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感想・レビュー・書評
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2019年、「リチウムイオン二次電池」の発明でノーベル賞を受賞した吉野先生が少年時代の愛読書として紹介したことから再び脚光を浴びた名著。イギリスの王立研究所で1860年~61年に6回に分けて行われたクリスマス講演(化学実験の実演を伴う講義)を書き起こした講義録。
中学校の化学実験を懐かしく思い出しながら読んだ。ただ、実演を見ながらでないので、感動を味わうまでには至らなかったな。
この講演、現代の中学生向けに行っても何ら遜色ない、しっかりとした内容になっている。このような科学的・合理的な講義が18世紀中頃に行われていたことに驚かされた。
「ロウソクの明るさは、ロウソクの炎の中の固体粒子によっているのです」、「すべての明るい炎は、固体の粒を含みます」、「燃えた後、固体にならないのは、大量に使われる燃料、つまり石炭、木炭、木などの炭素系の燃料だけです。私は炭素以外の他の元素が、燃えて気体になってしまう例を知りません」などの鋭い解説が、今更ながら興味深かった。
ファラデーの偉大な業績は、少なくともノーベル賞6回分にはなるという!
「一 電磁誘導の発見
二 電気分解の法則の発見
三 物質の磁性の発見・磁気化学の創設
四 ベンゼンの発見
五 ファラデー効果の発見
六 場の概念の導入」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代でも中高生の副読本に用いられているという本書。化学には興味が無いけれど、興味を持って読んだ。
ロウソク一本で様々なこれほど化学を広く説明できる講演録が160年もの昔に刊行されていたことはとても驚きで、当時の科学レベルからすればとても面白い内容であったであろうことは想像に難くない。
挿絵が少ないオリジナル版に近いイメージで作成されたという本書、ところどころ分かりづらいし、今となってはまわりくどい部分もある。しかし訳者も述べている通り、当時の子供達の気持ちになって読む古典としての楽しみ方が正解なのであろう。 -
名著らしいが、文字だけでは全く想像できず、すぐに投げ出してしまった。せめて図が欲しい。
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ファラデーといえば中学生でも名前を知っている科学者だ。科学教育にも熱心だったファラデーは、青少年向けのクリスマス講演というのをやっていて、本書はその講演録。ロウソクを題材に、物理学、化学の基礎をわかりやすく教えてくれる。しかもしゃべくるばかりではなく、その場で実験を交えながら、理屈を聴衆の目の前で実践、証明しつつ進めている。これはすごかったろうな。ファラデーは200年前の人だが、彼の見つけた法則や原理は現在科学の礎になっている。ロウソク、という一見単純な代物ですら、科学の法則に成り立って光を放っている、ということを目の前で見せてもらった200年前の聴衆と同じような気持ちになった。
一番ビックリしたのは、巻末に載っているファラデーの短い伝記だ。ぼくは知らなかったのだが、身分制度の厳しい18世紀のイギリスの貧しい家庭に生まれたファラデーは学校では読み書きを習った程度で、あとは製本職人の仕事をしながら合間に独学で勉強や実験を重ね、論文を英国王立研究所に送り続け、科学者として立ったという。当時ノーベル賞があったら、ファラデーは少なくとも6回受賞していただろう、と後の王立研究所所長が言ったそうだ。 -
本文は半分程度。後は伝記と註である。
学生時代に読んでいたら、などとも思うが、敷居は高いかもしれない。でも、実際にファラデーから実演してもらったら、興味を持っていただろう。ファラデーから直接学んだ人はうらやましい。
私は高校生のとき、化学の授業で化学史まではよかったが、理論ばかりで実験がなかったので、つまらなくなってしまって、損をした。
だから、ぜひとも若い人に読んで欲しい。決して難しいわけではない。あるとしたら、歴史的なブランクによるものと思われる。それも訳註があるから十代の人でも軽く読めると思う。
ここまで書いて言うのもなんだが、実は、以前ロウソクの科学に出会っていた。で、その時の感想は古めかしいというものだった。
今回読んだのはノーベル賞受賞した吉野さんつながりであった。水だったかどうか忘れたが、どのように生成しても、同じ性質を持てば、同じ水であるというところに惹かれた。これは結局のところ嘘だと思う。でも、その嘘がなければ化学は成立しないと思う。 -
ノーベル科学賞受賞の吉野彰さんが科学を志す契機となったファラデー「ローソクの科学」をテレビ番組に実際に出演して本書を紹介しています。
タイムライン
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