家族の間で長年ジョークとして語られていたサラだけ父親が違うという話、それが本当だった。
役者や脚本の才能があったのに、家族を養うため堅実な職に就いた父と、結婚していたが、舞台上の彼に惚れて一緒になった母。華やかな母は物静かで自分の求めるものを与えてくれない彼を愛していたけど、愛されていないと感じ、もの足りなかった。
サラを40代で産んで病気で亡くなった。父とサラはその頃、二人きりでお互いを支えに生きて、強い絆があった。だけど、18歳の時知ってしまった事実を父には言えないと思ったけど、やはり脚本家だった実の父がそのたぐいまれなる経験を本にしたいと言い出し、父に打ち明ける決心をする。
母の最初の意に沿わない結婚の結果サラには義父兄弟(離婚の時カナダで最初に親権を失った例として新聞にも載った)2人、本当の兄弟だと思っていた兄弟が2人、叔父や母の知り合いや実の父、母と関係のあった人などにインタビューしていく。
こんな家族の秘密とも言うべきことを、と最初は誰もが疑問に思うだろう。だけど、脚本家、監督、俳優ならではの表現したい、現実にこんな出来事に出会ってしまった奇跡を、という気持ちが最後にはとても良くわかる。
みんな、このことでお互いを恨んだりしていない、というのがいいのかもしれない。
時間が経っているからこそ、複雑な気持ちも母のことも理解したいと思える。
自身の衝撃的な出来事からなんとか母を知りたいという思い、だけどやがて父を愛しているという思いが伝わって来る良いドキュメンタリーだった。