人を動かす 文庫版 [Kindle]

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  • ”死ぬまで他人に恨まれたい方は、人を辛辣に批評してさえいればよろしい。その批評が当たっていればいるほど 効果は てきめんだ。”私自身人から批判されることを好まず気遣いの言葉に飢えているのでとてもよく理解ができた。何度も読み返し自らを律したいと思う。

  • 人間関係の秘訣を説く自己啓発本の元祖的な著作。原題は"How to win friends and influence people"、『友をつくり人を動かす秘訣』となる。『人を動かす』だけだと"人間操作術"のように見えてしまって自己中心的なイメージを持たれかねないが、原題のほうが内容を正確に表している。

    「人を動かす三原則」「人に好かれる六原則」「人を説得する十二原則」「人を変える六原則」の4パートに分かれる。原理的な話から始まってパートが進むにつれて具体的なアドバイスが多くなる。どの原則でも実例を交えてわかりやすく原理の必然性を解説する。重複・類似する原則もあり、大雑把に重要な原則を列挙すると以下のようになる。

    ・批判、非難しない
    ・ほめる
    ・関心をもつ
    ・話を聞く
    ・顔をつぶさない
    ・人の身になる

    これらの原理の元となる考え方をたどると、「相手を尊重する」という点に集約できる。さらにこの点をわかりやすくイメージするために言葉を替えるなら、「常に相手の自尊心を大切にし、ときには積極的に訴えかける」とすることができる。その意味で原題に「友をつくり」というフレーズが含まれていることに納得でき、「友をつくる」ことと「人を動かす」ことがつながりとして理解できる。(ただしPART3の「11.演出を考える」「12.対抗意識を刺激する」は例外的にこの大原則からはやや外れているようにも思える。)また、本書が推奨する相手を褒めることや笑顔といった行為についても、それをお世辞や上っ面ではなく本心から為さなければ意味がないと念押ししているところも重要なポイントである。

    自己啓発本に少しは興味があるけど、どれを読んでいいかわからないし気恥ずかしさもあるという方に、自己啓発本としては古典である本書はうってつけに思える。その全てを受け入れるかどうかは別にして"人間観察"の書としても面白く、きっと何かしらの収穫があるのではないだろうか。具体的に本書を読んでもっとも恩恵を受けそうなのは、これから就職(活動)しようという若者だろうか。また、"論破"がもてはやされる風潮とは対極的で、下手な道徳の授業よりずっと現実的な効能が期待できそうである。私の個人的な自己啓発本への偏見も覆してくれる充実した内容だった。ひとつ気になった点としては、欠点というより本書の方向性から扱わなかっただけだろうが、自分が自尊心を損なわれた場合の処し方については触れられていないことは挙げられる。

    余談だが、読書前は著者のことを鉄鋼王アンドリュー・カーネギーと同一人物だと勘違いしていた。

  • 「人を動かす秘訣は、この世に、ただ一つしかない。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせることーこれが、秘訣だ。」
    アメリカにおける成人教育、人間関係研究の先覚者である筆者が、1936年に発行した著書の、1981年の改訂版。様々な原則を、それぞれ事例を紹介しながら説いています。

    人を動かす三原則
    1批判も非難もしない。苦情も言わない。
     「およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。」「人を非難する代わりに、相手を理解するように努めようではないか。」
    2率直で、誠実な評価を与える。
     「他人の長所を伸ばすには、ほめることと、励ますことが何よりの方法だ。」「人間は例外なく他人から評価を受けたいと強く望んでいるのだ。この事実を、決して忘れてはならない。深い思いやりからでる感謝の言葉を振りまきながら日々を過ごすーこれが、友をつくり、人を動かす秘訣である。」
    3強い欲求を起こさせる。
     「『自己主張は人間の重要な欲求の一つである』ウィリアム・ウインター」「"常に相手の立場に身を置き、相手の立場から物事を考える”という、たった一つのことを学び取っていただければ、成功への第一歩が、すでに踏み出されたことになる。」

