- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988126209711
感想・レビュー・書評
-
ポップ、ダーク、リアル、シュールの四つの配合バランスが絶妙な、超ハイセンス作品。
「ある日突然自分の寿命を知ってしまったら、人は残りの人生をどう過ごすのか」
そんな永遠の大課題を、超絶大胆奇抜なシュール設定、主役少女のキュートな魅力、ポップな映像をベースに、厳しい現実や社会問題、毒も闇もたっぷり含んだブラックジョークを織り交ぜながら、軽やかだけどしんみり考えさせて見せてくれる。
ブリュッセルのとあるアパートの一室には、本物の神様一家が住んでいた。
全能の神は、慈悲深いどころか、自分が作ったはずの人間たちに試練とは言えない様々な悪業を働いて傷つけることで、日々の退屈を紛らわしている。
そして、家族に対しては、完全にDVとモラハラの毎日。
神の実態は、正真正銘のクズオヤジだった。
神の娘で10歳のエアは、そんな父へ反発から、父の力の源であるパソコンを使って全世界の人々に各人の余命を知らせるメールを送ってしまう。
エアは父に対抗するため、「兄」の助言を受けて、余命騒動に混乱する世間の中から6名を「使徒」に選んで奇跡を起こして「新・新約聖書」をつくろうと、街へ家出する…。
選ばれた使徒たちは、年齢も、性別も、境遇も、抱える問題も、寿命も様々。
だけど、彼らが体内に秘めていた孤独や鬱屈は、どことなく、似通っている。
彼らは突きつけられた寿命に初めはショックと混乱を隠せなかったけれど、エアとの接触を機に、長年胸に秘めていた思いと向き合って行動を起こし、そして、手を取り合って…。
もう、本当に、誰か見て欲しいです。
そして、十人十色だろう感想を聞きたいです。好評でも酷評でもいいので。
むしろ、半々くらいかな、と予想。
それぐらい、あまりにも大胆奇抜。
なのに、ハイセンス。
(多神教で神様も人間並みに自由な神道に馴染んだ日本はともかく、キリスト教の強いヨーロッパで無事に受け入れられたのか、ちょっと気になりますが…)
受け付けない人もいるとは思いますが、ツッコミどころ満載のありえない設定は、コメディとしても、十分楽しめると思います。
エアの兄の設定とか、あのカトリーヌ・ドヌーヴ演じる金持ちマダムが衝撃の恋に落ちる相手とか…。
私は観終わって、自分の余命がわかってしまったらどうするかの答えはまだ出なかったけど、なんだか前向きな気持ちになれたので、個人的にはオススメな作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
LE TOUT NOUVEAU TESTAMENT
2015年 フランス+ベルギー+ルクセンブルク 115分
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ピリ・グロワーヌ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ブノワ・ポールヴールド
http://kamisama.asmik-ace.co.jp/
何を隠そうブリュッセル在住の「神様」は、かつて世界を創生し、今では部屋に閉じこもってパソコンですべてを管理している。性格悪くて陰険なこの神様は、事故や天災を起こしたり、人間を苦しめる小さな法則(ジャムつきパンは必ずジャムの面から落ちるなど)を作ってはニタニタしている。その妻は愚鈍で夫に口ごたえひとつできず、10歳娘のエアは横暴で自己中なモラハラDV親父に猛反発!かつてやはり父に反抗して家出した兄のJC(言わずと知れたジーザス・クライスト)のアドバイスで、6人の使徒と「新・新約聖書」を作るため、洗濯機の通路から人間世界への家出を決行。その前に父への嫌がらせとして、パソコンから「余命宣告メール」を全世界に発信、さらにパソコンを使えなくしてしまう。
