- Amazon.co.jp ・電子書籍 (329ページ)
感想・レビュー・書評
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約15年ぶりの再読。
初読では遥か遠くのお話だったのが齢を重ね今回はそう遠くない未来の我が身を思い浮かべながら頁をめくる。
記憶が、感覚が失われてゆくとは?
その恐怖とは?
ふと考えてみる。
同症で施設に入所する母親に思いを馳せながら。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佐伯は、50歳で若年性アルツハイマーと診断される。名前や顔が思い出せなくなる。自分がどこにいるのかわからなくなる。幻覚が見えてくる。つけている日記にひらがなが増えていく。主人公の苦悩、絶望感は計り知れないが、それ以上に、忘れられてしまう側の家族の悲しみを思うと切なくなる。
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kindle本を購入し読み始めたものの、切実さと受け入れがたさ、悲観さなどで希望が持てず、どうしても読み進めることができないまま6年以上積読してきた。
kindleを整理しながら、積読していることを再確認(ずっと頭の片隅にあったものの…)して読み進めたところ、この数年の待機時間が良かったのかどうか一気に読了。
数年前とはいえ今よりは確実に若かった購入時とは違い、確実に老いを意識する機会が増えた今になって読んだことで、主人公を自分に置き換え、また時に妻を自分に置き換えつつ、身につまされながらも希望の光も感じることができたことに感動している。 -
主人公と同世代。それだけに読み始めた頃は気も重くなりました。
でも、最後の20頁くらいから、まだ終ってほしくない、まだまだ読んでいたいと言う思いが増し、生きることの嬉しさ、切なさ、悲しさ、そして美しさをひしひしと感じました。
物語は、認知症の主人公を通して語られていきます。病状が進む中、彼が自分の事を最後まで語ることができるのか、どう描くのか興味津々でしたが、最後まで彼の目を通して映し出され語られていました。彼にとって「リア充」となったその一日を。
実は私の母も認知症で今は介護中ですが、たとえ私の事を忘れられても「今」一緒に楽しいね、おいしいねと言える時間があるなら、それも幸せかなと思った次第。 -
大学病院の教授が、主人公の症状が進行していると思って、主人公の妻ばかりに語りかけていて、医師に自分が会話を理解できない存在として扱われてショックだったという件がありました。
私も似たような経験があります。市役所の福祉課に手続きに行ったときのことです。課の職員が、私の書類に精神障害という文字を見つけた途端、丁寧語をやめて子供に話しかけるような口調になりました。
認知症や精神障害者に関係なく、すべての人の人格を尊重し、思い込みを取り払って接してもらいたい、また、自分もそうありたいものだと思いました。 -
明日の記憶
主人公がアルツハイマーに侵されていく中で、自分が自分ではなくなってしまう恐怖や悔しさ、葛藤など病魔が進行していく様がリアルに伝わってくると同時に家族の暖かさが感じられる作品だった。 -
いろいろ勉強になりました。自分にあてはまりそうなところが出てくるとギクッとする。気持ちが共感できて、いい本でした。
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(2021/188)年齢的に自分に近い主人公が若年性アルツハイマーと診断され徐々に進行していく。記憶が欠落していく恐怖、仕事における恐怖、生活における些細なことすら忘れ出来なくなっていく恐怖がリアルに感じられてしまう。つけ始めた「備忘録」という名の日記からも進行が明らかで。支えてくれる奥さんの存在が救い。