新装版 播磨灘物語(1) (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 黒田如水(官兵衛)の物語です。実は私の先祖は家系図によると、播州姫路の小寺家の槍の師範だったそうです。小寺家から小の一文字をもらったそうです。ですので、秀吉の被官となる前の官兵衛や宮本武蔵と会っていたのかなと想像は膨らみます。
    天草の乱で武士に嫌気がさし、北九州に土着したらしく、戦国の波乱に浮き沈みを繰り返していたのかなとも思います。
    そんな戦国の世、織田、豊臣、徳川と時代の荒波の中でで躍動する官兵衛が描かれます。
    秀吉の播州攻略法、荒木村重に捕らわれての捕虜生活など見所満載です。
    司馬遼太郎が描く登場人物は魅力的で、読者を好きにさせてしまいます。本作も例に漏れず、官兵衛と共に物語をどんどん読み進めることが出来ました。

  • 大昔に読んでいたものを、数十年ぶりに再読。
    読んでいて「これ、初読なんじゃないか?思い込んでただけで」と数度思い。
    でも最終的に「あ、これ読んだなやっぱり。数十年前に」となんとなく思った。

    戦国時代に秀吉の下で名を馳せた軍師「黒田官兵衛」の半生を描く長編小説。

    個人的な説ですが、司馬遼太郎さんの特に長編は、

    「坂の上の雲(1969-1972)以前、と以降」

    に分けられると思っていて、「播磨灘」は1975。以後です。

    「竜馬がゆく」や「国盗り物語」に比べれば、枯れていて、エンタメ臭が弱い。
    その分、読み手側がもうほぼ50歳ともなると、「再読の滋味」は「以降」の諸作の方が深かったりしますね。

    つまりは官兵衛という人が持っていた「才気」と「澄み切った人間臭さ」と「背筋の通った人柄」が、幾多の怒涛を経て「時の運」や「人間の集団の頑迷さ」にどこかまでしか、歯が立たない。
    でもそれだからこそ風景として描くに足る愛情を呼ぶんでしょうね。
    エンタメ感の向こうにそういう湿度のため息を感じるあたりが「以降」でしょうね。

    そして何より、「戦国」という混乱の中世が、「信長・秀吉・家康」という近世へと、軋みを唸りながら転換していく、そんな歴史のドラマを感じさせる。このダイナミックさ、この描く力。
    エンタメでありつつ、どこかマルクスを読んでいる気にもなって来る。
    うーん。やっぱり脱帽。

  • スタート前の段階。静かな立ち上がり

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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