新装版 細雪 上 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • さすが、日本文学屈指の名作とよばれていたことがわかります。

    ただ、これだけ有名な作家でありながら、私は今まで1冊も完読したことはなかったことを今更ながら反省しています。

    そして、この小説における谷崎の文体、特に地の文の長さは宮尾登美子の名作「櫂」を、女性視点の描写は太宰治の秀作「女生徒」を想起させますが、少なからず後進の多くの作家たちに影響を与えているのではという思いを強く持ちました。

    物語は日常にありそうな出来事を淡々と描写してゆきますが、1つ1つの小さな出来事に言葉を尽くしたリアリティがあり、さらに作者ならではの優しい視線にあふれた文章は、昨今の起承転結もなく、面白みもない特異な文体を売り物にするだけの芥川受賞作品とは比較するのも失礼なくらい格が違いますが、それはそうした作品群に高評価を与え続けている選者の責任でもあるのでしょう。

    美しい日本文学の復興のためにも、もう一度「細雪」のような原点回帰の必要性を痛感しました。

    「細雪」は文庫本で数社から出ていますが、私が読んだ角川文庫の解説(野村尚吾、成瀬正勝)は素晴らしく、また谷崎の妻で本作の幸子のモデルともいわれる松子夫人の追想録も収載されていますのでお買い得です。

    小説を読まなかったといわれる昭和天皇も完読したという名作を是非。

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著者プロフィール

1886年7月24日~1965年7月30日。日本の小説家。代表作に『細雪』『痴人の愛』『蓼食う虫』『春琴抄』など。

「2020年 『魔術師  谷崎潤一郎妖美幻想傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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