- Amazon.co.jp ・電子書籍 (457ページ)
感想・レビュー・書評
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ブレグジットやトランプ大統領当選の「2016年の衝撃」から、「アメリカ独立宣言」の1776年までさかのぼって書かれた歴史本。特に、経済史としての色合いが強い本だと思った。
かなりのボリュームで、思った以上に読み終わるのに時間がかかった。電子書籍だと厚さが分からないから、そのへんピントこない(Kindleには現在のページが何パーセントかという情報と、読み終わるまでの目安時間が下に表示されるのでそれでなんとなく分かるけど)
世界史はちゃんと勉強したことがない(それこそ中学の知識で止まってる)ので、なんとなく聞いたことはあるけども知らないことがいろいろあった。ただ、時系列については逆回しで書かれてあったのだけど、それが分かりやすいかは分からない。結局、できごとを列挙してるだけだから、あまり変わらないような気もする。
なぜ、遡っていくかというと、エリック・ホッファーという哲学者が、「現在が過去を照らす」という考えをもっているかららしい。
それよりこの哲学者が、7歳で失明して、15歳で奇跡的に視力を取り戻したと書かれてあって驚いた。そんな人がいるのか。
そういうように本書は雑学的な要素も強く、そんなことがあったのかと初めて知ることが多くて面白かった。
アメリカでの南北戦争の死者数が50万人で、第二次世界大戦の40万人を上回っているとか。ちなみに、調べてみるとアメリカの新型コロナウイルスでの死者数は70万人を超えてるそう。戦争の死者数と比べるのは違うかもしれないけど、多いよなと思う。
後、世界で最初に世界一周をしたのは16世紀でマゼランというかたらしい。そんな時代に世界一周なんてすごいなぁ。調べてみたらほとんど海だったそうだけど、これで地球は球体だと分かったのか。ちなみに、肝心のマゼランはフィリピンに立ち寄った際に先住民に殺されたらしい。他の乗組員はそのまま帰ったのだとか。じゃあ、初めて世界一周したのはマゼランというより、部下じゃないのかとは思った。
それと、ソ連が崩壊してから9.11が起こるまで、アメリカの仮想敵として日本が想定されていたとか。日本が経済大国となっていたからだそうだけど、その時期だとむしろバブル崩壊して衰退していっている時期だろうとは思った。むしろ、バブル崩壊の影響を受けたからという理由づけのほうがしっくりくる。
なお、日本が仮想敵とみなされた時には、アメリカの議員たちがハンマーで日本車を叩き壊すシーンがテレビで報道されることがあったらしい。中国や韓国の一般市民のデモでそういう光景みるけど、議員がやるってひどいな。
石油ショックの時の話として、日本は「省エネ技術」の開発に注力して、経済成長線に復帰することができたと書かれてあって、当時の日本はそういうところすごかったんだなと思った。脱炭素とかもそうだけど、日本は今後世界的に優位にたてることはあるのだろうか。
後、第二次世界大戦後に、日本は北海道がソ連領となる可能性もあったのだとか。アメリカが日本に原爆を落としたからだとか(少なくとも、ソ連が日本に介入してこないように落としたらしい)。正直、この考えは後付けなような気がする。
後、フォルクスワーゲンはナチス政権時代の国策から誕生したとか。それで失業対策となったということだけど、ドイツってこういう失業対策昔からよくやってたんだなと思う。最近もインダストリー4.0とか言ってるけど、経済政策だけやってれば、ヒトラーも悪人呼ばわりされなくてすんだだろうに。
それと、第一次世界大戦の始まりのきっかけとなった「サラエボ事件」についても初めて知った(と思ったけど、よくよく思い返すと忘れてるだけで聞いたことがあるかもしれない)。ハプスブルク帝国とか聞いたことないし、セルビアとかどこの国だっけという感じなのだけど、そんな小さい(?)国同士の戦いがきっかけだったのか。本当、何でこれが世界大戦なんかになったんだ…。むしろ、引き金となったというより、この事件を理由にして戦争してるだけじゃないのかと。この事件がなくてもちょっとしたことで世界大戦は起きてたようにも思う。
それとちょっと驚いたのが、電気自動車は1899年には時速105kmのものが誕生していたとか。バッテリーが重すぎるという問題があって、ガソリン車にとってかわられたのだとか。このへん、ようやく整ってきた感じなのだろうか。住専設備がもっと増えれば増えていくのだろうけど。
後、「ノルマ」という言葉がロシア語だということを初めて知った。ノルマという考え方ってロシア的なのかも。
それと、ギロチンは一瞬のうちに終わるから苦痛を感じないはずという考えで使われていたと書いてあってなるほどと思った。そういわれてみれば、首つりのほうが苦痛を感じるので残酷な気もするなぁ。まあ、今は死刑自体がないそうなので、ギロチンもやってないそうだけど(1981年に死刑が廃止されるまではギロチンが使用されていたらしい)。
それより、マリーアントワネットの生首から、型どりしてリアルな蝋人形を作ったというマダム・タッソーという女性を初めて知った。ちょっとした狂気なように思ったのだけど、歴史的に価値があるからとかの行動なんだろうか…。
なお、アメリカの憲法は独裁政権にならないようにされているらしい。そうじゃなかったら、トランプさんはもっと独裁的になってたのかな。銃社会なのはどうかと思うけど、うまく考えられてるのかなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
国際情勢を知るには世界史を逆戻しで見ていくのが「なぜ?」という「知りたい欲求」を原動力に読み進められるので良い。これは世界史に詳しい人が日々のニュースを観ながらいつもやっていることである。一読の価値はある。
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現代を知るためには、ヨーロッパを知らなければいけないというのはやはり避けられないこと。
今のアメリカ時代はあくまでイギリス時代の延長にあるのだ。
西欧史かぁ、苦手なんだけどなぁ~