ショッピングモールから考える: ユートピア・バックヤード・未来都市 (ゲンロン叢書) [Kindle]

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  • ゲンロン
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  • ショッピングモールを元に、「理想の街」「理想の社会」を考える、とまとめて良いんだろうか? 実際はもっと混沌としていて中身が濃い。何か着地点のあるインタビューめいた対談ではなくて、ホントに「何かが生まれつつある」感がものすごい、対談と言うよりは家でとりとめもなく喋っているだけという感もあるんだけれど、普通の研究だって学会ではなくてせめて研究会、多くは日常の生活の中での他愛のない思いつきのアイデアの披露で進むことの方が多いのだし。
    しかし、出てすぐに買ったのだけれど、生活のすき間すき間でじっくり読んでいたらこんなに時間がかかってしまった。(エア)団地団員で、ゲンロン友の会員としては、よだれが出るほどおいしい対談で、発表されたときは「遂に来たか!」で文字通り飛び上がった企画。
    今回収録された3回分は、第1回から生で楽しんだのだので、すき間すき間、ちょこちょこと読むことが出来たけれど、本来は一気に読んでしまった方がいいし、おそらく読み始めたら一気に読めてしまうと思う。
    集客が悪いと東さんは不満げだったけれど、第1回から面白くて、それがだれることなくうなぎ登りに高まってきての第3回。これはホントに神回だったと思う。
    この回だけでも印象的な発見・発言は多い。
    「田んぼシステムとストリートシステムの対立」、「価値観の耐用年数より写真の耐用年数の方が長い」、「イスラムースペインーカリフォルニアードバイ」。
    とくに、今あげた中だと最後のつながりは、放送を見ているときに非常に興奮したのを覚えている。石川さんの指摘だったけど、それまでの話が全部繋がる感が、非常に気持ちよかった。しかも今回付加された註を読むと、この議論の発端になったイクスピアリの壁画において、「イスラムの四分庭園が選ばれた記録は残っていない」という、なんかこの「何者かに導かれた」感。

    あとがきに東さんが込めた、知の振る舞い、は僕にとって大いに賛同出来るもので、しかしながら僕は理系である訳なので、僕に出来る事を僕に出来る形で、やっていきたい。まあその一個がこの書籍を買って、感想をつぶやき、考えたり人に話したりすることだ、と、そう思って。

著者プロフィール

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』など。

「2023年 『ゲンロン15』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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