「言葉にできる」は武器になる。 (日本経済新聞出版) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 著者は元電通のコピーライター。「世界は誰かの仕事でできている」「この国を、支えるひとを支えたい」「バイトアプリは、タウンワーク」などの有名なコピーを作っている。言葉の仕事をしている人だ。言葉にならなくてもやもやした状態から、言葉にする。そして、その言葉をきちんと相手に届けるということをどうするのかを説いた本である。
    「言葉において大切なのは、人を動かす力ではなく、人が動きたいと思わせる力である」という。
    不理解・誤解→理解→納得→共感・共鳴と言葉を伝えた人が動いていく。言葉が響けば、人は自然と動き出す。そのためにどうすればいいか?
    言葉は「コミュニケーションの道具」だけではない。まずは意見を育てるプロセスが重要で、言葉はその役割を担っている。自分という存在、自分の考え、価値観と向き合い、深く思考していく。奥行きを持たせるための「内なる言葉」の存在を意識する。
    物事を考えたり、感じたりするときに無意識のうちに頭の中で発している言葉。それが内なる言葉である。あらゆる感情が頭に浮かぶときに必ず、この内なる言葉を持っている。内なる言葉に気がついたときに「こんなふうに感じるのか」「自分はこういう人間だったか」と発見する。
    著者は「内なる言葉とは、無意識のうちに浮かぶ感情や、自分自身と会話することで考えを深めるために用いる」「内なる言葉で思考を深め、外に向かう言葉に変換する」という。言葉にならないものを言葉化することだ。内なる言葉と向き合うことは、自分の視点と向き合うことと同意である。内なる言葉の解像度が高いほど、何を考えているかや何をしたいかが鮮明となる。
    自分の中に、その内なる言葉を生み出すために必要なのは、動機である。「言葉にできないというのは、言葉にできるだけに考えられていないと同じである」と著者は言う。
    具体的に考えていたけど、抽象的だった。筋道をつけて考えていたけど一貫性がなかった。ずっと考えていたけど、同じことを考えていた。考えることの難しさがある。
    「なぜ?」「それで、結局何を言いたいの?」「それで、結局何がしたいの?」「本当に?」「それで結局どんな効果があるの?」を繰り返す。
    著者は7つのルールを提示する。
    ①たった一人に伝わればいい(ターゲッティング)
    ②常套句を排除する
    ③一文字でも減らす(先鋭化)
    ④きちんと書いて口にする(リズムの重要性)
    ⑤動詞にこだわる(文章に躍動感を与える)
    ⑥新しい文脈を作る(意味の発明)
    ⑦似て非なる言葉を区別する(意味の解像度を上げる)
    というような、ルールによって、内なる言葉を整理して、相手に伝わるようなメッセージを作り上げていく。うーん、なるほど。
    しかしながら、一方的に自分の中の内なる言葉にこだわり、相手のことをほとんど考えないで組み立てるという手法は、電通的な立場に立っている人の発想だね。
    私は言葉にできないもやもやを大切にしたい。無理して、整理することはない。その中から、自然に言葉は生まれると思う。

  • 【感想】
    正直に生きることを今年のテーマにしたのですが、「でも正直な自分ってなんだ??」と思っていました。その状態でたまたま読んでいたこの本がぶっ刺さりました。この本は言語化するにはまず言語化したい概念を自分の中でしっかり育てる必要があると説きます。

    言葉にできないということは「言葉にできるほどには、考えられていない」ということと同じである。(本文より)

    上記のことは言われてみれば当たり前なのですが、自分はその当たり前ができていなかった。言語化する以前に、自分にちゃんと内なる言葉を使って向き合っていなかったことに気づきました。かなりこの気づきは自分の中では大きかったため、☆5をつけたいと思います。とりあえず自分とちゃんと向き合うため、毎週一時間は自分と向き合う時間を確保します。

    後半はコピーライターの筆者らしく、言語化に関わるテクニックが紹介されており、仕事でも役立つような知識が多くありました。

    【自分向けメモ】
    人は「内なる言葉」を用いて思考している。まずは自らの内なる言葉をきちんと認識すること。内なる言葉を正しく用いることで、自らの感情、思考の解像度を上げることができる。

    内なる言葉が頭の中に溢れすぎると、何らかの感情を確かに抱いているのに言葉にできない、という状態になる。この状態を解決するために① 思考を漠然としたものでなく、内なる言葉と捉える。 ② 内なる言葉を、俯瞰した目線で観察する。 ③ そして、考えを進めることに集中し、内なる言葉の解像度を上げる。というステップを踏むことが有効である。

    最も基本的であり重要なのは、1人の時間を確保し、自分自身の中から湧き出る「内なる言葉」と向き合うことである。

    多くの人に理解してもらいたいと思って言葉を発しても大概理解されない。ターゲット層に含まれる具体的な人物一人の顔を想像しながら言葉を発する。

    常套句(ごしどうごべんたつみたいなやつ)は便利だが、自分も頭からっぽで書くし、相手も読み飛ばすような空っぽの言葉である。常套句を減らすことが相手との間合いを詰めることにつながる。

