ザ・会社改造--340人からグローバル1万人企業へ (日本経済新聞出版) [Kindle]
- 日経BP (2016年8月31日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (428ページ)
感想・レビュー・書評
-
三枝氏は一橋大学卒業→超大手三井系メーカー→BCG(三井系 国内採用第1号コンサルタント)→スタンフォード大学MBAのキャリアを持ち、41歳から事業再生専門家として16年間不振事業の再生に当たった本物のプロ経営者。
ミスミCEOに就任し、340人の商社からグローバル1万人超の国際企業に成長させた神経営者でもある。ちなみに、創業40年で売上高500億円だった上場会社をわずか4年で1000億円にしてる。
・著者の有名作『V字回復の経営』同様に、組織に変革をもたらすためには、綺麗事+強引なリーダシップが必要。
・経営者を目指すなら、経営者としての技量を上げる生き方を探す必要があり、機能別の仕事を長く続けても、経営者としての技量は育たない。
・元気な事業、元気な会社を保ち続けるためのキーワードは「変化し続ける」こと。
・経営者の技量は、過去に経験した「死の谷」の回数で決まる。
・多くの経営者に推奨してきたことのひとつは、新しい職位に着任した瞬間に、そのポジションの後継者を密かに3人リストアップすること。
・事業部組織に「戦略志向」を吹き込む。戦略とは何か。それを知らなかった事業部の社員たちは、苦労しながら「戦略シナリオ」を描き、売上高150億円の事業部を1000億円超のグローバル事業に成長させた。
成長を求めて「国際戦略」の勝負に出る。海外に無関心、本社の海外事業組織はゼロ、戦略もなしの状態から、13年後に海外社員7000人、海外売上高比率50に迫る国際事業をつくる。
・「買収」を仕掛けて「業態革新」を図る。商社専業40年の歴史に別れを告げ、メーカー買収に踏み切った。
・「元気な組織」をどう設計するか「組織末端やたら元気」と「戦略的束ね」の両立が会社の理想。日本の経営の実験場として試行錯誤を重ね、高い成長率を生み出した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
組織に変革をもたらすためには、綺麗事だけではなく多少強引でもリーダシップが必要だとよく分かった。この人の下で働く人たちはすごく大変だと思うが、このような経営者でなければ会社を急激に成長させることはできないのだろう。
-
著者である三枝氏は一橋を卒業後、大手メーカー、BCG、スタンフォードMBAを経て、企業再建やVC経営に従事した紛れもないプロの経営者である。
そんな氏が手掛けたミスミでの改革を赤裸々に描いた一冊。
三枝氏がミスミ社長に就任した当時、既に東証一部に上場しており、ビジネスモデルも盤石であった(ように見えた)。そのまま安定経営することも可能であっただろうが、氏はそこに安住せず、問題点を見つけ、苛烈なまでの改革に乗り出した。
その結果、タイトルにもある通り340人からグローバル1万人企業へと飛躍を遂げた。ここまで実行に移せる経営者が何人いるだろうか。
また創業者でありながら、三枝氏を信じ、すべてを託した田口氏の気概にもリスペクトが持てる。恐らく田口氏の信任なくして、ここまでの改革は成し得なかったであろう。 -
会社の社長まではいかずとも、小さな単位でのリーダーになることが多々あるので、「なるほど」と思うだけではなく、本書の内容を意識しながら働きたい。
ただし、自分が相手への指摘に使う言葉はもう少しソフトに! -
面白いし役立つんだけどこんな上司いたらちょっと嫌かも
-
私(著者) の考えでは、経営者の優劣はフレームワークの有無で決まる。フレームワークとは、物事の本質や構造を理解し、わかりやすく説明するための「枠組み」のこと
知財にも、色々なフレームワークあるのではと思っています。権利化の三代論点、新規性・進歩性・記載不備、のような感じです。
ただ、NDAなどの知財が絡む契約になると途端にケースバイケースになってしまいます。そんなことはないだろうと。ある程度は型に嵌めて対応してるだろうと。まずはあるかどうか探して、なければ自分で作るしかありません。あるかどうかとは言っても、知財業界にはそれなりにプレーヤーがいるので、どこかに誰かが考えたフレームワークがあると思います。 -
企業の再生請負人、ミスミの元社長として有名な三枝さんの2016年の書。V字回復の経営とかも読んだけど、この本は題材がミスミだと明記されており、これまでのものよりもより臨場感を持って読むことができる。
これまでと同様の三枝節がいたるところで炸裂しているけど、この作品は今までの中で一番印象的。経営者や事業開発を目指す方であれば、これを読まないという選択肢はない本だと思う。
※うまく三枝体制に適応できなかった人が、本書にどういうコメントをするかも興味あり
・目の前に見える「混沌」に対し、切れ味鋭く「謎解き」を行い、本質に迫らないといけないが、一朝一夕に身につく能力ではない。考えに考え抜き、修羅場を経験することで身につく。フレームワークのレパートリーが増えていく。優れた経営リーダーは、この「謎解き」を生活かつ早く行える人
・修羅場の原因の多くは戦略系だが、その苦しさを増幅させるのは政治系の動き
・どの企業でも商品の強みは主として「品質」「コスト」「時間」の3要素で決まる
・事業シナジー(主に7分類)のない新規事業に取り組んではいけない
・会社が大企業病になると、「開発→生産→営業」の連携速度が鈍くなる。「時間」は重要な差別化要素
・日本企業を元気にするポイント ⇒ 従業員の目を輝かせる手法を追求すること
・リーマンショックの間、アジアの競合は拡大の手を緩めなかった。昔は日本企業がアメリカ企業の技術に学び、抜かしていった。今は、アジアの企業がそれを日本に対して行っている
・リーダーは、情熱を持って熱く語らないといけない。一方で、そのプレゼンの前にはとにかく「考え抜く」。実際に行動に移す前に、考えに考え抜く
・原価計算は非常に重要。Activity Based Costingの考え方で、SG&Aも現実を反映して配賦する。そうすると、各製品の真の収益力が見えてくる
・自分たちの製品価値について、真に顧客がそれを欲しているかをよく考える
・新商品や新製品のローンチ時は一気呵成にシェアを奪取する。ローンチまでは、目立たないようする
・「トヨタ生産方式」は、三枝氏であっても論理的に高揚を説明することは困難。習うより慣れろ
・優れた戦略の要諦⇒「絞りと集中」「シンプルな目標の提示」「ストーリー性」
・作業の細分化・専門化は、逆に生産性を低下させる。朝から晩まで単純作業をすると、前後の工程の都合などほとんど見えなくなる -
涙が出るビジネス書
-
「三枝匡の経営ノート⑩ 個人の「ジャンプ」と組織の「矮小化」の力学」(P.421~)の項が、現在自分の置かれている立場、職責、今後のキャリアを考える良いきっかけとなりました。