素敵なウソの恋まじない [DVD]

監督 : ダーブラ・ウォルシュ 

出演 : ジュディ・デンチ  ダスティン・ホフマン  リチャード・コーデリー  ジェームズ・コーデン 

• アメイジングD.C.

感想・レビュー・書評

[ごはんさんの感想 · 2021年8月6日]

いい感じ。観終わった後ほんわかと。
カッコいい男性も美しい若い女性も出てこない。
でも観た後に、こういう感覚に浸れるのは、素敵な時間。
ロマンティックコメディはアマゾンプライムで充実のラインナップ。

原作は児童文学作家ロアルド・ダール。
彼の原作『チョコレート工場の秘密』は息子たちが子どもの頃何度も一緒に観て楽しんだ記憶。

2015年イギリスBBCで公開されたダスティン・ホフマン＆ジュディ・デンチ共演のテレビ映画。

ダスティン・ホフマンはアメリカ人の設定。イギリス人のなかで、唯一アメリカ英語を話すのだが、彼だからこの役と最高のキャスティング。適役。

面白みと哀しみの相反するものが両立する様をダスティン・ホフマンが演じる。
誰かに心惹かれる。好きな人とともに時間や経験を分かち合いたい。そんな心の自然な機微を70代の名俳優2人が表現する。いいなあ。
脇役である隣人のプリングル氏の存在もピリッとしていい。強引で無粋な感じ、こういう人、いるいる！と。

クスッと笑わせて、涙を誘う妙。
『クレイマー・クレイマー』の中で、フレンチトーストと格闘していた彼は年齢を重ねて、キッチンで亀に苦戦する。

ハラハラ、どきどき。
「そこ！　そこ！」とドリフの全員集合を観ている子どもの突っ込みが入りそうなお決まりのお笑い場面がいい。

想いが叶わず、寂しさと哀しみに暮れる老人をダスティンホフマンの細やかな表情、しぐさ、姿勢、口調で醸し出し、涙が零れる…。

グイグイ突き進む一面と、気後れしてなかなか前に出ることができないシャイな一面とを同時に合わせ持つ役を本当に自然に演じ切る。ダスティン・ホフマンの名演技が光る作品を堪能しました。

原題”ESIO TROT”は日本語訳が難しいのは承知で、邦題『素敵なウソの恋まじない』は勿体ない。この映画の良さが見えないなあ。