監督は『トト・ザ・ヒーロー』が大好きだったジャコ・ヴァン・ドルマル。ゆえに設定について細かいツッコミなど入れてはいけません。これはあくまでコミカルでブラックなファンタジー。最近たまたま旧約聖書を何冊か再読していて、神の横暴、モラハラ、パワハラ、DVっぷりに大変憤りを感じていたので、娘を追いかけて現世へやってきた神(=ふつうのおっさん)が、威張りくさって横暴な言動をするたびに、オヤジ狩りの不良少年どもにボコボコにされたり、運び込まれた病院で子供のジャムパンを奪って母親に殴られたり(しかもジャムパンはジャム面から落ちる!)、難民救済院みたいなところで炊き出し貰うのに順番抜かしをしてまたボコボコにされたり、庇ってくれた信者に息子JCの悪口を言いまくってまたボコボコにされたり、とにかく踏んだり蹴ったりの酷い目に合いまくるのが痛快(笑)それでもまだ「イナゴ降らすぞ」とか言ってるし、これよく宗教関係機関からクレームつかなかったなあ。
エア役のピリ・グロワーヌはとにかく可愛い。そして兄のJCほどじゃないけど、ちょっと水の上を歩いたり、一つしかないハムサンドを二つにしたりくらいはできるし、人間に固有の音楽を聞き取ることもできる。父の書斎からランダムに盗んだファイルの6人を自分の使徒にすると決めた彼女は次々と彼らに接触していく。美人なのに左手が義手のオーレリーのエピソードがシュールで一番好きだった。テーブルの上でスケートをするように失われた左手が踊る場面の、グロテスクと紙一重の美しさ。使徒たちはみんなちょっと変で不幸だけど、ちょっとした映像のファンタスティックさで全体的にとても可愛らしい印象。恋をした殺し屋の周りに浮かぶ花、女の子になりたい少年にまとわりつく魚の幽霊、冒険家を誘導する鳥の群れ、そしてサーカスのゴリラと恋に落ちる大女優カトリーヌ・ドヌーヴ(笑)さすがデルヴォーやロップス、マグリットの国ベルギーの映画。
個々の余命を宣告された人類の反応も面白い。余命62年の青年は、何をやっても死なないと証明するために何度も飛び降り動画をアップするし、紛争中の軍隊は戦争を止めてしまう。神自身がいうように余命=いつ死ぬかわからないことが、神が握っている人間の「弱み」で、それがあるから信仰されていたのに、余命を知った人々は生き方の指針を変えてしまう。最後に必要とされるのは神ではなく愛だというベタだけどポジティブなメッセージは、しかし微笑ましい。6人目の使徒である少年ウィリーの余命最後の日にエアのママ=夫である神にさんざん愚者よばわりされていた女神が起こした奇跡も、ひたすらハッピー。ガーリィなエンディングも可愛いけれど、実はすごくシニカルな映画でもあり、個人的にはとても面白かった。 -
最後まで見ずにはいられなかった!
面白い、もしかしたら神様の世界と私たちの世界はドラム缶式洗濯機でつながっているのかも…!笑
フランス、ベルギー、ルクセンブルクの合作らしく、舞台はブリュッセル。
ヨーロッパ映画独特のユーモア、センスに乾杯。
明るく楽しく見れる作品♩ -
★★★liked it
「神様メール」 ジャコ・ヴァン・ドルマル監督
原題: Le Tout Nouveau Testament
英題:The Brand New Testament
神様はベルギー在住で妻子あり、パソコン使って人々の人生を弄ぶ意地悪なおやじ、神様の10歳の娘エアは父の横暴に嫌気がさし、人間を運命から解放するために余命を知らせるメールを一斉送信、兄のイエス・キリストにアドバイスを受け、救いを与えるための旅に出る。
もしも余命を知ってしまったら、どうします?
もし明日、あるいは10年後に死ぬことを知ったとしたら、
あなたは何をして、誰に会い、何を語りますか?