  • 外言、内言
    自分(ひとり)会議

  • 表現力を上げるためにもっとも重要なのは、内なる言葉の解像度。
    普段の思考をいかに言語化できるか。

    この意識は、意外と出来ていない。もやもやと悩んでしまっている事柄はたいてい、思考の言語化が出来ていないことが多い。

    まずは、内なる言葉に意識を傾ける。そしてそれを積み重ねる。すると、表現力が上がる。

  • 自分自身、思っていることを言葉にしたり相手に伝わるように話したりということが時折うまくいかないことがあるように思っており、どのようにしたらこれらを解決できるだろうか、という問題意識のもと、本書を読んでみた。
    結論から言うと、参考になる内容はいくつかあったものの、1500円も出して買う内容ではなかった、というのが率直なところである。本書の内容は、何となく言わんとしていることが分かるような気もするのだが、全体的に言葉の定義が曖昧で(ちなみにこういう言葉の定義が曖昧な本はその時点でダメな本だと佐藤優の著書に書かれていた)、具体的に何を言っているのかよくわからないところが随所に見られた。著者自身の感覚で書いた抽象的な記述になっているのだと思われる。ぱっと見、それっぽいことを言っているようだが、冷静に読むと意味が全くわからない文章となっていたりして、結果的に自己陶酔的なポエムをキメているようになっていて何とも痛々しい。このような有り様は、本書の内容を照らし合わせると何とも皮肉なことである。
    しかしながら、世の中にはこういう何を言っているのか分からない人は時々いる。こういう人たちとコミュニケーションを取るにはどのようにしたらいいのだろうかと、本書を読みながら思ってしまった。彼らのソウルを感じ取りながら言っていることの意味を必死に理解しようとする姿勢が大事なのだろうか。

  • テクニックではなく、考え方を教わりました。

    「正しく内なる言葉と向き合った量、
    つまり思考量によってのみ、
    心から伝えたいことが生まれ、
    言葉に変化が表れる」

  • 感情を言語化することに強いこだわりがある私が、きっと自分のことを正解だと言って欲しくて手に取った本。私はまぁ割とよく喋る人間なので、ペラペラと言葉を並べた先にそれに騙された優しいみんなに、「語彙力あるよね、どうやって身に付けたの?」って聞かれるのだけど。ファイナルアンサーは「人や世の中に対する不満を、余すところなく憎しみたっぷりに表現したくて身についちゃった」なのだけど(マジ最悪う)結局思考の上に言語化は成り立たないじゃない?「言葉にできないことは考えていないのと同じである」と帯にもあるけど、外側にはそうとしか受け止めてもらえないんだよね。人が何を考えているかなんて、その人以外には分かり
    っこないのに「言葉にできない思いをどうにか分かってくれや」というのは無茶な話でなあ。言葉にできるというのは、言葉を知る、使う、の繰り返しで身につく能力なのだなと再認識したので、私は今日もこうしてペラペラと文字を綴るのさ。喋れば喋るほど散臭い人もいるけど、背中で語る美しさもあるけど、私はせっかく言葉を表現のツールとして生まれ持てたから、最大限活用していきたいなり。

  • T字思考はめちゃくちゃ納得
    自身はコーチだがコーチングセッションでも通じるところがとてもあるなと感じた

  • わかりやすかった。
    言葉を紡ぐことは、自分の内側を見る。
    言葉を大切に、しっかりと観察して言葉を使っていきたい。

  • 自分自身言語化に苦手意識があり、読んでみました。

    言葉にできない=言葉にできるまで考えきれていない、という文章にハッとしました。
    考えていると思っていた事は、頭の中で情報が整理されずに溢れている状態なだけでした。それらを紙に書き出して整理したり、思考法を使用して広く、深く、そして本質が正しいのか、を考える大切さを知ることができました。

    言語化する力を強化したいと思っている方にはオススメできる本だと感じました。

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著者プロフィール

コピーライター。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授。
1979年生まれ。大学院在学中にレコード会社を起業後、電通入社。マーケティングプランナーを経て、コピーライターに。2018 年にインクルージョン・ジャパン株式会社に参画し、ベンチャー支援に従事。2022 年4 月より現職。主な仕事に、ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」、Surface Laptop 4「すべての、あなたに、ちょうどいい。」のコピーライティングや、TBSテレビ「日曜劇場」のコミュニケーション統括など。経営層や製品開発者との対話をベースとした、コーポレート・メッセージ開発、プロダクト・メッセージ開発に定評がある。著書に『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版)、『捨て猫に拾われた僕』(日経ビジネス人文庫)、『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』(サンマーク出版)など。

「2022年 『きみの人生に作戦名を。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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