小説 秒速5センチメートル (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
3.63
  • (12)
  • (22)
  • (22)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 297
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (150ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『儚い初恋の味』

    アニメ映画公開の後に新海誠さんが自ら小説化した一冊。映画は未鑑賞ですが、著者の意図に反して映画のラストシーンが切ないという感想が多かったことから、小説版はラストが補完されているそうです。それでも切なかったのですが…。

    ストーリーは主人公・遠野の小学生から大人までの成長を描く3話からなる連作短編。タイトルの「秒速5センチメートル」とは桜の花びらが舞い落ちるスピードのこと。題意からもわかるように、ひとことで言うと儚い。青春物語であるはずなのに暗い。

    遠野のフィルターを通してみる世界は霞がかかっていて、常に"別れ"を意識させられ、胸のどこかに引っかかるような暗さがあります。でも不快ではなく、どこか物悲しくて懐かしくもある。これを初恋の味と呼ぶのかな…。男は引きずるので。

    雪、海、桜。情景描写が美しいので劇場版も見てみくなりました。胸が締め付けられる初恋の思い出と懐かしさにより、センチメンタルな気分を味わいたい方におすすめです。

  • 読み進めていくほどに胸が締め付けられる作品でした。

    特に切なかったのは種子島での話。
    澄田の真っ直ぐで純粋な恋心は胸がぎゅっとなる。
    遠野が東京へ行く日、きっともう二度と会えないとわかっていたから告白したのかなと思うと切なすぎて、、


    最後、あかりが既婚者になって再会するなんて、
    なんともやるせ無い結末だなと思いました。

  • 『君の名は』『天気の子』のみ視聴済み。新海さんはこういう作品も書かれる方だったんだなぁという、まず驚きがありました。あと、映像のプロならではというか、ストーリーに派手さはほぼなく、映画も未視聴にも関わらず、映像が脳裏に浮かぶシーンが何度もあるんですよ。桜、大雪、明里との秘め事、サーフィン、弓道、ロケット、明里との最後の出会い。タイトルも貴樹の生き方を暗示しているようで、とても美しく、大好きです。恋愛小説、青春小説、ジャンルが括りがたい、きれいな作品。読めたことに満足しています。

  • 以前も一度読んだことのあるこの作品だったが、正直まだ中学生の私には少し難しく、君の名はのようなコミカルさを求めていた気がする。しかし、2度目を読み終えてみて、なんだかすごく、良いものに出会った感覚がある。先ず自身の成長を感じた。
    映画版の評価には、「鬱になる」「2、3週間辛かった」などの意見があり、相当胸にくるものなのかと思っていたが、私は意外にすっきりとした気持ちだ。あまり陳腐な言葉で長々と語りたくはないので、短く終わるが、この本は数ヶ月後、もしくは数年後でもいい、また読み返してその時々の感情を噛みしめたいものだ。さて、次は何を読もう。

  • 立て続けに2回観て,どうにも理解出来なかった映画が,少し分かったような気がする。というか,それなら映画はちょっと端折りすぎじゃないかと。

  • 映画は何ヶ月か前にDVDで見ていたのだが,読みながら映画のシーンがよみがえった。小説版もなんともいえない余韻があった。でも,もうちょっと若い時に読むと良かったかもしれないな。

著者プロフィール

1973年生まれ、長野県出身。
2002年、ほとんど個人で制作した短編作品『ほしのこえ』でデビュー。
2016年『君の名は。』、2019年『天気の子』、2022年『すずめの戸締まり』公開、監督として国内外で高い評価と支持を受けている。

「2023年 『すずめの戸締まり(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

新海誠の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×