嵐が丘 下 (岩波文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 上巻を読み上げたとき、登場人物たちの精神異常さに、何で『嵐が丘』が今でも多くの人に愛され続けているのか、さっぱりわからなかった。
    だけど、全部読み上げた今分かった気がする。

    リントン家とアーンショー家しかいないこの人里離れた田舎で、忌み嫌いながら両家を行き来することしかない。そんな中にいたら、やっぱり精神的に誰でも可笑しくなるし、前向きにも慣れないだろうなー。
    強いて言うなら、ネリーだけがまともだった。
    でも、下巻では、生き残された人たちの地縛がだんだんと解きはなされていき、素直に自分と他人を受け入れる姿が印象的。
    それと引き換え、ヒースクリフはキャサリンの亡き姿に侵されていく。まるで、今まで一緒に入れなかった分を埋めるかのように。

    みんな最初から素直で優しさと思いやりを持っていれば、幸せが手に入れたのにね。
    でも、最後に嫌なことが浄化されて良かった。

    翻訳はとっても読みやすく、嵐が丘の世界にどっぷり浸かることができた。

  • 本書はブロンテ三姉妹の一人エミリー・ブロンテによるもので、世界の十大小説なるものにも選出されている。出版当初は非道徳的な内容が物議を醸したらしいが、現代の感覚ではそこまで反社会的な内容ではないと思う。主人公をヒースクリフと捉えれば、ダークヒーローものの元祖に当たるのだろう。また、信頼できない語り手の要素は、本筋にはあまり関係ないものの、魅力を引き立たせるのに成功している。
    ただ、ストーリーにやや強引なところがあり、そこまで話の筋には引き込まれなかった。

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