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感想・レビュー・書評
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☆4.5 「坊つちやん」みたいな話
汚らしい話かと思ひきや、糞尿汲取事業の話で、意外に描写もうまいし、語り口も滑稽で軽妙でおもしろく、相当の技量である。「坊つちやん」とはすこしちがふのだが、人物の造形といひ、最後の復讐といひ、どことなく坊つちやんみたいで、印象に残る、愛嬌のある作品だった。これは第6回芥川賞をとったが、つまらない芥川賞のなかでも珍しくおもしろい作品である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
糞尿というのは、人間の真の姿を引き出すものなのだろうか?火野葦平は、実に”いいモチーフ”を見つけたと思う。
主人公の彦太郎は、自分で起こした事業の糞尿汲み取り業に、愚直なまでに己のすべてを賭けている。経済的な危機を脱したい、というのもあるが、読み進めていくと、どうもそれだけではないことがわかる。なんというか、そこまでしてやるのか……、というものにほとんど出合ったことのない自分は、彦太郎を羨ましく思う。そして彼は、まさに愚直なまでに、お人好しで素直。こんな人、今いるだろうか。
そんな彼が、糞尿によって”変わる”。真の己に気付く。そのラストが凄まじい。”黄金色に輝く“仁王のようだ。 -
今に見ておれ
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