煽動者 (文春e-book) [Kindle]

制作 : 池田真紀子 
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 推理とは別に、集団パニックの恐ろしさを学びました。群衆の中の個人は無力で、且つ無意識の暴力を発生させる。

    ナイトクラブや、作家のサイン会で集団パニックを誘発させる『煽動者』や、麻薬組織の殺し屋の追跡等で、例によってキャサリン・ダンスがああでもない、こうでもないと惑わされる。
    途中、ダンスの息子が犯罪に加担していて、おいおいどうなるんだよと本筋はどうでもよくなるほど気になる。

    今回も、作者は女性?と疑いたくなるような都合のいいロマンスが展開されていきます。完全無欠のジョン・ボーリングを排除するなんて…T_T

  • どんでん返しの『巧』の技が遺憾なく発揮された作品。タイトルにもなっている扇動者との攻防と同時進行するサイドストーリーにも様々な仕掛けが施されており、個々の相乗効果で面白さを一層掻き立てている。
    ディーヴァーだけにどんでん返しに注意しながら読んではいても、そこは流石の『巧』。ミスリードを駆使して読者の目をあらぬ方向へ導く手腕は正に『扇動者』!

    リンカンライムシリーズと充分肩を並べるシリーズに成長したと思う。

  • キャサリン・ダンスシリーズ。
    おもしろかったけれど、起きる事件が最高に恐ろしかった。混み合ったライブハウスで将棋倒しになるとか、テーマパークの出口に人が殺到するとか、満員のエレベーター内に閉じ込められた人たちがパニックになるとか、閉所恐怖症ぎみのわたしにとっては恐ろしすぎる。誘拐とか殺人はもちろん恐ろしいけれど、こういう日常的にすぐ巻き込まれそうな事件はこわい。しかも、火事かも?とかテロかも?ってだれかがひとこと口に出すだけで、噂が広がり、今やラインやメールで拡散して、デマでも真実味を帯びてくるという。わたし自身、勝手にパニック起こして人に迷惑かけるタイプかも、と思ってさらに恐ろしくなった。いつも冷静で、動じない人間になりたい。。。
    メディアとか、あと、残忍なゲームが子どもに及ぼす影響とか、そういういまどきの事情が組み込まれているところもうまいなと。

    ただ正直なところ、ラスト、事件の解決も、そしてダンスの恋愛も、こんなにうまくいくかな?とちょっと思ってしまったのだけど……。

    でも、ミステリでも、女性が組織のなかで仕事をする話が好き。超人的なものではなくて、捜査官とか弁護士とか刑事として仕事をして、プライベートの生活もあって、っていう話をもっと読みたい。前は女性私立探偵が流行ったし、少し前まではスカーペッタみたいな検視官とか弁護士とかの話がたくさんあったような気がするんだけど。。。

    • たまもひさん
      まったく「こんなにうまくいく」わけないですよね!特にダンスの恋愛関係ときたら、そんな都合のいい話がどこにある?という気持ちにみんななると思い...
      まったく「こんなにうまくいく」わけないですよね!特にダンスの恋愛関係ときたら、そんな都合のいい話がどこにある?という気持ちにみんななると思います。でも、男性が主人公だとこういうパターンって結構あるような気がしません?そう思って、ま、いいかな、と。
      集団パニックの描写は怖かったですよねえ。自分は、もしそういう場面に直面したら、パニックを押さえ込もうとして固まってしまって、逃げられないのでは?とぞっとしました。
      2016/12/12
    • niwatokoさん
      あはは!ほんとに「どこにある?」ですよねー。まあ恋愛話は許すとしても、事件の解決も、あんまりできすぎた話のようでちょっとポカンとしました。ヤ...
      あはは!ほんとに「どこにある?」ですよねー。まあ恋愛話は許すとしても、事件の解決も、あんまりできすぎた話のようでちょっとポカンとしました。ヤラレタ!って思うより、無理じゃない?とか思ってしまって。

      集団パニックは、生まれてこのかた読んだどんなミステリの事件より恐ろしい気がしました! わたしの場合は、自分が助からないのはもちろん、本に出てきたようにほかの人を押しのけたり、助かるはずの人々の邪魔になりそうでこわいです。最低の人格が出そう。。。
      2016/12/12
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著者プロフィール

1950年、シカゴ生まれ。ミズーリ大学でジャーナリズムを専攻。雑誌記者、弁護士を経て40歳でフルタイムの小説家となる。科学捜査の天才リンカーン・ライムのシリーズ(『ボーン・コレクター』他)や“人間嘘発見器”キャサリン・ダンスのシリーズ(『スリーピング・ドール』他)は全世界でベストセラーになっている。ノンシリーズ長編小説、短編小説など人気作品も多数刊行
『ブラック・スクリーム 下 文春文庫』より

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