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- / ISBN・EAN: 4988013215399
感想・レビュー・書評
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11 MINUTES
2015年 ポーランド+アイルランド 81分
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:リチャード・ドーマー/ヴォイチェフ・メツファルドフスキ/パウリナ・ハプコ/アンジェイ・ヒラ/ダヴィド・オグロドニク
http://mermaidfilms.co.jp/11minutes/
夕方5時から、5時11分までの間に起こった出来事を描く群像劇。メインになるのは、女優の妻アニャと嫉妬深い夫のヘルマンの夫婦。アニャは映画の監督だかプロデューサーだかと会うためにホテルの1室に出向くが、相手の男リチャードは枕営業を要求するような言動をし、アニャを部屋から出さない。ヘルマンは妻の後を追ってホテルに侵入、しかしどの部屋かわからずウロウロ。
同じ頃、ホテルの傍の露店でホットドックを売る男、彼からホットドックを買っているシスターたち、別れた元カレから愛犬を取り戻したパンクス風の若い女性、バイクであちこち回っている配達人(実はホットドック店主の息子)、急病人を救出に向かうレスキューのチーム、ホテルの窓掃除の男とホテル室内にいる彼の妻らしき女性、強盗を働こうと質屋へ押し入ったら店主の首吊り遺体を発見してしまった少年、絵を描く老人など、さまざまな人物の行動が描かれる。
ホットドック店主に「もう出所したの?先生」と言って唾を吐く若い女や、配達人が運んでる謎のブツ、配達先での人妻と不倫など、思わせぶりなエピソードがいくつかあるけれど、実はなんの伏線でもない。
5時11分に何かが起こるわけだけど、正直、なんのピタゴラスイッチだよっていう展開。もちろん、ほんのちょっとの運命のいたずらが、思いがけない大事件を引き起こし、無関係な、それぞれの人生を普通に送っていた人々が巻き込まれてしまう、その運命の皮肉、っていうのはわからなくはないけど、それにしてはおのおののエピソードも、ラストのカタストロフィもあまりにも薄っぺらい。
類似のテーマの、もっとよくできた作品は他にもあると思うので、この作品が初めてなわけでも、特別に斬新なアイデアというわけでもないし。監視カメラの黒点、ゴミか汚れにすぎない、そのようなものが現実の空にも浮かんでいて、結局このような悲劇も、神の目線でみればささいな汚れにすぎないっていうブラックなメッセージもわからなくはないけど、全体的に作り手のドヤ顔ばかり浮かんであまり感心できなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロバート・アルトマンやポール・トーマス・アンダーソンみたいなサスペンス群像劇。なにやら目が離せなかった。
『妻の枕営業を疑う男』に共感するとは思わなかった。
緊張感がハンパない。
いろんな撮り方してあって飽きなかった。
ラストがちょっとSF 風味。 -
原題: 11 Minut
レンタルで鑑賞。
若手の監督かと思いきや、79歳(2017年現在)の超ベテラン監督だった。
水道から流れ出た水が渦を巻いて排水口に流れていくように、全ての事象がある結末へと収束してゆく。
低空飛行の飛行機や、窓から入ってきた鳩が鏡に激突したり、不穏の種がいたるところに散りばめられている。
鑑賞中、ずっと嫌な予感を覚えていた。
飛行機の低空飛行は9.11を思い起こさせた。
ホテルの廊下はシャイニングを思い出す。
監視カメラの映像はスノーデンが曝露したように、監視社会を表す。
日本人からすれば11という数字は3.11を連想する。
11という数字は不吉を象徴しているかのようだ。
そして、物語は午後5時から11分間の出来事を、視点を変えて描かれる。
その場に居合わせたのは果たして偶然なのか、必然なのか。 -
「11ミニッツ」に対するカウンタータイマー的な緊迫感を煽り立てるギミックが何も無いので最後の瞬間まで何がどうなるんだが全く分からない…もう少し時間を意識させる演出があってもいいんじゃ無いかな(^_^*)
画に暗さや殺伐とした空気が滲んでいないので欧州でも南欧の作品だね。言葉の感じだとイタリアっぽい。スペイン作品に似た作りですね。アメリカの映画ってエンタメ要素が強すぎて分かりやすさがあるけど、欧州の作品は説明臭さがないので想像力を掻き立てられていいですよね。
まぁ本作もそんな感じなんだけどね。
廊下の男/プロデューサーと女優/ホットドック売り/バイク便/強盗未遂犯/清掃員とその彼女/絵描き/パンク女/救急隊員/修道女/妊婦…まるで関わりも縁故もない街の住人達が一つの出来事に向けて集束していく。誰に罪があるわけでなく、ただそこに居合わせてしまっただけ…運命としか言いようのない不条理劇…なんだけどなぁ〜もう少しでいいから11分と言う「わずかな時間」を意識させて欲しかった。それに尽きるね…惜しいなぁもうひと頑張りというかアイデアが足らない印象です。 -
5時から5時11分に向かって7つほどの物語が動いていく。ザッピングされているので、集中して見ないと分からなくなります。11分後に待っていたのはカタストロフィです。不条理劇なので、鑑賞後の爽快感はありません。大空の黒点や神の啓示っぽい言葉は何か?謎を残して終わるのも不条理劇だからでしょうか?
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こういう類のストーリーはこれまでにも多数作られたのだろうけれど、不気味なのは、事件にからむ登場人物たちの事情が詳しくは描かれず、誰にも感情移入できないところ。
人はいかなる問題を抱えていようがただこのように生き、ただ死んでいくのだ、と言っているかのよう。 -
2017/5/18 何だか 不安感を煽りつつ、この色々なドラマは何処で繋がってるんだろう なんて思いながら観てしまった 特別な内容はない 日常と非日常的な人間を描きつつ、イレブン.ミニッツとは?と考えてたら ラスト11分の中に集約されたドラマがあったんですね まさに ピタゴラスイッチ 何を見るか?は人それぞれだけど、何かに監視され続けてり感も半端なく感じられた
飛行機の低空飛行には 本当に不安な予感 恐い。 -
ラストのピタゴラスイッチ感は「おおぅ。。。」となるけど、それまでの伏線が散漫過ぎてやや退屈する。飛行機が低空で飛ぶシーンの不安感には共感する。