NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2016年 4月号 [雑誌]
- 日経ナショナルジオグラフィック社 (2016年3月30日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌 (154ページ)
- / ISBN・EAN: 4910068470461
感想・レビュー・書評
-
借りたもの。
現代の死生観の定義、医療現場、宗教、そして歴史(戦争)から紐解いていく。
医学的な死の定義、脳死は人の死なのか、死(脳死)に至る5つの段階、低体温症のおかげで生還する話、未来の技術で蘇生する可能性に賭ける者……肉体・生命活動の維持に関する話。
脳が死んでも心肺を動かし肉体を維持する事ができるようになったり、心肺停止しても脳の機能維持が可能になった、現代の医療に、死生の境界を問う。
臨死(実死)体験――蘇生した人々が語る幽体離脱や不思議な体験(精霊?天使?に遭遇したり、光やその中にいたり、多幸感を味わったり)は共通項がある。それは一体何なのか?本当にそんな世界が存在するのか、それは脳の機能がもたらす現象にすぎないのか?
神経学者ケビン・ネルソンは意識障害による幻覚(現象)と見ている事を取り上げる。
別の学者は瞑想に関連があるガンマ線が高まる事を指摘し、これが臨死体験の原因ではないかと解釈する。
まるでニワトリタマゴのようだ。
”瞑想は高次元の存在と繋がる”境地に至ることを目指すが、その結果ガンマ線が出るのか(そもそも何で?)ガンマ線が高まることで”高次元の存在と繋がったような感覚になる”のか、その答えが無い。
宗教的な死生観――
死を”終わり”と認識する欧米の死生観と、その人は死んでも連綿と繋がる血脈や絆から死生を一帯と見なすもの、死は永久の別れでの哀しみではない等……
戦争による死――
それは残酷さや嫌悪だけでなく、その後どう生きるかを提唱する。
二度と悲劇を繰り返さないために忘れないこと……(しかし記憶は薄れる)
それがどれだけ非人間的・不道徳なことか……(そこに赦しは無く、連綿と憎悪が語り継がれる)
「このままではいけない!」と思う者達と、被害者であるという意識の反動による団結は一歩間違えると排他的なナショナリズムになる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』を読んだ時のことを思い出した。どんどん死を遠ざける風になってきているけど、死を受け入れる心構えとかが重要な気がする。
メメント・モリとかアンネ・フランクの「私の望みは死んでもなお生き続けること!」といった言葉も思いだした。 -
ものすごいいい特集だった。考えさせる文章。