テーマは、主人公エアの言葉
「死後は何もない。天国はここよ」
一秒一秒がすごく大切なものに思えてきます
ベルギー映画でフランス語です
ファンタジー、コメディ、アートっぽいところはフランス語とピッタリ
可笑しい設定とストーリーが楽しい、また考えさせられます
エア演じるピリ・グロワーヌの愛くるしい演技
ゴリラと恋をする有閑マダムを演じるカトリーヌ・ドヌーブにもビックリします
エンディングの歌 An Pierlé - Jours Peinards
https://youtu.be/mfM2cpJn4ho -
うれしい未来、受信中
-
独特で鮮やかで発想豊かな映像表現が素晴らしい。一番よかったのは、恋をした男性の顔の周りに黄色い花が8つほど浮いているところと、周囲がぼんやりとして半透明のゼリー越しのように見えるシーン。
内容も皮肉が効いていて、とても面白かった。そしてケヴィンが本当にお馬鹿。
こんな映画がヨーロッパ各国で人気になるなんて、さすが酸いも甘いも噛み分けた国々だな。 -
ヘンテコで多幸感溢れる世界になって良かったです。女神ママ最強。
ブラックでシュールで、好きな空気でした。
神は初めにブリュッセルを作った。神は今では災害を起こしたり地味な不幸を制定して暮らしてる乱暴な父親。
野球と刺繍が好きな母、磔にされた兄(JC)。
娘である主人公・エアは父親のパソコンから人々に余命をカウントダウンするメールを送り、家出(出エジプト)。そして新・新約聖書を作り、使徒を探す旅に出る。
エア、人の音楽が聴こえるって素敵。わたしはどんな音楽なんだろうと思いました。
使徒になる皆さんもそれぞれ個性的でした。6人目の使徒の子が可哀想だったな…昔でいう代理ミュンヒハウゼン症候群の母親で。カトリーヌ・ドヌーヴも美しかったです。
どうして使徒を6人集めてるんだろう…って思ってたら、野球が出来る18人揃えたら何かが起こる、っていうエアの願いでした。「最後の晩餐」の絵画に人が増えていくの笑いました。
空が花柄だったら、元気無くても空見上げたらなんとかなるかもと思いつつ、でもちょっと鬱陶しいかもな…。
ママやりたい放題で微笑ましかったです。神は因果応報でした。
余命を知らされたら、自分なら何するかな…と思いました。少なくとも、まだ期間はあるからって飛び降りまくりはしない。飛んでる飛行機に着地したら死ななくてもかなりの大怪我は負うと思う。 -
Amazonから引用。
神様はブリュッセルのアパートに家族と一緒に住んでいて、パソコンでいたずらに世界を支配している。
ある日、神様の娘10歳のエアは人間に運命に縛られずに生きてほしいと思って、神様のパソコンから人々に余命を知らせるメールを送ったから、さあ大変!
エアが大パニックな世界を救う旅にでると、彼女の小さくてヘンテコな奇跡は思いがけず人々のお悩みを解決していく。
会社員は鳥を追い北極まで大冒険、殺し屋は不死身の美女にめぐりあい、主婦はゴリラと恋に落ち……
皆、それぞれの生きがいを見つけていく。
しかしエアが最後に出会ったウィリーは死期が迫っていて――。
小さな奇跡たちが呼び起こす、神様のパソコンからの人類への[最高にハッピー]なメールとは? -
家族構成は神(父)、女神(母)、兄(イエス)、そして妹。この妹が、家庭で横暴に振る舞い、コンピュータで世界に災厄をもたらして喜ぶ父に対して愛想を尽かし、世界を変えるために下界へおりていく。その際に、妹は人間たちに余命を教えてしまう。そして、兄イエスの12人の使徒に加えて6人の使徒を選び、新たに、新・新約聖書を書かせようとする。そんな娘の叛逆に気づいた父神は娘を追いかけて下界へ降りていくが……
さるクリスチャンの知人に、なぜ神のことを「彼」と呼ぶのか尋ねると、単なる慣習にすぎないとお茶を濁したけれど、本作はまさにそこを、ユーモアをこめて問い直す内容だった。
どうして神が男じゃないといけないのか。
本作のテーマはそれに尽きる。