アルジャーノンに花束を〔新版〕 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 身近に知的障害の人がいますが、本作のチャーリーはその人と話の理解度が似ているように感じました。作品の中でチャーリーは知能が変化していきますが、賢くなったり知能が低くなったりすることで、周囲がどのように変化していくか、なーんとなくわかるような感じがします。

    本作ではチャーリー・ゴードンの知能が上がることで、さまざまなことが理解できるようになる過程が描かれていますが、本作のような結末を迎えてしまってはその意味が薄れてしまうように感じました。このように手に入れて失われてゆく様や、奇跡的な発展から元の鞘に戻りゆく(本作では後退すらしている)事象は往々にあるのでしょうが、おそらくこの作品が見せたいところではないと思うため、もう少し良いエンディングがなかったものか、と思ってしまいます。

    訳者の方が後書きで書かれた出版社のようにハッピーエンドをとは言いませんが、知的障害者が賢くなった時、感じるはずの感情が少し見えなかったように感じました。負の部分に多く焦点が向くのは後天的に障害をもった人に多い傾向に思います。チャーリー・ゴードンはおそらく生まれながらに障害があったかと思いますが、それならば初めて手にしたものに対する喜びがあまり描かれなかったのが残念に思いました。

    書き手の苦労を全く慮らない読み手の勝手なわがままですが、やはりひとときでもチャーリーがこの世界を愛したところをもう少し前面に見たかったと思いました。

  • 知的障害のある32歳のチャーリーがオペによって天才になっていく。それによって今まで見えていなかった物や感情、また見えてしまったものもあり、チャーリーにとって何が幸せだったのか、と考えてしまう。
    序盤の成長の嬉しさの反面、後半は同じ速度で結末を迎えていく残酷さ。

  • 共感、相手を思いやる優しさを忘れずにしたいと思いました。

  • 知的障害を持って生まれたチャーリィ・ゴードン。知り合いの計らいでパン屋の雑用をしながら、パン屋や知的障害学級の友人たちとそれなりに幸せな日々を過ごしている。もっと賢くなりたいと思う彼に、ある実験の話があがる。
    知的障害から手術で高いIQへと変化していくチャーリィの目線から見える世界を描いた作品。

    最初の「けえかほおこく」からチャーリィの視点と言葉で書かれていること(なので、ひらがなばかりで最初は読みにくい。)、結末、最後のチャーリィの言葉…
    何から何まで、素晴らしい作品だと感じました。

    人間は知能を高めることで幸せになれるのか?

    読みながら、常にこの議題と向き合わざるを得ません。普段は意識しない知的障害の方の視点。
    冒頭で描かれるチャーリィの日々がどこか温かさもある上、高い知能を手に入れたチャーリィも心から幸せとは言えない日々を送っているがゆえ、
    この議題に対する答えは難しいですね、、。

    人の人生、幸せはその人のものであり、
    決して外から見て判断できるものではないのだと改めて感じた一冊でした。

  • 自分が主人公になったような気分で読める。
    IQ80からIQ180になったような気分に。
    本当に素敵な本だった

  • 人間にとって障害者と天才はどちらが幸せ?
    高い知能を得ることは幸せ?
    知能=幸福でない
    「望み通りに生きても幸せとは限らない」
    結局チャーリは、母を喜ばせたい、幸せになりたいと、障害者である自分を理解しつつ知能得たかったが、得たことでむしろ失うものの方が多かった。悲哀ながらも、チャーリの障害者に戻る際の人間性に感動した

    私が母を幸福にできる人間になったのだということを知ってもらいたかった。私は生まれて初めて母の口のもとに笑いを運んだ
    こことか、チャーリーの純粋さに心動かされた

  • 知的障害者やその周囲の人、天才まで、著者がよくここまで想像して書けるなと感服。最初に気持ち悪い日本語が続いて挫折しかけたが、途中でクセになり、中盤はあの書きぶりが懐かしくなる。普通はありえない生活やストーリーを追体験できる名著だった

  • 知的障害を持つ主人公チャーリーが特別な科学で天才になる過程やその後を日記形式で描く物語。

    斬新な始まり方、少しづつ見えていく世界、愛や友情、家族とは。障害者の子供を持ったらどうしようとかそういうことも深く考えた作品であった。感動要素は個人的にはなくて、大号泣必至という文言には疑問を唱えるが、興味深い話だった。

  • 愛情を与える、与えられることが全ての目的になってしまえばいいのにな。と素直に思った。
    この本では正当化されているが、もっと他の本を読めば違った感想を書けるような気がする。
    チャーリィは色んな立場である自分を一生涯で見てきた。でも最後に残ったのは相手に対する愛情と感謝だった。
    これは、自分自身の解釈では、人は初めは愛情と感謝を持って生まれる。しかし、親や生きてきた環境、知識、教養によってそれは脆く壊されていってしまうものではないのかと。
    自分を豊かにするために、勉強する事、また相手と関わっていく事、競争していく事、相手と比較していく事、これは何も悪いことではないが
    自分は結局誰かに愛し、愛されたい存在である事を自覚し相手を気遣う心というものを忘れずにいたい。

  • 小学生の頃に読んだときはチャーリィがいじめられている場面
    中学生の頃に読んだときはチャーリィがニーマーやストラウスの不完全さに憤る場面
    大学生の今はチャーリィとローズの母子関係
    自分の精神年齢によって印象深いシーンが変わるのが面白い
    それにいろいろな知識を得た今だと随所に精神医学とか心理学的エッセンスが散りばめられているのがわかってSFとしての完成度に驚かされる

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