    人に好かれる六原則
    1誠実な関心を寄せる。
     「『他人のことに関心を持たない人は、苦難の人生を歩まねばならず、他人に対しても大きな迷惑をかける。人間のあらゆる失敗はそういう人たちの間から生まれる』ウィーンの心理学者アルフレッド・アドラー」
    2笑顔で接する。
     「幸福を必ず見つける方法が一つある。それは、自分の気の持ち方を工夫することだ。」
    3名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。
     フランクリン・ルーズベルト、ナポレオン三世、鉄鋼王アンドリュー・カーネギー達は、人の名前を覚え、呼びかけたと言われているそうです。
    4聞き手にまわる。
     「話し上手になりたければ、聞き上手になることだ。」「『自分のことだけしか考えない人間は、教養のない人間である。たとえ、どれほど教育を受けても、教養が身につかない人間である。』元コロンビア大学総長ニコラス・バトラー博士」
    5相手の関心を見抜いて話題にする。
     「『相手次第で成果も違うが、概して言えば、どんな相手と話をしてもそのたびに自分自身の人生が広がる』従業員間コミュニケーションの指導者ハワード・ハージッグ」
    6重要感を与えるー誠意を込めて。
     「人間は、誰でも周囲のものに認められたいと願っている。ー"心から認め、惜しみなくほめ”られたいと、私たちは、皆そう思っているのだ。」

    人を説得する十二原則
    1議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
    2相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
    3自分の誤りを直ちに快く認める。
    4穏やかに話す。
    5相手が即座に"イエス”と答える問題を選ぶ。
    6相手にしゃべらせる。
    7相手に思いつかせる。
    8人の身になる。
    9相手の考えや希望に対して同情を寄せる。
    10人の美しい心情に呼びかける。
    11演出を考える。
    12対抗意識を刺激する。

    人を変える九原則
    1まずほめる。
    2遠まわしに注意を与える。
    3まず自分の過ちを話したあと相手に注意する。
    4命令をせず、意見を求める。
    5顔を立てる。
    6わずかなことでも惜しみなく心からほめる。
    7期待をかける。
    8激励して、能力に自信を持たせる。
    9喜んで協力させる。

    4年前の春に同僚に勧められて読んでみました。恥ずかしながら、私はその時に初めて著者のことを知りました。翌年にもう一度読み直しました。この春、娘がアルバイト先で読むようにとこの本を配られたとのことで、再度読んでみました。
    生きていく上で大切なことが、繰り返し具体例と共に述べられています。どれも当たり前のことですが、90年近くも前にベストセラーになった本書が未だに読み継がれていることからも、人間関係の難しさは一筋縄ではいかないものなのだと改めて感じました。これからも、日々こうした言葉を胸に、心掛けていきたいと思います。

  • 悲しみや不幸や災難にあって、身も心も荒れ果てている時は、 何か作業をみつけて、頭も手足も休ませずに一心に打ち込むことだ。

    成功の秘訣は自分で仕事をすることではなく、仕事を任せるにふさわしい人材を見つけることにある。デール・カーネギー

  • 社会生活において家庭で、職場でどうしたら上手く人間関係が円滑に進むんだろうか、そんな壁にぶつかることはよくある。本書は大分前に執筆された本であるがまったく現代でも通ずる内容。
    感謝と尊敬、相手を変えるより自分の考え方を変える、アンガーマネジメント。
    時代を超えた名著。

  • 1936年に初版が発行されてから何度も改訂され、世界中の人に読まれ続けているデールカーネギーの名著です。『道は開ける』『話し方入門』などいくつか有名な書籍はありますが、本書は人との関わり方フォーカスです。

    全編通じて様々な人物の体験談を紹介していきますが、それこそビジネス界の大御所や有名な政治家などのエピソードも登場します。リンカーンなど大統領の話なんかも多いです。
    (かなり)大まかに本文で紹介されている『人を動かす』原則を要約すると
    ①人に好かれる⇒②人を説得する⇒③人を変える
    この3段階だと感じました。

