裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬 ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬 (文春e-book) [Kindle]
- 文藝春秋 (2016年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (308ページ)
感想・レビュー・書評
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あまり期待せずに読み始めたのですが、想像していたよりも面白く読めました。やや深みには欠けますが、読者を引き込んで一気に読ませるようなところがあります。一つ気になったのは、専門知識がない人にも話が理解できるようにと配慮した結果、簡略化し過ぎてかえって分かり難くなっている箇所が目立ったことです。むしろここは老子先生の金言に従って、ITリテラシーが低い読者のために分からないことをどうやって「ググる」のかを説明してあげた方が親切だったように思います。
本著に限らずこの著者の作品には、「IT後進国」日本の産業界に対する憤懣が強く感じられます。しかしそれを単なるルサンチマンに終わらせずに小説として昇華した点は高く評価したいです。同じ憤懣を抱えるエンジニアの皆さんが読めば、エンジニアのような専門職の仕事よりも何も専門技能を持たない単なる「正社員」を優遇したり、口八丁なだけで実績の伴わないコンサルタントの言葉を真に受けて現場の声を無視したりといった「業界あるある」に頷くと同時に、色々と考えさせられるのではないでしょうか。シリーズの今後に期待しています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2016年松本清張賞最終候補作、プログラマー・ゲーム作家の小説家デビュー作。
安藤裕美は20代で起業し腕のよいプログラマーを企業に斡旋している。しかし、自分の会社が送り込んだプログラマーが、データを暗号化・使用不能にして「身代金」を要求してきた。
素人さんの小説という感じだが、業界の実態が見られて面白かった。
(電子書籍 honto)