ブラッド・ミュージック (ハヤカワ文庫SF) [Kindle]

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#SF

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  • ヒューゴー/ネビュラ両受賞中編(ナノテクノロジーを扱った最初のSF小説)の長編化▲自分の白血球をもとに、コンピュータ業界が切望する生体素子を完成させた。人類の存在そのものを脅かすことに…▼『Hellsing』を読み、こちらを再読したくなり手に取る。個人的には人類補完計画の元ネタだと思ってきた。オリジナルは、いまで言うバイオホラーから厨二病展開の前半部か?このオマージュ作も多々ある。が、一見冗長に感じる後半が、色々なジャンルにおいて、お約束として昇華されたネタ。さすがオールタイムベストの一冊だ(1985年)

  • 基本的にはウラムという生物工学者が知的細胞《ヌーサイト》をつくり、それがパンデミックになり、群知性を発揮してアメリカ大陸に粘菌コンピュウータのようにはびこり、消えていくという話である。そこに、ヨーロッパに脱出した神経科学者バーナード、ニューヨークで生き残ったスージー、そしてウラムの母、エイプリルなどの人生がからんでくるという話。

    人類がヌーサイトの群体に記憶されて情報存在となるから、これが人類の新たな段階で、《幼年期の終わり》との類似点が指摘されるのだけれど、はたして〝ブラッド・ミュージック〟に同化していくという段階こそが、何か現実を受け入れたくない〝幼年期〟のような気がしてならない。

    脳は内と外とのずれによって「現実」を認識していく。内側の観測視点だけで宇宙が変化するとは思えない。人類が生まれる以前にも物理法則はあったであろうから。

    訳はよみにくい。

  • この作品は間違いなく私的オールタイムベストの一冊となりました。『幼年期の終わり』が好きだし、エヴァの人類補完計画も好きなので(?)、そりゃ好きだろという感じなのですが、ベアの『鏖戦/凍月』を読んで感じた美しさ(グロテスクさを内包する美しさ)がこちらでも遺憾なく発揮されていて、もうずっと唸ってた。ベア好きだわとなったので、イーガン読みつつベアも読みたい。これで1983年の作品なのか…
    正直、変態する様は気持ち悪いし、どんな感じなのかビジュアルで見たらもっと気持ち悪いのだろと思う。それから変態したあとの人類が語る進化後があまりにも素晴らしすぎて本当かどうかわからないし(作中でそれな?となった)、カルトの勧誘みたいなので抵抗感があったのですが、安部公房の『第四間氷期』を読んでから、「真の未来は、おそらく、その価値判断をこえた、断絶の向こうに、「もの」のように現れるのだと思う」という価値観に共鳴しているので、これですよこれこれとなってました笑

    以下好きだったところ
    「ブラッドミュージック」という表現。「きいているのさ…音だ。音じゃない。音楽みたいなもの。心臓、あらゆる血管、動脈を、血管を流れる血の摩擦。活動をだ。血の中の音楽をだよ」何度かたとえられる音楽・交響曲という表現が好きだった

    「文明ってやつはこれまで愚かな破局を迎えることがわかっている。戦争や環境やー」

    「体の中で起こっていること、内奥の宇宙以外、重要なことなどありはしない」

    「ヴァージル・ウラムは宇宙になろうとしていた」

    「夢だ。市街がゲイルを凌辱する。その上に宇宙の火花がまき散らされる。なんという苦しみ…そしてまた、なんという美がひそんでいることかー共生と変身という、新しい種類の生。」

    「あなたの≪魂≫はすでに記号化されているのだよ、バーナード」

    「ジャクソン・ポロックの絵を回転させたみたいに見えたぜ」「さもなきゃ、ピカソだ」「わたしにはマックス・エルンストにとってもよく似てると思えたわ」

    「ずっと夢に見て来たものを何もかもひとつに集めたみたいだ」…「夢の竜巻か。ひょっとしたら、変化に巻きこまれた人たちみんなの夢かも知れない」
    圧倒的なイメージ

    「いま、バーナードはヌ―サイトの尺度にちぢんだわけでも、肉体化したわけでもない。彼の思考はただ存在し、それが存在する場所は胸がつまるほど美しかった。」

    「ノヴァ」

    「放蕩してきた月たちを故郷に迎え入れた。…ヌー領域はその翼をふりひらいた。翼がふれると、星々は踊り、祝い、燃える雪片となった」

    何一つ失われはしない。何一つ忘れられはしない。
    それは血の中に、肉の中にある。
    そしていま、それは永遠になったのだ。

  • おりしも、本作を読んだ2020年2月は、新型コロナウィルスが猛威をふるっている。。。このウィルスに知性があったらと思うとぞっとします。ストーリーはわかりやすく、現代で考えればありえそうな話です。ウィルスの知性の数(人間よりけた違いに多い)が問題なるとは。現代は人間の知性による観測によって事実が収束しているが、それを上回る数の知性が現れたらどうなる。。。想像できません。所詮この世は、幻想ですものね。

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