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- / ISBN・EAN: 4547462113467
感想・レビュー・書評
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言語が思考を形作る、有名なサピア=ウォーフ仮説が用いられていましたが、それを視覚化するとこのような映画になるのかなと思いました。SF映画にしては淡々と静かに物語が進むように感じます。しかし、主人公の目的は「宇宙人と意思疎通を図ること」なので目的に向かって淡々と進む主人公の研究者らしさが物語に反映されていてとても良かったです。
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「人間は、母国語以外の新たな外国語を習得すると、思考のしかたも、ものの見え方も違ったものになる」というある言語学者の説が紹介される。
私は、この説を切り口に、そこまでに進んできたストーリー、それから進んでいったストーリーを見つめて、この映画のメッセージを探していた。
多くの日本人は義務教育の段階から英語を学んでいくが、その言語の仕組みやそれを通して読み込んだ文章が自分の思考回路に多少なりとも変化を与えたと感じる人は少ないのではないだろうか。
(専門的に英語を研究したり、それを通じて生業を立てたりする人ならおそらく、それを経験していない日本人とのコミュニケーションのなかで、英語で思考する経験をもつ以前の自分との違いを見出すことがあるかもしれないが)
「言語が思考を構築する」というのは、「その環境(世界)で生存していくために思考を繰り返すなかで言語が生み出された」という説が先にあるのだろう。
そんなことを考えると、地球外生命体を理解しようと考えたら、言葉(視覚的記号)の構築している論理を解明していくことが実は一番着実な方法だということにたどり着く言語学者の姿勢は差し迫った状況のなかでも筋が通っている。
言語学者ルイーズがその学者としての眼差しで地球外生命体とコミュニケーションを図ろうとするが、軍のウィーバー大佐から、「あなたたちのやっていることは道を外している」と退けられるシーンには、理想と現実(アカデミズムと軍)の二層の世界が地球外生命体の出現という緊急事態を眼の前にしてくっきりと隔てられているのを感じさせられた。
そして、もうひとつの大きなこの映画のメッセージは、「相手を分からないということで生じる恐怖が悲劇を生む」という人類の歴史を思い起こせないと、新たに出現した相手とのコミュニケーションを図ろうとする一歩を踏み出せず、「‘信じて協力する’という想像を拡大させる可能性を潰し続けることになる」なのではないか。
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緊迫する世界情勢の中で、大胆かつ沈着冷静に対処していくヒロイン。そのヒロインの内面と成長を見据える視点がユニークです。「言語」がテーマなのも新鮮ですね。バベルの塔を築く人間の言語をバラバラにして混乱させたのは神でした。古より、言語は道具であり武器ですね。タイムパラドックスはありますが、本質はそこにないと思います。
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SFという概念を超えて かなり 難しいテーマ 時間と生命体…過去と未来 時間と存在すること
実際に 人類がエイリアンと呼ぶ 人間にとって未知の世界のものの正体は分からないが 多分 人類よりも もっと知性があるから まず 争う事や脅威に対して 排除したいと思う人間の浅はかな思考を超えてるんだろうなぁと想像する 人間は宇宙からみたら本当に小さな物体に過ぎないけど、色んな思考を持つ者がいる中で 何が真実か追求してゆき間違えも犯しつつ生きているんだろうけど、何者にもなれず 実際には一番進化してないのは人間かもしれない。忘れてるかもしれない 何かを見てるかもしれないのにね…浅はかな人間の自分は考えても 答えには到達しないけど 作品は結構面白かったです。 -
2017/10/30
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言葉と時間。バベルの塔の再構築なのか。
