世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方 [Kindle]

  • 英治出版
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感想・レビュー・書評

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  • ずっと定性的な説明で読むのが辛かったが、色々知見は得られた気がして面白かった
    特に物事をシステムとして捉えるという視点は無かったのでその点は良かったが、非線形ダイナミクスを数式無しの文章で理解するなど、無駄も多かったように思う

    いきなりレバレッジポイントのリスト化など若干抽象度も高い気がしたので、入門という感じではなかった
    もう少し実践的な記述が欲しかったと思う

  •  システム思考についてわかりやすく解説した書である。その本質に鋭く切り込んでいる。
     私自身、システム・エンジニアを自称しているのだが、システムについてより理解が深まった。本質について解りやすい事例で説明している。
     筆者は「世界がもし100人の村だったら」の原案となったコラム「村の現状報告(State of the Village Report)」を執筆した本人とのこと。複雑なことを肌感覚に合うように言い換える才能が本書でも発揮されている。
     システム自体の基本とその特性の例示もすばらしい。
     前者は「バスタブシステム」として説明している。①インフロー、②ストック、③アウトフローに分解し、ストック・フロー図として示している。
     後者は①「時間的遅れ」、②「非線形性」、③「はっきりとした境界の欠如」というシステムそのもの問題点を明らかにしている。これもバスタブシステムという基本を理解した上で見ていくことで理解が深まる。
     本書の中で依存症に対する言及があり、自助グループ、12ステップから着想を得たであろう記述もある。卓越した著者の中にたまに見受けられるパターンであると改めて思った。

  • 組織運営で感じることや、薬剤開発で感じることに通じる気づきがあった。特に第4章、第5章が役立つ。

    第3章にはなぜシステムがとてもよく機能するかという項目がある。逆に言えば、良く機能する組織を作りたければ注意すべき項目ともいえそうだ。レジリエンス、自己組織化、ヒエラレルキー。

    レジリエンス:個人や特定の機会に依存した組織はシステムとしては不安定だ。

    自己組織化:これはどう生かすかは難しいが、こういう傾向があるということはわかる。

    ヒエラレルキー:これはおもしろかった。ヒエラレルキーというと、今ではフラットの反対語であり、組織としてよくないように思うが、必ずしもそうではない。かつての共産主義国家の、中央集権的なアプローチが適切にヒエラルキーを使えなかったゆえの機能不全の例として出ていて面白かった。何でもかんでも中央で判断するということにんすると、結局は的外れになる。十分な判断のできる機能を見つけ出し、そこについてはそこだけで十分に機能させるようなことをするのが良いのだろう。しかし、部分最適化の罠は常にあるから、全体最適化に向かうような何らかのFeedbackが必要になる。

    このようにして構造化して考えることで、よりよい組織のデザインができるかも?

    第四章のなぜシステムは私たちをびっくりさせるか?も面白い。これを知ることで用心はできる。

    まず、私たちは非線形的なことを理解できない。こう思っておいたほうが良い。これは仕事でも感じるが、複数のパラメターが入ってきたり、線形でない場合、まず間違いなく適切な判断を数式を使わずにはできない。

    また魅力的な出来事(成功体験)が起きてしまうと、それが実はノイズであったとしても、そこに何らかの法則性を見出してしまい、抜けられない。実際にはシステムは複雑であり、自分たちが想像する因果というのはあっていないことが多い。しかし、それでも私たちはそれを信じることをやめられない。

    また、限界を想像しないということも興味深い。何かをできるようになると言っても、どこかで限界が来るわけで、それをどうやって定めるか、今よりも高く遠くへというわけだが、実際には途中から斬新しかしない。そういう世界のことを口にしないというのはある。

    また時間的遅れというのも実体験からも納得いくものである。時間的な遅れというか、いろんな意味での距離だと思う。Feedbackに時間がかかったり、自分が直接受け取らないと、痛みを感じて、その因果を改めたりしない。直接的なFeedbackを作るにはいかにここを改善するかだろう。すぐに、わかりやすい形(いたみ)で伝えることである。

    最後は限定合理性のところで、部分最適化と言われたりもするだろう。だからこそ、組織や仕事をするうえで視野を広げることの重要性がいつでもどこでも言われるのであるが、これはなかなか難しい。

    第5章のシステムの落とし穴は簡潔にタイトルのみ。

    施策への抵抗、共有地の悲劇、低パフォーマンスへの漂流、エスカレート、成功者はさらに成功する、介入者への責任転嫁、ルールのすり抜け、間違った目標の追求。

    人類には、自分の意思決定に対する説明責任を避けるというシステム的な傾向があります。という言葉がある。

    痛みを感じたくないということだろうと思う。介入者への責任転嫁等はまさにそれで、こういうことが起きるのはまさに人間の本能なのだろうと思う。

    直接的な痛みを感じられるところに自分を置き、自分が判断することはなるべくそういうものにする。そうでないものは、そうした痛みを直接感じる人たちに任せるということがあるだろう。あるいは、そうなっていないのなら、そういうFeedbackループをつける。ルールのすり抜けが怖いのだが、それでも、こうすることで必要なFeedbackを受け、組織なり、個人なりが改善していくだろう。

    その組織や個人が、その痛みを受け入れることができれば。それができないということも人間の性質であり、何かを動かすためには無視できない。著者も言っているように、何かを実行するのはシステムではないのだ。

    わかるだけではだめで、勇気をもって、そういうことを実行できる強い人を見出し、任せる、あるいはそういう人間にならないといけない。

  • 永久に成長することではなく、どの限界の中で生きていくかを決めること
    脱出法:全員が力をあわせて引き寄せることのできる、より大きくて重要な目標を定義し直すこと
    エスカレートのシステムから美しく抜け出す別の方法は唯一、武装解除の交渉をすること
    人類には、自分の意思決定に対する説明責任を避けるというシステム的な傾向がある、だからこそこれほど多くのフォードバック・ループが欠けている
    重要なものではなく、測りやすいものを中心に目標を設定することから陥るシステムの落とし穴
    人類がよりよい未来を築くために必要となる5つのポイント:ビジョンを描く、仲間を作る、真実を語る、学習する、慈しむ

  • 基本的な部分は抑えられたと思うけど。もう一回読まないとわからないかな。。。。

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