イスラーム文化-その根柢にあるもの (岩波文庫) [Kindle]

著者 :
  • 岩波書店
4.33
  • (4)
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (185ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ・toppointで読む
    ・イスラムは商人の宗教
    ・コーランとハディース
    ・聖と俗を区別しない。日常にまで入り込む宗教
    ・アッラーは支配者、人は奴隷
    ・法は、その事物の性質や理性的判断ではなく、神の意思で善悪が決まる

  • シャルリー・エブドの襲撃事件を受けて、キリスト教圏vsイスラム教圏のしがらみがよくわからないともやもやして読んだ3冊のうちの1冊。イスラム教への入門として本当におすすめの良書だと思いました。

    take out
    - 「イスラーム文化は異なる文化伝統の入り乱れ...複雑で内的矛盾に満ちた構成をもった国際的文化。...にもかかわらずイスラームは自分たちは一つの共同体だと自覚をもっている。」誰でもイスラーム教徒になれる⇔ユダヤ教は選民意識に支えられた閉ざされた情的共同体
    - 「イスラームはコーランの解釈学的展開としてできあがった文化。公私にわたる人間生活の内外すべて、...カヴァーするような大きな「コーラン」解釈学的文化がつくりあげられた」⇔聖俗二元論的キリスト教と対立
    - コーランでは神からの啓示を受けたもの(イエスを含む)を信じるように書く。中でもアブラハムの教えを重視。ムハンマドは予言者系列の最終点にいる。
    - ムハンマドの歩みに合わせて、イスラーム文化には2パターン存在する。
    1. 前期メッカは苦難の時代=終末論的。現世は束の間、来世は不滅。内面重視。神の呼びかけにどう応えるか。=シーア派(古代イランのゾロアスター教の二元論的世界表象の影響)(この系統に、スーフィズムも)
    2. 後期メディナは栄光の時代=積極的な現世評価。来世が至上価値だからこそ、現世もそれなりに価値を認めよう。共同体内の社会的な契約重視。イスラーム法へ結実=スンニ派 ⇒現世への態度:イスラームは「正しく生き、正義の社会につくり直していこうという積極的態度」⇔仏教は「現世を厭い、世を逃れてたった一人孤独の静寂のうちに解脱を求めよう」
    ⇒このような相対立する三つのエネルギーの間に醸し出される内的緊張を含んだダイナミックで多層的な文化がイスラーム文化

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。
 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。
 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年-2016年)。

「2019年 『スーフィズムと老荘思想 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井筒俊彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×