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感想・レビュー・書評
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愛書癖
書籍についての、コレクターの話であって、書籍の中身そのものを論じたものではない。
フランス、パリで、繰り広げられる愛書家たちの騒動の本である。
パリ セーヌ川左岸の古本屋(プキニスト)の物語
愛書家のことをビブリオフィルというが、癖が高じると、愛書狂ビブリオマーヌになる
他にビブリオターフというのがいて、ターフ(墓)で、読みもせずにやたら本を買って、積んでおくのを楽しむ輩をいう
こうしたことがかの有名なフランスの百科全書のいろんなところに書いてあるらしい
愛書家が本を大切にすることで、虫がついたりした本に、医療が必要になってくる。書籍治療(ビブリアトリック)という言葉もある
そのことを記載したボナルドーの「書画保存法」(1850)という本もあるくらいである
愛書家が大事にしているのが、稀覯書(きこうしょ)であるが、ふだん二束三文の本があるとき、信じられなくぐらいに高値がついたりする。
誤植偏重癖で、聖書の誤植で、稀覯書になっているものの例がある
書盗の話があり、図書館から消えた、稀覯書などの話が紹介されている。
青空文庫
底本 日本の名随筆 別巻35 七癖 作品社
1994年01月25日第1刷発行
親本 「辰野隆随想全集2 え・びやん」福武書店
1983年06月15日初版第1刷発行
59頁詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
隆慶一郎『時代小説の愉しみ』の中に、ペンネームの隆は恩師辰野隆さんの一文字にもなっていた、とあり読んでみる。100年前に出版された本でありながら愛書好きについて事細かに書いてあり、その場面が目に浮かんでくるようで楽しい。15年前もポンヌフの川沿いは本屋が並んでいた。変わらぬ風景を保っていることに思いを馳せた楽しいひと時だった。