USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? (角川文庫) [Kindle]
- KADOKAWA (2016年4月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (233ページ)
感想・レビュー・書評
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マーケティングとか、遠い世界の話だと思っていたけれど、仕事を進めていくうえで身につけなければならないスキルだと感じられた。面白かったし、勉強になったな。この著者の本は、これからあれこれ読んでいきたいと思った。ビジネスを進める上で、エピソード的、感覚的なことに主眼を置いて書き、読みやすくしてくれていたのだと思う。あるいはそれがマーケティング的に売れる本の作り方だったのかもしれないけど。自分の仕事に役立てるという意味では、著者の『確率思考の戦略論』とか、他の本を読んでつなげて勉強していくべきだろう。
日本のお母さんは、海外に比べてテーマパークへ行く頻度が高い、という話が印象に残っている。
「テーマパークは、「ある層」の人々にとっては特に重要なのです。「ある層」とは、日本女性(その中でも母親)のことです。彼女たちにとって、テーマパークは貴重なストレス発散装置となっています。日本女性は、アメリカ女性の約 2倍の頻度でテーマパークを訪れます。」
「先進国の中でも特異な日本の文化事情によって、母親が罪の意識なしにストレスを発散できる装置が少ないからではないかと思います。先進国の中で、家事負担がここまで女性に偏るのも日本くらいですし、欧米のように子供をどこかに預けてストレス発散をすることに罪悪感を覚える人が多い。日本の女性は献身的な存在と言えるのではないでしょうか。」
自分の仕事を考える上で、頭に置いておかなければならない要素だと思った。 -
読んでいて元気を貰えました。
アイデアの生み出し方、リスクを取る勇気を学ぶことができました。 -
プロローグ 私は奇跡という言葉が好きではありません
第1章 窮地に立たされたユニバーサル・スタジオ・ジャパン
第2章 金がない、さあどうする?アイデアを捻り出せ!
第3章 万策尽きたか!いやまだ情熱という武器がある
第4章 ターゲットを疑え!取りこぼしていた大きな客層
第5章 アイデアは必ずどこかに埋まっている
第6章 アイデアの神様を呼ぶ方法
第7章 新たな挑戦を恐れるな!ハリー・ポッターとUSJの未来
エピローグ USJはなぜ攻め続けるのか?
文庫版あとがき 打ち上げられた「ハリー・ポッター・ロケット」 -
自分は凡才で、特別なアイデアも思い浮かばない。
本当は色んなアイデアを出してそれを実現していく面白さを感じたいのに…。
などなど散々考えてきたけど、いかにそれが甘い認識だったか思い知らされた。
そこまでして考えに考えて脳に汗をかいたことすらないのに。
でもそのためには、まずは自分が一直線に熱中できるものを見つけたい。目標のない毎日は苦しい。
まずはやってみたいことをやってみて、視野を広げていこう。そのうえで脳に汗かけるほど考え続けるものに出会おう。 -
マーケティングの鬼気迫るケーススタディ
■概要
ターゲティング、商品/サービスへのこだわり(方向性の見極め)の大切さ、人や組織の動かし方、エグゼキューションまでをUSJの再生事例から学べる。その中でも特にアイデア創出の方法に重きを置いている。
アイデアは合理的な準備と日頃のインプット、丸パクリではなく「アナロジー」に近いところから生まれる。著者自身は決してクリエイティブな人材ではなく、むしろ論理思考の人間。そのような人間でも奇抜(実際は奇抜に見えるだけ)かつ合理的なアイデアは生み出せる。目的が正しいかを判断するのに時間を使うが、やると決めたらできるまで考え、やり抜くマインドも大切。
■所感/評価
マーケティングの教科書というよりはUSJ再生のノンフィクション。学びを得るには読書側で抽象化が必要、もしくは以下参考のとおり別冊を読む必要あり。これは1本1メッセージにする以上仕方ない上に、本書は本書でリアリズムをかんじられて面白いので、マイナス評価にはならない。
ただ著者も認める様にハリーポッターのプロモーション用に書かれた本なので、ハリーポッターの章の所は冗長気味。
(参考)著者の他の作品
・マーケティング全体⇒『USJを変えたたった一つの考え方』
・需要予測や消費者趣向(ブランド)⇒『確率思考の戦略論』
・組織の動かし方⇒『マーケティングとは組織革命である』
事例に寄っている分、エンターテイメントへの情熱やエンターテイメント業界固有の特性(行列、口コミ)が書かれており、スポーツビジネスへの応用も効く内容だったことは間違いない。 -
著者である森岡毅さんの別書「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」と本質的に同じ内容。当然面白い。
確率を上げるイノベーションフレームワークの流れ
・目的→戦略→戦術
・戦略はターゲット基準で考えて絞る
・世界のどこかに似た問題がないか探して参考にする
・必死に考える
・戦術を具体的に昇華させていく
感性や閃きにアイデアの本質があるのではなく、数学的フレームワークと戦略的フレームワークでアイデアを何度も創り出す姿が書かれています。
「ひらめくならこんなことやらない。アイデアを生む確率を高めるためには、高める努力をするしかない」など、誰にでもできる普遍的なノウハウを駆使しているからこその発言が各ページに存在し、読み物として非常に楽しいです。
目的を明確化して、戦略を絞って、具体の戦術を徹底して考えること。その事例が実体験をもとに肉迫して書かれています。 -
P&G でブランドマネジメントをリードし、USJ をマーケティングの力で V字回復させた、真のマーケターによるアイディアの出し方・成功のさせ方。リソース・予算のない中、また震災で逆風の吹く中、どうやって USJ は集客を伸ばしたのか。そのためのアトラクションのアイディアはどうやって出てきたのか。必要条件を書き出し、戦略的にアイディアを考え抜く。苦しんで苦しんで、考え抜いた末に、アイディアの神様が下りてくる。
その実例として、ハロウィーン・ナイトや、後ろ向きで走るジェットコースターなどをヴィヴィッドに紹介し、その思考フレームワークを説明する。
業界2位以下の企業は攻め続けるしかない。変わり続けるしかない。仕掛けられる体力のあるうちに、将来の生き残りをかけてビジネスモデルを変革しておく必要がある。その危機感が凄い -
面白かったんだが、やっぱり「マーケティングとは『組織革命』である」も読まないといけないんだろうか、と少し片手落ちの感があり、星4つ。
すごいアイデアを生む努力と実現への情熱はわかったのだけど、「実現」が難しいアイデアをどうやって実現するか、というところまで書いてほしかった。この本を読む限りではCEOのグレン・ガンペルが交渉パートの重要どころを頑張ったので、ステークホルダー含め利害関係者が森岡さんのアイデアに納得した、と読めるのだけど、個人的にはグレンさんのようなすごい交渉人を代理に建てなくても0to1を実現するためにマーケターとして何をすべきか、を知りたかった。
まあ、マスメディア向けに、マーケティング戦略の一環として書かれた宣伝の本だそうなので、そこまで求めるものじゃないってことなのかも。