蘇我氏-古代豪族の興亡 (中公新書) [Kindle]

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  • 「氏」シリーズ1冊目『日出処の天子』史観をアップデート■乙巳の変では蝦夷ー入鹿の本宗家が滅亡したが、石川麻呂を擁す蘇我倉氏が氏上を継承、大王家が蘇我氏の女を次々とキサキとする尊貴性は変わらない。壬申の乱では連子の系統が生き残り、藤原不比等は連子の娘を嫡妻とし尊貴性を取り込んだ。八色の姓では蘇我を捨て石川朝臣となる。長屋王の変では蘇我系王族が族滅ミウチ関係が途絶える。律令官人の石川氏は弁官クラスとなり、摂関期以降では六位程度の下級官人まで転落した■系や母父には納得感あるが「蘇我氏濃度」は苦笑い(2015年)

  • 乙巳の変で中大兄皇子によるクーデター、
    蘇我入鹿が皇極天皇まで殺される。
    これで蘇我氏は滅亡と習ってきたが、
    本宗家ではなく石川氏として、分家が生き残っていく。
    蘇我氏や葛城氏など、古代の王族の中で、
    蘇我馬子や入鹿の権力の大きさは、
    そう簡単には潰えなかったのだ。
    天皇や皇子、王女の血統を数字(2/1・4/1)で表しているので、わかりやすかった。
    蘇我稲目・蘇我馬子・蘇我入鹿の3代が天皇家に入り込んでいく手法は、後世の藤原氏が踏襲している。
    個人よりも「家」の命脈を大切にする日本人の姿が
    蘇我氏・藤原氏・天皇家によって、体現されてきたのだと思う。

  • 日本の古代の登場人物で有名な蘇我氏、その興亡について詳細に書かれています。文献にその名が初めて出てきた稲目から、大化の改心(乙巳の変)にて、本宗家が滅びたのちのことまで、その事跡に蘇我氏が感じられる部分については出来るだけたくさん記されているのを感じました。蘇我氏がどのように出てきて、力をつけていったのかの前半部分も面白く読むことができます。乙巳の変についての考察も、古代の重要な分岐点について勉強させていただけました。そして著者の伝えたかった、蘇我氏は滅んだわけではないという後半部分。一つ一つ丁寧に、その後の一族の歴史を読むことができます。この一族が日本古代の歴史に大きな影響を与え続けたことがよく分かります。

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著者プロフィール

1958年、三重県津市生まれ。東京大学文学部国史学専修課程卒業、同大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。博士(文学、東京大学)。国際日本文化研究センター教授。専門は日本古代政治史、古記録学。主著に『平安朝 皇位継承の闇』『皇子たちの悲劇』(角川選書)、『一条天皇』(吉川弘文館)、『蘇我氏』『藤原氏』『公家源氏』(中公新書)、『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(講談社学術文庫)、『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書)などがある。

「2023年 『小右記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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