「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法 [Kindle]
- ダイヤモンド社 (2017年2月16日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (225ページ)
感想・レビュー・書評
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因果推論のエッセンスを、数式を使わずに概説した一冊。専門性を求める人、たとえばABテストを実際にやりたい人には到底足りるものではないが、中高生や年老いた肉親に推薦するには良い本だと思う。ビジネスマンはとっかかりとして読むには良いが、ビジネスに活かすならこれだけでは足りないことは言うまでもない。
実際には交絡を見極めることは難しく、RCTをはじめとした実験を正しくデザインすることは至難であるが、それは実際に実験にいく人が専門書で苦労に当たる箇所であろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「因果推論」因果関係と相関関係の見分け方
1.Evidence Dataに基づく 因果関係・相関関係
個人の体験はデータではない
DATAを見る←全体像を押さえて
2.化学=Data・統計・仮設・検証→長期的利益
3.因果関係を証明=反事実
4.Evidenceには階層がある
①メタアナリシス 複数のランダム比較研究を統合
②ランダム化比較試験
③自然実験と疑似実験
④回帰分析
5.統計的に有意 5%以下 誤差や偶然で説明不能 -
とても学びのある内容でした。
特に文献の読み方が雑になってしまっているのを感じていたので、この辺りを学び直してより適切な解釈をできるようにする必要があると切に感じました。 -
audiobook
ある2つの事象についての因果関係の有無を推定する因果推論の入門書。統計データ分析の入門書と言ってもいい。因果関係と相関関係の違いについて、さまざまな具体事例を元に解説されている。メタボ健診を受けていれば長生きできるのか、認可保育所を増やせば母親は就業するのか、といった身近なテーマを題材に、因果関係が成立しているのか否かをほとんど専門用語を用いずに論じている。さらっと楽しく読めてためになる。
ニュースのアンケート結果なんかをむやみやたらに信じ込んでしまう人にはぜひ読んで欲しい一冊。サンプリングのやり方がおかしいんじゃないかとか、逆の因果関係なんじゃないかとか、いろんな切り口が持てるとニュースを鵜呑みにしなくなるはず。
以下、備忘録。
■因果推論のチェックポイント
・まったくの偶然ではないか
・比較事象に関連する別の事象(交絡因子)が存在しているのではないか
・逆の因果関係ではないか -
●因果関係と相関関係
原因と結果両方に影響を与える第3の要素(=交絡因子)の存在に留意。
●反事実:想定する原因が発生しなかった場合の結果。
当然それを観察はできないため、もっともらしい(=比較可能な)データで補完
エビデンスレベルの高いものから、
・メタアナリシス:複数のランダム化比較実験を統合
・ランダム化比較実験:対象をランダムに介入群・対象郡に振り分けて観察
-->コストや倫理的課題(病にも関わらず薬以外を投与、など)は課題。
・自然実験と疑似実験:世の中にある”実験のような状況”を上手く利用することで
因果関係を評価。
例:法律や制度の変更/自然災害等により強制的に発生した介入群/対照群を利用
・回帰分析:既に手元にあるデータから計算。交絡因子のデータが手元にあれば
それを取り除いで計算可能。
●疑似実験:観察/統計データを用いてあたかもランダム化比較実験と同じ状況を
”作り出し”す手法
① 差の差分析:介入群/対照群それぞれについてbfe/aft(広告の実施有無)で
データを計測し差分を計測。トレンドの影響を
② 操作変数法
結果には影響を与えないが原因には影響する変数の存在を利用して比較。
例:広告枠単価 本来広告の出稿有無は店長のやる気などの変数が絡むが、
一律の出稿費用削減により広告出稿は一律に伸びるはずで広告効果を可視化可能
③ 回帰不連続デザイン
従業員数50名以上では広告を出稿、などしきい値を設けると49と50の間に
ジャンプが生じる。各プロットに傾きがあった場合でもこのジャンプが実質効果
④ マッチング法
●統計的に優位:偶然で起きる確率が5%未満であること
※5%は統計学者が目安で決めた数字。コインが5回連続で表/裏で出る水準。 -
因果関係と相関関係。昨今のコロナ報道を見ていると、この2つを意図的に取り違えさせようとしているのでは、と邪推したくなるレベルのものも多い。
冒頭に紹介される「軽薄な人間は運勢を信じ、強者は因果関係を信じる」(ラルフ・エマーソン)という言葉は確かに説得力がある。
ビジネス(経済)の世界では「反事実」つまり「何かをしなかった時の状況」をいかに導くかが難しい。例えば広告を打った場合とそうでない場合の売上推移を、両者を全く同じ条件下で両方やってみることは不可能。新薬開発等では、ほぼ同症状の患者を一定数集め、一方に偽薬を処方することでこの測定ができるのと対象的。
「#原因と結果の経済学」(ダイヤモンド社、中室牧子、津川友介著)
Day209
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2017年3月1日(水)にKindle版を1,555円で購入。ものごとの因果関係を見極めるために必要なポイントが、具体的な事例を参照しながら解説されている。つっこみたいところはいろいろあるけど、それこそ本書を読んで読者が自分でつっこめるようになればいいわけで、ものごとを論理的に考えられるようになる第一歩として、多くの人に手にとって読んでもらいたい一冊。
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正しい因果推論を行うためのデータの得方、実験のやり方に関する本。
反事実を得てそれと比較するという理想の状況をまず説明し、それに近い状況でのデータの得方を段階的に説明するという形式で非常にわかりやすかった。
この本で説明されている方法を実際に適用する際は詳細を具体的に知る必要はあるが、何をすべきかという大枠が理解できていればそれはそれほど難しくないと思われる。