ときどき旅に出るカフェ [Kindle]

著者 :
  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • カフェ ルーズ」
    月の初めから1週間ほど休業して、
    海外旅行などで味わったスィーツを、
    丁寧に手作りして、提供してくれる。
    そのスィーツにまつわる歴史や文化を説明してくれながら。

    子供の時からお菓子作りの好きな店長が
    いつも味見をしてくれた祖母の残した土地に店を出し、
    とんでもないつらい過去をかかえながら、
    たくましく生きる姿は勇気をもらえる。
    主人公の瑛子にとっては癒しのカフェでもある。

    近藤史恵さんの本は日常に潜むミステリーを、
    暖かい目で解決して、人々に元気をくれる。

    「ビストロ・パ・マル」はドラマで楽しめた。
    西島英俊主演で、とってもよかったので、こちらもおすすめ!

  • 「歌舞伎座の怪紳士」が面白かったので、続けて近藤史恵さんを読んだ。

    今回の主人公、瑛子にはとても感情移入しやすかった。
    30代で仕事をきちんとこなし自立している。結婚をしなければ!と恋愛だけを追い求める訳でもなく、自分の生活を楽しんでいる。
    でも、一人暮らしの寂しさを自覚する部分もきっちり描かれていて、気持ちの良い女性だと思う。
    きっと同僚なら信頼できるし、結婚したとしても家庭をうまく切り盛りしそうだ。

    もうひとりの主人公、カフェルーズの店主、円。
    こちらも芯のある素敵な女性だ。
    こんな風に生きていけるのは幸せと思っていたけれど、背景にある家庭環境を知れば、彼女には彼女の苦悩もあって…。ただただ人を羨ましがってはいけないなと浅はかな自分を反省しました。

    そして、物語に寄り添ってお菓子が沢山出てくる。
    知らないお菓子もあって、割とお菓子作りが好きな私は、また新しい扉が開かれた感じで、読了後もふわっとした爽やかな気持ちになりました。

    お話し自体は甘いだけではなく、親娘のすれ違い、浮気や相続のトラブル、モラハラ・パワハラなどそれぞれ苦しい、嫌な気持ちになるものも扱っていますが、着地点が良いのか不思議と、重苦しくはならなかった。

    近所にこんなカフェが欲しい。

  • 「変わらないこともひとつの幸福なのだ」

    「自分が常識だと思っていることは、狭い範囲での常識に過ぎない」

    「自分の先入観などそう強固なものではない」

    角度を変えてみると凝り固まった気持ちが放たれて、楽になることがある。

    私も行き詰ったとき、上記の言葉を思い出し、自分の思考の枠が自分を苦しめてはいないか振り返ってみようと思いました。

  • 会社の元同僚が始めた、珍しい海外のおやつが食べられて、気持ちよく過ごせるカフェの話。料理から人間関係の洞察をしたり、我が道を貫くカフェのオーナーがとても素敵。美味しそうな海外のメニューがたくさん出てきて、幸せになるし、読んでいると旅に出たくなる楽しい本です。

  • 瑛子の気持ちに共感できるところも多々ありでした。『思い出のバクラヴァ』からは特に。 振り返ると私自身、相手を決めつけてしまうことやってるなぁと反省… 円の『自分が囚われてるものなんて、小さなもので、その枠から出てしまえば常識だと言われているものが、常識でもなんでもないってことに気づきました。』って言葉が心に残りました。

  • 初めての作家さん。
    kindleの日替わりセールで見かけて試し読み→面白かったのでぽちっと。
    珍しく衝動買い(笑)

    文章が読みやすくてすらすらと読めた。
    内容も章立てが短くてとにかく読みやすい。
    さらさらと乾いた文章で軽やかに読み進めるんだけど、後半どんどん不穏な空気が……。
    ラスト二章でおお! となるけど、うん。面白い。

    登場するカフェメニューがとにかく美味しそう。カフェってあんまり興味ないんだけど、これを読んでいると行ってみたくなる。
    主人公とカフェオーナーとの距離感の違和感がラストすとんと落ちるのが個人的に良かった。

    ほかのお話も読んでみたい。

  • 瑛子が近所で見つけたのは、カフェ・ルーズという小さな喫茶店。
    そこで出される世界各地のメニューは珍しいものばかり。
    世界に旅をした気分になるこんなカフェの常連になってしまう。

  • 近所のカフェでの物語 女店主と主人公は昔接点あり

  • 瑛子の元同僚(後輩)の円が営むカフェ・ルーズは、お客様に旅を感じてもらう、がコンセプトのカフェ。
    毎回食べたことのない異国の美味しそうな食べ物が出てきた。
    主人公の瑛子にすごく感情移入して読んだ。
    読後気が楽になった。

  • ドラマ「シェフは名探偵」が面白くて、その原作者のこの本にたどり着いた。”ミステリ”と帯にもあるけど、事件が起きたり、人が死んだりするわけではない。街角の小さなカフェに流れる空気が心地よい。なぜだかわからないけど、最近、本を選ぶときにでさえ、星の数を基準にしていたような気がして、この本を読み終わったときに、そんなことがバカバカしく思えてきた。この本の評価がどうだったかとか、そんなことではなく、主人公が人と向き合っている形というか、姿勢が素敵に思えたということなのか。他の作品も続けて読んでみたい。夏休みにいい本に出会えてよかった。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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