- Amazon.co.jp ・電子書籍 (114ページ)
感想・レビュー・書評
-
解説にも書かれてる通り、前期の作品でヘッセの「古き良き時代」の故郷のお話なので、デミアンぐらい鬱蒼としたものを待ち構えていると物足りない気持ちも若干あるけれど、自然美とか郷愁の雰囲気を存分に味わえてとても良い。疲れた時にまた読みたいかな~
前編「青春は美し」について
ヘッセの本読んでて、いつも主人公に共感するけどこの主人公は途中ん?ってなった( ´-`)何でだろ..。何か..こう、他人を上から(?)ジャッジするような所有しようとするような欲を感じたからかな..あとアンナからもらった硬貨に記載された年度が生まれ年と同じだったからといって、もらった日付をメモして財布にしまったところ、何故か引いてしまった。私でもそれはしないかも..いや絶対にしないと言えない自分が悲しい、多分する気がする。
あとお父さんがくれた手作り手帳に、12個のラテン語で書かれた格言が載ってるの可愛かった。しかも主人公に他に良い格言を自分で見つけたら記すようにお願いしてたのも良かった。解説によると、この前編は1916年版と1930年版では描写がずいぶん異なっているらしく、気になる!
あとやっぱりヘッセの宗教観がまだ全然掴めないからもう少し分かるようになりたいな~そもそもキリスト教のこと自分がよく分かってないから理解出来てないんだろうけど..( ´△`)
後編「ラテン語学校生」について
うんうん、可愛い恋物語ですね。主人公(16歳)が可愛くて、お父さんにあげるタバコの箱にラテン語の詩を書こうとしたけど上手いのを思い付けなくて、「ご健康を祈る!」とだけ大きく書いた場面ちょっと笑っちゃった。あとスケート場できれいな少女に馬鹿にされてしまった時に、彼女のことをおかめと呼んで、会ったときに無視することでうっぷんを晴らしているところも、可愛い。それでうっぷん晴れるんだ。
こういう書き手が過去のことを振り替えっている形式の小説読むと、一体書き手は何歳の時にこれを書いていて、あと何故これを書こうとしたんだろう?ということがすごく気になる。私は自分で自分の過去について書こうと思ったことがないからわからないだけかな..。
あと作品の中で結構空についての描写があって、それは善と悪・光と闇の間で揺れ動くヘッセの心を象徴するのと関係あるのかなぁと気になった。空の描写に注目しながら読んでいくと面白そう。こうしてみると、すごく苦しんで二度とやりたくない(出来ない)と思っていたけど、卒論書いて良かったなぁと思う。良い経験だった。これからの読書に活かしたい。
解説について
解説で訳者の高橋さんが実際にヘッセの故郷に訪れた時のこと書いていて面白かった!高橋さんはヘッセの他にケストナー、マン、カロッサとも交流していたみたいで、高橋さんの論文とか本を読んでみたくなった..。 -
先日読んだ/たおやかに輪をえがいて/に出てきた作品。今回読んだ翻訳版の発行からでも70年近くを経ているはずが、まるでたった今ペン先から染み出してきたかのような瑞々しいタッチで故郷の自然や家族の姿が描かれる。そしてそれは恋に敗れた場面でもなお美しい。
こちらこそよろしくお願いします★
こちらこそよろしくお願いします★