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感想・レビュー・書評
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まず、この本は星新一さんの著作ではない。
著者は石川蓮さん。石川蓮さんが、ショートショートづくりのエッセンスを星新一さんのエッセイから抽出してまとめたもの。
「きまぐれ博物誌」「きまぐれ星のメモ」「ほしのはじまり」「きまぐれエトセトラ」「きまぐれ遊歩道」「できそこない博物館」「きまぐれ体験紀行」などが元になっている。
星新一さんがどのようにアイデアを出し、アイデアを広げ、オチにつなげ、あのように多作のショートショートを生み出したかが簡潔にわかる一冊。
「アイデアはひらめくものではなく、不器用で泥臭い作業のつみ重ね」
「アイデアの上位十%だけを作品にする」など。
この本を読んで、星新一さんの作品を以前より楽しめるようになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
星新一本人の言も引用しつつの、ショートショートの書き方についての解説書。
突飛で画期的な方法論が書かれているわけではない、単純明快な内容。けど一作を作り上げるまでにやらなきゃいけない単純な作業が如何に大変かというのが非常によく分かる。形にならなかったアイデアの山の上に作品が成り立っているという点については、今日、メジャー通算3000本安打を達成したイチロー選手が日米通算4000本安打を放った時、「4000のヒットを打つには、8000回以上悔しい思いをしている」と語ったことに通じるものを感じる。
「質はさておきアイデアをたくさん出す」というのはビジネスの世界でも散々言われていることだと思うけど、そういう点では本書をビジネス書として読んでみても面白いかもしれない。ビジネスの世界だろうと文芸の世界だろうと、大事なのは他人の興味を引くことと考えれば、本書は物語を書きたい人以外にも訴えかける内容になっている。 -
星新一氏のような著名で何十年も活躍している作家は、きっと才能があるのだろうと思ってしまうが、創作の生みの苦しみや人一倍の苦労によって作品がうまれているということらしい。
具体的な作り方が例も織り交ぜながら書いてあり、ひょっとして1作位書けるかもという気分にさせてくれる。