外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る「99の心得」~ (光文社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • インプットやアウトプット等、知的生産の技術についての本。
    一つ前にレビューした本(武器になる哲学)と並行して読んでいたのだけど、やけに似てる記述が多いなと思ったら著者が同じだった。著者名は気にしてなかった。
    知的生産の初期段階では、顧客を明確にしたうえでどういう付加価値を感じてくれるかをはっきりさせることが重要というのは、確かにそうだろうなと思う。このへんは、顧客を明確化しようとするドラッカーにつうじるところがあるように思う。
    なお、管理職については、どこまでやると及第点なのがはっきりさせておくのが重要とのこと。たまに、曖昧にしか指示してくれない人っているしね。そういう時は、何をどこまでやればいいのか分からなくなる。
    ちなみに、考えるということは長い時間できるようなものではなく、たまに「一日考えてみたのですがよく分かりませんでした」という人がいるが、それは「考えている」のではなく「悩んでいる」だけとのこと。確かに、それは一理あるよね。だいたい、5分考えて分からないことは、何もしないでずっと考えていても(悩んでいても)、分からないものだと思う。手を動かすのが重要ということか。
    後、ロジカルシンキングのような論理思考は確かに重要だけど、意思決定においは感情は積極的にとりいれられていくべきとのこと。このへんは意外なような気もするけど、あくまで論理的に間違っていないかがあったうえでのことだろうから、逆に感情論だけではダメということなのだろうなと思う。自分も、へんに感情を押し込めずに、論理的にかつ感情も交えた発言ができるようになりたい。
    ちなみに、筆者の経験では、本当にイノベーティブな会社は「イノベーションを起こそう」と思って事業を起こしているわけではないらしい。だいたい、イノベーションを起こそうとしている企業であるほどイノベーションランキングの順位は下の方になるらしい。イノベーションをかかげる企業ということは、逆に普段からそういう取り組みができてないことの裏返しと考えられるかららしい。分からなくはないけど、そう簡単にイノベーションなんて起こせるものじゃないのだろうなと思った。

  • 自己啓発書、ビジネス書を普段読むことはほとんどないが、これはかなり的確に心に刺さる読書になった。知的生産を生業とする者にとって、啓示的な言葉がいくつもあった。
    より自分の価値を高められるように、今後の指針が見つかった気がする。

    気になる言葉はいくつもあったが、一つ挙げると"知的生産に貢献する実質的な知的ストックを作るという文脈であれば、どんなに評価が高く、多くの人がほめちぎっている本であっても、自分自身が心底面白いと思えないのなら、その本には一ミリの価値もないのだ、と断定するくらい独善的でいいと思います。"という言葉。
    この「独善的でいい」というスタンスが痺れる。

    もともと唯我独尊的な性格ではあるが、より"独善的"に進んでいこうと思う。

  • 卓越した知恵・才能は「行動術」
    知的生産とは「好奇心」、「疑問心」、「探究心」で「行動力」が必須となり、「情熱」、「継続」、「疑問」により「収集力」、「洞察力」「分析力」が加わり、「創造力」、「構想力」を付加して知的ビジネスが構築される事だ。
    やはり言うだけではなく行動に移れることが重要だということ。

