- Amazon.co.jp ・電子書籍 (451ページ)
感想・レビュー・書評
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今まで生きてきて出会った中で、もっとも素晴らしい小説。
いまだこの本を越えるほどの、私の中の魂の一冊と呼べる本は存在しない。
全ての常識を一度フラットにして、完全なる自由な世界において、人はなんのために生きるのか。
存在の価値を究極まで追い求めたSF。
SF小説における永遠の金字塔。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第5長編▲肉体を捨て人格や記憶をソフトウェア化し、コンピュータ内の仮想現実都市ポリスで暮らす。ソフトウェアから生まれた孤児ヤチマの驚くべき冒険譚▼リソースに不足が無く、有り余る世界。ヤチマ誕生から結末までを描き、その間に「肉体人」「グレイズナー」「市民」など関係者の連作短編が挟まっている。生まれ方、生き方により規定なのか囚われなのか、価値ソフトの根本原理のようなものが表現され、それが人間性なのかもしれない。ヤチマは生まれ故に数学に帰結した?時間を除く五次元など理解できなかったが、驚くべき傑作(1997年)
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難解なSFの代表と言われる本作。まさにその通りと思います。以下、もともと理系で雑誌ニュートンやブルーバックスの類が大好き、大学は専門ではないものの基礎講座で量子力学や数学を履修していたステータスの人間の感想です。
基本の筋は、人類のほとんどが肉体から脱しソフトウェアから生み出されるデジタルな存在となった未来を舞台に、主人公の発生から成長、冒険、そしてその最後までを描き切ったスペースオペラです。ストーリーはしっかりありますが、途中で理論的な話が長々と展開されることが数回あり(そのうち1回目は冒頭にある)、そこが難解とされている理由かと思います。それを脱線と言うのであれば、脱線部分は読み飛ばしてもらえれば、少し難しい言葉を使った面白いストーリーのSFとして普通に読めると思いますし、それでも十分本作の味わい深い芯の部分に触れられると思います。
「脱線」部分については、自分自身は、フィクションの部分はここだろうな、と当てがつくレベルで、所々置いていかれることもありましたが、大枠はなんとかついて行きながら楽しめました。
ストーリーは本当に壮大で、確かに難解な部分はありますが、ストーリーの筋を我慢強く追っていけばきっとセンスオブワンダーを得られるはずなので、ぜひ読んでみて欲しいです。僕自身は、ラストでたまにしか得られないレベルの深い感動を覚えました。 -
読了。さまざまな数学の理論が、実在のものと架空のものが分け隔てなく出てきて、かつそれが小説そのものの主眼になっているという、とにかく難解だった。
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【ノート】
・hontoの早川書房セールで39%オフ。これはBookoff Onlineの中古価格より安いし、20%クーポンも使えたし、1,000円以上買うとエントリーされるキャンペーンもあったから。とは言え、もちろん、電子書籍で読んでもいいかも、と図書館からの本を読んでて思ったのが大前提。ハードSFなのでWebで調べられたら便利そうという期待もある。
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【目次】
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でも、ぼくの夢をだめにしたものを、それが輝かしい啓示かなにかのようにうけいれられるとは思わないでくれ
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2015/8/7読了。
書いてあることが半分もわからなくて、さすがに笑った。物語のスケールがあまりに壮大すぎて、これも笑った。わかる/わからないと、面白い/面白くないは別なんだな。
イーガンでは『順列都市』で「仮想現実環境にコピーされたソフトウェア生物としての人間の意識」の描写を読んで衝撃を受けたものだが、今回の衝撃は「仮想現実環境に意識が発生する過程」の描写、すなわち冒頭のヤチマ誕生のくだり。実際の赤ん坊が自我を持った存在に成長していく様子を思い合わせると、なるほどあれを空想数学小説的に描くとこうなるか、と感じさせるところがあって面白かった。