ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書) [Kindle]

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  • 講談社
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感想・レビュー・書評

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  • 個人的な感想なので的外れだと恐縮なのですが、高校日本史の昭和戦前+アルファぐらいの内容で「ドイツはなぜ第二次世界大戦を起こしたか」が見えて、たいへん勉強になりました。

  • 12/17

  • ヒトラーがなぜナチ体制を作り上げることができたのかを論じた本。

    ナチという差別主義の政党がどうして政権を担うことができたのか、なぜ誰も止められなかったのか、という疑問を説明してくれる内容で面白かった。またナチ党が台頭できたのは国民の支持があったわけではなく、政治上の利害関係によりナチ党をハンドリングできるとたかを括った他政党側の安易な考えから始まったということを知り、現代の政治でも同様のことが起きる可能性があるのではと怖くなった。
    日本でも特定の民族への差別、蔑視があり、特に近年はその傾向が強くなったと感じているのでドイツがホロコーストに至るまでの流れ、差別がエスカレートしていく怖さも強く感じた。

  • ヒトラー登場からナチ党の躍進・独裁そしてホロコーストについて解りやすい良書です。なぜ独裁者になることが出来たのか。ポイントは、授権法「首相は国会審議を経ずに(憲法に反しても)法律を制定できる」だと考えます。議会は少数党派乱立下で、議会に基盤を持たない「大統領内閣」が通常となり、大統領府は既に大統領令を多発しており、合法性にこだわりたい時期にヒトラー内閣が成立した。また、彼の初ラジオ演説は首相就任後であり、お茶の間に届いた公式な首相の姿は魅力的に飾り立てられつづけた。参考文献が充実しています。(2015年)

  • ヒトラーはいかにして大衆の支持を得て合法的に独裁者になったのかを検証した本。

    本書を読めば、ヒトラーが独裁者になった過程やナチスがいかに悪夢を実行したかの過程を知ることができます。

    悲しい歴史を繰り返さないためには、過去を検証することから。全く同じ事はそう起こらないが、似たような事が起こる可能性は十分にあります。

  •  第一次世界大戦と大恐慌という「危機」がなければ、ナチスが相手にされる事はなかったのだろう、とまず思った。

     そこ(ドイツ)にいたのは良くも悪くも一般的な人々で、途中までナチスなんか歯牙にもかけていなかった。

     そんな中、相次ぐ危機的状況の中で追い詰められ、選択肢が狭められていく過程が描かれている。


     良し悪し、ではなくどちらが悪く、より悪いのかの選択。どう見ても両方悪いのだけれども、ナチスか共産党どちらが少しでもマシなのか。中庸が崩れ去った後の悪夢の二者択一を求められる国民。

     そして権力者及びその周辺にいた人々は、ナチスを侮っていた。素人集団と見下し利用できるだけ利用して、後は捨て去ってしまえばいいと安直に浅はかに考えていた……自分たちが捨てられるとも知らずに。
     まず断罪されるとするならば、この特権意識丸出しの権力亡者どもこそ真っ先に断罪されるべきなのだろう。


     権力を握った後のナチスの成り行きは知られたものだが、一点驚いたのがユダヤ人に対する方針。
     てっきり初期の頃から処刑とまではいかなくても、強制労働かそれに類する事を方針としていると思っていた。しかし、ある時点までは追放(これも十分酷いものだが)を求め、実際にアメリカはじめイギリス、フランスなど各国に打診していた事は初めて知った。……そしてその打診に一国たりとも答えなかった事も。
     よく煽るだけ煽った後に、破滅的(誰かの死など)が起こるとさーっと潮が引くように引いていき静かになる事があるが、日本人だけというだけでなく、世界共通の人の業なのかとも考えさせられる。

  •  結局のところ「強権は危ない」、「民主主義の危機」だという主張のように聞こえる。もちろん、監視のない独裁者に権力を与えることは最後にはそれを選んだ民衆自自身を害することになることは明らかである。
     が、当時のドイツのように敗戦により自尊心を奪われ、また経済危機と賠償により日々の生活が立ち行かなくなっているとき、民主主義のプロセスによる改革では間に合わないと民衆が感じて、たとえ幻想であっても強いヒーローを求めてしまうことを一体どのように止められるだろうか。
     
     第二次大戦後に経済発展を成し遂げた東アジア諸国が開発独裁型であることや、同じ国々が昨今のコロナ危機封じ込めに優秀な成績を残していることをみるに、「マスコミによる権力の監視を」といった対応策への軽い主張では民衆を納得させることは難しいように思える。

  • 『独裁者』と聞いて、真っ先に思い浮かぶ人物と言えばヒトラーである。
    カリスマであり、類まれなる演説能力で聴取を魅了していたことまではなんとなく知っていた。

    そんなヒトラーも元々はただの一般市民で、ナチ党も小さな一政党だったらしい。

    そんなヒトラー及びナチ党が、『国会議事堂炎上事件』をきっかけにあらゆる制度や情勢を利用して、一気に独裁国家までをも作り上げてしまうストーリーには驚愕した。

    そこから戦争への突入、ユダヤ人虐殺(ホロコースト)から自殺までのヒトラーの歩んだ歴史が描かれる。

    繰り返してはいけない歴史かもしれないが、あくまで読み物としては『すごい人生』だなと思った。

  • なぜヒトラーがああいうことをしたのかをまず知りたかった。
    ヒトラーも元々やりたかったことは尊厳回復に思える。今のネトウヨとおなじような動機で、自民族の偉大さを訴えて自己肯定感と人がまとまる高揚感を得たかったのではないか。そして金持ちのユダヤ人を妬み、階級を分断するマルクス主義を憎んだと考えるとそれなりに筋が立ってくると感じた。

    次になぜあのヒトラーを皆が支持したのかも知りたかった。
    それは経済的困窮、失われた尊厳、階級闘争であった不満、分断をそのまま批判として代弁したことと、弁舌のうまさと嘘だらけの広告戦略だったのかと思う。これは分断と嘘を利用したトランプ支持の話ともつながると思う。

  • ヒトラーとナチを知るのにとても良い入門書だと思う。特にユダヤ人人種論については勉強になった。世俗化しようとするユダヤ人に対して難癖をつけたわけだ。。。

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著者プロフィール

1957年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科(地域文化研究専攻)教授。専門はドイツ近現代史、ジェノサイド研究。
主な著書にJungkonservative in der Weimarer Republik. Der Ring-Kreis 1928-1933, Frankfurt am Main 1988、『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書、2015年)、『過去の克服―ヒトラー後のドイツ(新装版)』(白水社、2014年)、『20世紀ドイツ史』(白水社、2005年)、共編著に『ジェノサイドと現代世界』(勉誠出版、2011年)など。

「2020年 『ドイツ市民社会の史的展開』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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