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謎の宇宙船が世界12か所に同時出現。地球外生命体と交信するため軍から言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)が派遣される、というSF映画。
久しぶりに時間忘れて見入った秀作。
宇宙船の登場からルイーズたちが内部に入るシーンは音響とともに圧倒された。SFだが地球外生命体が現れた際にみせる人類と社会の反応もリアル。徐々に明らかになるルイーズの物語もパズルのピースが徐々に嵌っていくスリルもあり抜群に上手い。特に鳥かごに入った小鳥。ワンカットで伏線を敷く小道具の使い方と描写力はさすがドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
観終えて浮んだひとつは伊藤計劃のSF小説。どちらも根底に「言葉とはなにか?」という深遠なる問いがある。他にもいろいろ解釈と読みが多様にできるがごちゃごちゃ書くとネタバレになるので省略。豊饒な世界観のある秀逸な映画だった。 -
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演:エイミー・アダムス
急に現れた物体にいる宇宙人と交流する話。 -
ネットで視聴(英語字幕)
原題が「Arrival」なのに、邦題が「メッセージ」となっているのがおもしろい。
原題のArrivalには、「到着」という意味のほかに、「出現、出生」という意味もある。映画を観た人なら、なるほどと思うだろうが、日本語でそのニュアンスを伝えのは難しい。
邦題を考えた人は、そのあたりも考慮して、かなり工夫してつけたように思える。
イアンを演じるジェレミー・レナーは、アベンジャーズのホーク・アイの人。
そのイメージが強すぎて、数学者に見えなくて困った(笑)。
宇宙人到来による世界の危機と破滅を静かに描く。
見終わった後の余韻が深い。
考えてみれば、人の死や別離は、誰にでも訪れる確定した未来である。
われわれはよく考えないまま、それは霧の中にある未確定の事柄のように思っている。
彼女の選択と決断は、彼女一人だけに訪れた事態のように思えるけれども、じつはわれわれ一人一人も、自分の死という確定した未来の前で、日々刻々、同様の決断を迫られているのではないだろうか。 -
メッセージ 2017/6/11
時間の概念の変革と結末を知っている未来
失うと分かっていても、今を生きるからこそ得られる未来…とても残酷な気がするな…
刻一刻と近づいてくる悲劇に耐えながら、その一瞬一瞬を大事に生きるなんて僕に出来るかな…とても難しい命題ですね。
映像としての目新しさはさほど感じませんでしたがフラッシュバックのように見せていた映像が…ああ云う使い方だったのは驚きを禁じ得なかった。
未来を変える一言ってどんな言葉であったのだろうか?
世界の趨勢をアメリカと二分して行くのがロシアから中国に代わって、そこにパキスタンとかが第三勢力として加わっているのがとても面白かったなぁ〜日本が世界に与える影響なんて何にもないんだなぁ〜世界経済には少なからず影響を与えられても世界平和で考えると日本なんてアメリカの一部でしかないような立ち位置に一抹の不安を覚える。
エイミーアダムスはさすがの演技でした。ジェレミーレナー君は二番手と云うかバイプレイヤーとしての安定感あるのかな…売れっ子なんだけど、どの作品見てもパッとしないのよねぇ〜どうも地味で華がないんですねぇ
いい作品でした。ゲイリーシニーズの「ミッション トゥ…」とかフォスターの「コンタクト」とか、メッセージ色の強い作品です。
過去から未来へと流れ続ける時間と云う概念への新しい提起…非常に面白かったです。 -
期待値120%で見に行ったビルヌーブ監督最新作。
見ごたえのある物語だった。
未知の者とのコミュニケーションが題材のSF。
髣髴とさせる映画はたくさんあるが
しっかりビルヌーヴ監督の作品になっていた。
見ている間に頭をよぎった映画。
未知との遭遇
2001年宇宙の旅”モノリス”
宇宙大戦争
複製された男の最後の方のアレ
ツリー・オブ・ライフ
緻密さにうなる部分と
はしょり気味になって若干ご都合主義的な部分と
壮大なテーマにしては近視眼的解説に肩透かし
淡々とした話をここまで魅せる力量
色々と考えが交錯します。
ただ、いえるのはビルヌーブ監督の映画には風格があって
説得力にみなぎっていると感じます。
親切なテレンス・マリック。
劇場鑑賞日 2017/05/29 -
宇宙人と対峙するシーンが見事