WIRED (ワイアード) VOL.28 /特集「Making Things ものづくりの未来」
- コンデナスト・ジャパン (2017年6月8日発売)
- Amazon.co.jp ・雑誌
- / ISBN・EAN: 4910153120776
感想・レビュー・書評
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ものづくりの未来。
無骨な雑誌だ。”技術=テクノロジーが生み出した「もの」は、ヒトに新しい自由や可能性をもたらした。しかし、それが進みすぎたとき、新しい不安や無力感や絶望の種となった。”
確かに、大量消費から真のモノへのリスペクトに時代が移って来た。真のモノ、つまり持たないことへのリスペクトも同時に起きている。イヴ・アベールのサンフランシスコオフィス。上下関係なく、自由につながる。常識を疑う。例えば、テレビのスクリーンはなぜ黒いのか?フレームは額縁のよう、つまり絵画のような絵をスクリーン映し出せれば良いのではないかと。
フランスのステーション Fは圧巻。スタートアップを支える、グザビエの作品。巨大な駅舎を改装し、レストランやファブスペースもつけている。公共性、社会還元、ノブリスオブリージュ、圧倒的な貢献。
リペアやリユースが、注目されている。ジーンズを筆頭に、使ったものを復活させる、捨てられたゴミの中から価値を見出し、復活させる。こうしたエコシステム上の矛盾を解消する動きが出て来ている。
ものづくりの未来は、きっとモノが無い、そして限界のあるモノを大切に使う一方で、そのモノ自体が持つ新しい価値観を共有する媒介なんだろうと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
特集じゃないけど、マケドニアの記事面白かった
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『捨てない経済――北欧発「リペア・エコノミクス」への挑戦』
直すこと、直し方を教えること・教わること、という形で、小売・消費という固定化された「もの」との関わり方に打ち勝ち、さらに地域コミュニティを発展させていく。廃棄物やジャンク品・期限切れを、そうである前提で売る。
持続可能で循環型のという(よく唱えられれている)キーワードを実行に移している効果的な実例です。様々な副次的な利点も確認されているようです。
一方で、事態を悪化させてしまった場合や、身体や他の器物に損害が生じた場合の保証の問題をどのように処理するのか、という課題が気になります。我が国では、大手中古買取販売業者が統括してその点をスケールメリットによる力技で打開しているイメージです。でもそこには直すこともコミュニティの発生もない、単なるマネタイズでしかないように思います。
人々の意識の変革、みたいなそれ以上前に進めなさそうな解決方法が嘯かれそうですが、この記事を読みますと「地域」というのも一つの大事な視点のような気がしてきました。「規模による生産と消費」に「狭域での修繕と再利用の循環」が立ち向かうというのは、面白いムーブメントです。
『マケドニア番外地――世界を動かす「嘘」の町』
この事実、初めて知りました。“Post Truth”という流行語の背景を見た気がしました。
金のためだけに、なんの悪気もなくカジュアルに嘘のニュースを拡散させる。発信者本人には主義も主張もないけれど、受け取る側はそれを手玉に盛んに政治的絶叫をする。
時間はあるけれど金のない人々が、特定の人にとって都合のよい嘘を生産・発信して、特定の人々が消費していく。そして大量のPVに基づいた広告収入から、巨大インターネット企業が発信者に金を出す。
インターネットの世界的な普及によって、想定していなかった不気味な連鎖が起こり、それが無視できないほどの政治的な波及効果をもつ。ジョージ・オーウェルさんが小説の題材になりそうな、そんな現象のレポートです。 -
昔のほうがよかったにつきる