  • サブタイトルは「プロだけが知る『99の心得』」。いくつか心に残るところを拾ってみました。
    ・「新しさの出し方」を決める:新しさを出すには「広さで出す」のと「深さで出す」のと二つの方向性があります。そして、プロセスに入る前に「どこで知的付加価値を出すのか?」ということを整理してしまうのです。
    ・良い質問=良いインプット:最も重要なポイントとなるのが、プロセスに入る前に「どこで知的付加価値を出すのか?」ということを整理してしまうのです。
    ・「わかったふり」をしない:相手の話していることに多少なりとも疑問点や 腑 に落ちない点があった場合、これを素通りすることなく明確化させないといけない、ということです。「よい質問」というのは「わからない」からできるのではなく、まったく逆に「完璧にわかる」からこそできるのです。また、論理的に筋が通っていないように思えることにこそ、知的生産のコアになるネタが隠されていることが多いから、 というものです。
    ・現場を観察する:煮詰まったらまずは虚心坦懐に現場を見てみる、というのは知的生産におけるゴールデンルールといえます。そして、いい仮説というのは、繰り返し観察されるパターンに気付くことで初めて得られるからです。
    ・仮説は捨てるつもりで作る:本来、仮説は反証されればされるほど強固でしなやかなものになるはず。
    ・「考える」と「悩む」を混同しない:判断に必要と思われる情報はそれなりに集まったのに解が見えてこないというとき、問題はほぼ間違いなく「問いの立て方」か「情報の集め方」にあるはずで、思考力や思考量の問題であることはあまりないはずです。
    ・音声化と視覚化の双方を活用する:人間は情報を処理する際に、「音声=時間軸」と「視覚=空間軸」で脳の違う部分を使っているらしいのです。感情に訴える表現(=動画や音声)と理性に訴える表現(=新聞や雑誌、ウェブ上のテキスト)の最適な組み合わせが重要だという指摘は、知的生産にたずさわるのであれば知っておいて損はないと思います。
    ・とにかく紙に書いてみる:思考を深めようと思ったら、まずとにかく紙に書き出してみる、自分のアタマの中の情報や思考を、アタマの外に出して相対化してみる ということが重要です。
    ・視点・視野・視座を変える:視点とは、対象に着目するポイントのことです。視野とは、検討する対象の空間的・時間的な広がりのことです。そして視座とは、対象を考察する上での自分の立ち位置のことです。
    ・用語を厳密に定義する:プロセッシングでは、ときに哲学や論理学並みの厳密さで論理を積み重ねていくことが必要になりますが、その際に関係者間で議論の中心となる用語が厳密に定義されていることが必須要件になります。
    ・ベクトルではなく到達点を伝える:アウトプットが「ベクトル」から「到達点」に変わることで、関係者にとって、何をいつまでにどれくらいまで進めればいいのか、ということが明確になります。
    ・説得よりも納得を、納得よりも共感を:行動を変えるにはコミットメントが必要ですが、コミットメントを得るには「説得」ではなく、「納得」が必要になります。さらにそれが「共感」にまでなれば、コミットメントは内発的なエネルギーにもとづくものになり、外側から薪をくべ続けなくても心の炎は燃焼し続けることになります。
    アリストテレスは著書『弁論術』において、本当の意味で人を説得して行動を変えさせるためには「ロゴス」「エトス」「パトス」の三つが必要 であると説いている。「ロゴス」とはロジック、「エトス」とは、 エシックス=倫理 のことです。そして、「パトス」とは パッション=情熱 のことです。本人が思い入れを持って熱っぽく語ることで初めて人は共感します。
    ・ストックを厚くすべき知識分野:経営戦略/マーケティング/財務・会計/組織/リーダーシップ/意思決定/経営全般/経済学/心理学/歴史/哲学/宗教/自然科学/芸術
    ・メタファー的読書とメトニミー的読書:メタファーというのは、全体で全体を喩える、喩えられるモノに対して喩えるモノが水平的・跳躍的な関係にあるのに対して、メトニミーというのは、部分で全体を喩える、喩えられるモノに対して喩えるモノが垂直的・連続的な関係にある、ということです。
    効率的に分厚い知的ストックを作るためには、自分なりの好奇心やテーマを設定して、本と本を数珠でつないでいくようなイメージ、しりとりをやっていくようなイメージでインプットする。
    ・常に問いを持つ:なぜメモが大事かというと、メモが癖になると、〝感じること〟も癖になるからだ。人より秀でた存在になる不可欠な条件は、人より余計に感じることである。メモは、感じたことを確認するためにあろう。そしてメモを見直すことは、再び新しく感じることにほかならない。ではなぜ、〝感じること〟が大切なのかというと、感じなければ連想力が湧かず、連想力がなければ想像力(創造力)も生まれないからである。

  • 以下の2つに集約されていたと思う。
    ・本質を捉えること
    ・自分の頭で考えること

    これに対してのTipsが書いてあった。
    これからどんどん使っていきたい。

  • 簡単なようで、実際に回すとなると難しいことについて、内省しながら一つ一つ確認していくことができる。目新しいことはないが、改めて気付かされる点は多い。

  • 社会人の駆け出しの頃、勝間本を皮切りに、ビジネス本を読み漁った時期があった。そのバックグラウンドがあったからか、この手の本は久しぶりであったが、だいたいできてるじゃん、という感想。
    とは言え、Less is moreとか、改めて押さえておきたいこともあり、読むことができて良かった。

  • 2023/04/27
    読んでから5年がたつが、①線をひきながら読むこと、②Evernoteに本の内容のエッセンスを書いておくこと③本棚の回転率を上げる、はかなり継続して実践できていると感じる。 あと読書マンダラのアイデアも面白い。自分の分野でも作って遊んでみたい。 久々に再読したくなったので、プレ再読ということで覚書を。

    2018/5/17
    本の読み方/選び方、本棚の整理術の部分は何度でも読みたい。単なる読書本ではなく、読書法以外の部分でも、フックが多く刺激的。 (Audible)

  • 何度も読み返すべき良いビジネス書だった。ビジネス書はこれだけでもいいくらいです。

  • 2023/6/13読書会課題本

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著者プロフィール

1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻、同大学院文学研究科美学美術史学修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発等に従事した後に独立。現在は「人文科学と経営科学の交差点で知的成果を生み出す」をテーマに、独立研究者、著作家、パブリックスピーカーとして活動。現在、株式会社ライプニッツ代表、世界経済フォーラムGlobal Future Councilメンバーなどの他、複数企業の社外取締役、戦略・組織アドバイザーを務める。

「2023年 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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