
杏奈 高月彩良さん
マーニー 有村架純さん
物語も声優もとても好きな作品だ
イギリスのノーフォークを、日本の北海道に舞台を変え、主人公のアンナも日本人としている
終り方は原作と違うが、米林監督の脚本の方が良かったし、現代風に上手にアレンジした -
本作は、主人公杏奈の成長と、それを見守る人々のファンタジー映画だ。
本作の特徴として、他ジブリ作品と比べて内省的な内容となっている。
具体的には、
①ジブリの主人公は自己主張ははっきりする傾向が強いが、本作の主人公杏奈は周囲との人間関係に消極的で閉じこもりがち。主人公が接触するキャラクターの少なさからもそれが分かる。
②''冒険''の規模がジブリの他の作品に比べて小さい。世界を変えるような事件は起こらない。
といった点。そういった意味では派手さはないのかもしれない。しかしその分、思春期の葛藤や心の変化をリアルに、そして丁寧に描いている。
「自分が大嫌い」と何度も吐露する杏奈。そんな彼女を、周囲の大人、そしてマーニーの愛が包む。
誰かを大切に想うことで、自分を大切に想える。
そんな杏奈の些細な大冒険と成長を幻想的に描いている。大好きな雰囲気であり、何度も観たくなる映画。
気になった点。
杏奈とマーニーの声の端々に違和感を覚えた。
また、ラストでの杏奈は、マーニーと自分のの関係は自分で悟った方が良かったと想う。
最後に。
"マーニー"とは何だったのか。
それは、自分自身寂しさで誰かの愛を求める少女であり、同時に杏奈に寂しい思いをさせまいと愛を注ぐ女性なのだと思う。 -
やっと、見た。そういうことかぁ。こういう秘密のある映画好き。相変わらずの風景のきれいさに癒されて、あ、私いま休みを満喫しているなって気持ちになれました。最近見ていないジブリシリーズをまた見たくなりました。
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自分の内に閉じ籠りながら、しなびた薔薇のように弱くも刺々しく傲慢な杏奈に対して、
また、それを叱ることなく過保護に接する周りの大人に対して、苛立つ視聴者もいるかもしれない。
そういう人は、ちゃんと社会で、学校で、力強く生きていける人。
か細い薔薇のように、傷つきやすく、また、他人も傷つけやすい、それでいて、エゴに満ちた少女の心が回復するには、自分の内面を分かち合える孤独な友人が必要なのだ。
だれしにも、杏奈のような繊細さや弱さやエゴがあるが、たくましく生きることに慣れていると決して気がつかない。
杏奈は、潜在意識下で、自分の内にひきこもること、世の中に円を描き、その外側にいることを望んでいたのではないか。
と同様に、これも潜在意識下で、孤独で弱い自分を回復させてくれる、本当の友人を強く望んでいたのではないか。
それが、具現化し、時代を超えて出逢った像がマーニーだったのだろう。
それにしても、お互い悲劇のヒロインみたいな傷の舐め合いで終わってしまうのは釈然としない。
人間社会から追い出された孤独な少女が、遠い地に行って人と出会い自分を取り戻していくストーリーはやっぱり王道なのだけれども。