    例えばとあるセールスマン(以下A)が、顧客(以下B)から『注文した品質の基準合っていないため全て返品したい』と言われるとします。Aは十分な商品知識と確かな品質をもって納品をしたにも関わらず、Bからこの商品は不良品だと言われてしまいます。
    このとき、一番いい形でこの商談を終わらせるにはAはどのように振舞えばいいか?
    自社の商品に対して十分な知識を持つAは、自分の基準で相手を論破することも可能かもしれません。しかしその場合相手の自尊心は脅かされることになり、例え正しいことで論破したとしても問題が解決するとは限りません。
    (人間は自尊心を傷つけられた瞬間に正しいこと正しくないことに関わらず反発する習性があるからだと、カーネギーは言っています)

    ⇒この例えは、実際にカーネギーの講習会に参加されていた方の体験談を本文より簡潔に抜粋したものですが、この本の重要な部分はこのエピソードに集約されていると思っています。それは『重要な人物でありたいという人間の根本的な欲求』です。

    先ほどのエピソードでAは、不良品を訴えるBの元へ赴き、相手の言い分をすべて聞き切ります。
    ⇒この時点で相手は自分の話を聞いてくれるAに、少し心を開く。

    次にAは、まず自分とBの基準や認識に相違があったことを深く謝罪。(例え自分の基準が正しくてもこの時点では話をさえぎらない)
    ⇒自分の主張に共感してくれるAは、Bの中で自尊心を尊重してくれる人間だという認識。【①人に好かれる】

    そしてAは自分の認識はどうだったのか、穏やかに話す。
    ⇒自尊心を重視してくれるAに対しBは、Aの話を素直に聞く姿勢ができている。
    【②人を説得する】

    そしてAの基準や認識を聞いた後、Bは自身の基準を思い直し、商品を返品することなく商談を成立させた。【③人を変える】

    勿論必ずしもこのようにうまくいくわけではないと思いますが、
    自身を重要視してくれる人間についていきたいと感じたり、そういう人の意見なら耳を傾けてみたいと感じることは誰しもが経験したことがあると思います。
    考えや理論が正しい正しくないの前に、相手を動かすための選択をする重要性がすごくよくわかります。人との関わりにおいて総じて言えることかと思いますが、対面の人が望んでいることは何かを深く想像することが大事だと感じました。
    まさに『人を動かす』お手本が詰まった一冊です。

  • 良い本によく当てはまるのは、結局当たり前のことを大切にしなければならないという自明な結論を持つこと、だと思っています。カルピスの原液みたいな本だと思います。この本もそう。
    いつ、どこであっても人と人が接する場で役に立つ考え方を学べます。
    これからの人生で何度でも読みたいと思います。

  • 世界的ベストセラーの「人の動かす」。
    人間関係の悩みは、この1冊で解決できると思えるほどの内容です。

  • 【感想】
    良いことはたくさん書いてあるが、特に良いと感じた章は、「まずほめる」だった。
    「人間の心理に対する理解の程度はほめてよい。我々は、ほめられたあとでは、苦言もたいして苦く感じないものだ。」と書かれているように、まず、ほめることができるというのは対象人物の言動や行動などをしっかり見てないとできないこと。さらに、ほめるときは表面的なことではなく、しっかり深堀りした理由が言えると、単に指摘する前のお世辞に聞こえないで済む。

  • 「人を動かす」というタイトルからリーダー論やマネジメント論などを想像してしまうが、実際には「物は言いよう」の重要性や事例を丁寧に説明してくれている書物だと感じた。

    私は職業柄事実だけを端的に伝えることを意識しそれに慣れてしまっているが、多少話が長くなっても相手を慮る言葉を投げかける方が良いことに気づくことができた。

    相手の立場に立つ・相手の良いところに着目する・良いことは口に出す、これら基本的なことを真摯に実行していれば、それは結果的に自分のためになるのだということを忘れずに生きていきたい。

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著者プロフィール

1888年、米国ミズーリ州の農家に生まれ、大学卒業後、雑誌記者、俳優、セールスパーソンなど雑多な職業を経て、弁論術や成人教育の講師となり、人間関係の先覚者として名をなす。不朽の名著『人を動かす』『道は開ける』など多数の著作がある。

「2016年 『D・カーネギー・ベストコレクション(3冊セット)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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