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感想・レビュー・書評
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私たちのいる宇宙はビッグバンで誕生した。では、その前には何があったのだろう。宇宙は「無」から生まれたのか――? 物質と反物質のわずかな非対称が生んだ私たちの宇宙。なぜ「無」からエネルギーが生じたのか。宇宙はいかにして終わりを迎えるのか。
・宇宙は加速しながら膨張しており、やがて光速を超える
・99パーセントの宇宙は見えない
・未来には私たちがいま観測している宇宙は観測困難となる
などなど、最先端の研究成果ともとに、気鋭の宇宙物理学者が宇宙の意外な像をわかりやすく描き出す。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し前に読んだ青木薫の著作『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』とほぼ同じテーマについて解説した本で、最終的には「人間原理」にたどり着く。出版された時期もかなり近いため、同じことを別の人が書いたものと言ってのいいだろう。青木薫は本書の訳者でもあるので、なんとなく文体が似た感じになっているが、本書の方がより基礎的な内容から説き起こしており、ちょっと長い。
青木薫はこの分野の研究者ではなく科学ジャーナリストとして専門家に取材して自著を執筆しているのに対し、本書のローレンス・クラウスはこの分野をリードする専門家中の専門家であり、研究が進展していく様子はよりドラマチックに語られている。
両書の結論によれば、この宇宙は無数の宇宙の中のひとつに過ぎず、物質は無のゆらぎが残ったものだ。物理法則も物理定数も必然性はなく、たまたまこの宇宙ではそうなっているだけで、別の宇宙では違う値かもしれないという。
二冊を比較してみると、宇宙論を扱う欧米の科学者は常にキリスト教を意識せざるを得ないのだと感じられる。例えば「科学は、神を信じることを不可能にするのではなく、神を信じないことを可能にするのである」といった記述が見受けられる。あちらには今でも神による天地創造を信じている人も少なくない上、社会的に大きな力を持っている。そういう人たちを刺激しないための配慮なのだろうか。面倒なことだ。 -
【「種の起源」に匹敵! 宇宙論のパラダイムシフト】無からなぜ有が生まれたのか? 最先端の量子物理学は宇宙誕生の謎を解明しつつある。文系にもわかる、全米ベストセラーの衝撃の書。