新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 「走れメロス」は途中から森見節炸裂な印象で、パンツ総長云々のくだりはとくにキテレツで、何を読ませられているんだろうという気持ちになったのだけれど(決して非難している訳ではない)、読み終わってから「走れメロス」の原作を思い出して、あぁなるほど。。冷静にストーリーを俯瞰して思い返してみると趣深さがじわっと湧き上がってくる。
    1番好きだったのは「桜の森の満開の下」。
    夢を追いかけていたはずがいざ叶っていくにつれ、本当に自分が目指していた道なのか分からなくなってくる不安と恐怖を描いた作品。
    ちゃんと森見さん独自の感性で一から描いているんだけれど、根底にしっかり原作の意図が読める。

  • 古典的名作を現代風に(森見風に)書き直した企画もの。原作は、中島敦「山月記」、芥川龍之介「藪の中」、太宰治「走れメロス」、坂口安吾「桜の森の満開の下」、森鴎外「百物語」の5篇。

    坂口、森の作品は未読なので、原作を著者がどのように弄んだのか分からなかったのがちょっと残念。

    とはいえ、どれも京都のクセの強い大学生たち、今時の楽しいキャンバスライフとは一線を画した昭和な学生たちが暴れまくる奇妙な物語だ。原作の深い味わいには遠く及ばないが、この馬鹿馬鹿しさが森見作品の持ち味なんだと改めて納得した。

    「桜の森の満開の下」で、主人公が夜明け前の人っ子一人いない満開の桜並木に感じる畏怖の念、分かるような気がした。

  • 2019.7.9読了。

    森見登美彦氏らしいアレンジ。

  • 近代文学の傑作である「山月記」、「藪の中」、「走れメロス」、「桜の森の満開の下」、「百物語」を森見先生ワールド全開な感じの大学生たちに置き換えて新しい解釈のもと新しい物語として生まれさせた作品集。
    どの話の主人公もみんなちゃんと腐っており、読んでいて阿呆と言いたくなるような人たち。
    また、この短編だけでなく、過去作である「夜は短し歩けよ乙女」や、「四畳半神話体系」などの話・人物などが少しずつ登場しており、より楽しめる作品になっているところが良かった。

    「山月記」は、斎藤秀太郎という天才文学者崩れの青年の物語。「藪の中」は、映画サークルみそぎの恋愛模様?がいろんな人の視点から描かれる物語。「走れメロス」は、拗らせ過ぎた大学生の最低な友情物語。「桜の森の満開の下」は、文学で成功した青年の物語。だか、なんとなく妄想なかんじがする。「百物語」は、怪談、と思いきや、コミュ障な主人公の物語。

  • 面白いんだけど、自分にはその面白さが半分も捉えられていない気がする。なので、評価は自分に対する評価だろう。
    それにしても、どの作品も人間を確実に捉えている。強さ、弱さ、丈夫さ、脆さ。嫌なヤツに見えて、実はそうでもない。誰にでもある本心。
    自分と重なりすぎて笑えてくる。それはまるで、シャレのきいたラジオを聴いているよう。

  • 各話どれもゲラゲラ笑いながら読めるが、不意に心をぐさっと刺してくる。
    常に参加してない感、当事者意識の希薄さ。故に当事者と化した時の無力さ。ううう、、、

  • 以前にも読みましたがまた改めて読みました。
    数々の名作をよくここまで自分の世界観に落とし込められたなと毎度感心します。
    森見登美彦さんのまわりくどくてひねくれた文章は何回読んでも面白いですね。むしろ何回か繰り返し読んだ方が味が出てくる気がします。スルメです。

  • 有名な名作を、現代を舞台にリライトした短編集。
    正直それ以上でも以下でもない。つまらない文章ではないけれど、原作を知っていれば敢えて読むような話でもない。

  • 原作とのギャップに終始ツッコミを入れたくなる本

  • 登場人物らが自分と同じ大学生という、なかなか世界観に浸れて新鮮でした!原作の知識はあまりなかったのですが、楽しく読めました。

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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