反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • いまこのタイミングでこの本と出会えたことに感謝したい。数年前にはたぶんこの本の価値は半分もわからなかった。文章のはしばしに記憶を呼び覚まされ、それまで無関係だった点と点がつながり、シナプスが結合して「ああ、そういうことだったのか!」とあちこちで発火する、まったくレアで刺激的な読書体験だった。2017年は「反脆さ」と出会った年として、深く記憶されるだろう。
    それにしても「アンチフラジャイル(反脆さ)」という言葉の扱いにくさに、翻訳者も編集者も頭を抱えたのではないか。「ブラックスワン」に匹敵するシンボリックな例がないか、読みながらずっと考えてしまった。この本にも「黒鳥」がいれば、きっともっとずっと話題になったのではないかと思うと、それが残念でならない。

  • 「脆い」の反対の意味の言葉は?
    と聞かせると「頑丈」とかそういった言葉を考える。
    でも、脆いとは、変動性によってマイナスの影響を受けることで、頑健とは影響を受けないこと。
    脆いの反対の意味なら、変動性によってプラスの影響を受けることになるが、そんな言葉がない。
    なので、本書では、それを「反脆い」と定義して、
    反脆さの重要性を示していく。

    現代では、予測もしていなかった悪い事象(ブラックスワン)によって、経済が崩壊するということが多くある。
    リーマンショックや、最近であればコロナなどがそれにあたると思う。

    本書では、そういったブラックスワンを予測するのではなく、そもそも、予測不可能なのだから、予測せずとも問題のない反脆いシステムを作るべきだと主張する。

    現代において益々重要性を増している本だと思う

  • 最後の部分が自分の勉強法でランダムな読書をしてきて一生を暮らせる金を得たということである。そのためには、経営学などのビジネススクールは無駄であり、さらに国家の経済のためにも大学は無駄であるという話を持ってきている、
     これを読んで学生が大学に通わずに本を何百冊も読めるかどうかはわからない。つまり、予測があるものではない、という筆者の主張になる。
     筆者には自分の方法があったのであろうが、そう単純なものではあるまい。

  • 非常に面白い哲学書。物事の考え方を正すことに適している。脆弱の反対は「頑健」ではなく「反脆弱」この考え方や、実例の紹介はとても分かりやすかった。

  • 「脆弱」の対義語は「反脆弱」。
    一時的な強いストレスや環境の急激な変化に対して、むしろその影響をプラスにすることができる能力。
    ケリー・マクゴニガル博士の「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」にある「レジリエンス」に近い概念だと感じた。

    様々なエピソードはどれも面白かったが、中でも「大企業は安定しているが、そこで働く人は突然の倒産に対応できない」という話が面白かった。
    ちょうどインターン中にこの本を読んでいて、進路を考える上で示唆を与えてくれた。
    安定を求めて、安定している職場を一生懸命探すよりも、
    日常的に身銭を切る行動をとって「反脆い」存在になることの方が、
    不確実性の高いこれからの時代を生き抜くためには有利であるように思える。

  • コロナ危機を受けて再読した。本当に素晴らしい本だと思う。ブラックスワンの頃から読んでいないと分からない部分も多いと思うが、この本に書いてあることは類を見ないクォリティと革新性だ。タレブはかなり昔から物事のオプション性の危険性と対処の仕方を様々な形で話している。冗長である事や細かな間違いを全体に反映する事ができる事が非常に重要であること、合理的な手法や様々な仮定の上に成り立つエセ科学的な理論の危険性を繰り返し指摘し、脆弱ではない事とはどのような事かを説明する。その内容は圧倒的だと思う。パンデミック後の社会を考える上で非常に重要だと思う変わらないだろうと思いつつ、この本の偉大さに感じ入る。

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