最強のデータ分析組織 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • データ分析に興味がある人は読んだほうが良いということで、前著の講談社現代新書の『会社を変える分析の力』を読んで、その流れで読みました。

    本著では、前著の流れでのデータ分析者がどのように組織の中で貢献していくか、という視点も書かれていつつも、そのデータ分析者を中心とした組織をどう作り運営していくかについて後半かなりのページが割かれています。

    いわゆる、事業部門ではなく間接部門であったりする組織体でどういう存在意義を出していくかについて、大阪ガスという組織の中で長年考えて動かれていた著者の河本さんのちょっとした腹の中も後半見えるので、組織論的な話としても後半おもしろくなってきます。

  • 5年も前に書かれた本だが、この本でのべられたように出来てる日本企業はまだまだ少ないのかなと思う。

  • 一般の企業においてデータ分析組織を立ち上げる参考となる。15年にわたる苦闘の歴史をしっかりと語ってくれている。Googleやアマゾン等の一流のデータ分析組織とはまた全く違った、生々しい日本的な立ち上げ方の参考となる本だと思う。
    分析組織としてのあるべき姿に沿って組織を開発するための方法論が盛りだくさんになっている。それだけではなくこれは、個人のスキルアップや能力開発にも応用できるような気がする。組織を個人と置き換えたときにでもこの本に書かれている内容は非常に役に立つと思う。
    最終章の第7章分析組織のリーダーに求められるものという章の内容が秀逸だった。組織をどのように運営するかこの章を読むだけでも価値があると思う。

  • ・成長を促してくれる仕事は、「責任」が明確「成果」が明確であること。
    ・メンバーのことを絶対に幸せにしてあげたいと思う
    ・リーダーは誰よりも高いモチベーションを持ち、キャリアプランに貪欲で、常に会社を主語にして物事を考え、メンバーや現場とのコミュニケーションを大切にする姿勢を持つ。メンバーはリーダーの背中を見ているから。

  • これは河本さんが語るデータ分析組織を通しての、主に大組織における仕事のあり方、人材育成、組織開発論でした。

    もちろんデータ分析を志す人が読むべき良書でもあります。
    ・なにを、なぜ分析するのか?
    ・分析を目的化させず、事業に貢献することを忘れないこと。
    ・すべてを自前でやろうとしない
    ・実行するため、事業成果を出すために必要な態度
    など、日本のデータ分析に関わる人の示唆がありました。

    良書です。

  • 概要
    大阪ガスには、データ分析専門組織のビジネスアナリシスセンターがある。近年、雑誌に取り上げられたり、講演を開催したり、社内見学を受け入れたりと、巷では評判が高い。1990年代から先行してデータ分析をビジネスに取り入れ始め、社内外で評価され実績をあげる組織に育っている。データ分析とは異なるが、様々な手段で間接部門から事業部門に業務改革を促すことの成功例として、壁の乗り越え方の秘訣について、この本の中で紹介されている。

    ◆組織の話
    ビジネスアナリシスセンターのミッションは、“業務改革”である。業務改革の定義は、以下の通り。
    業務改革:現状の意思決定プロセスの一部を否定し、新たなプロセスに改めること
    業務改善との違いが強調されている。
    業務改善:既存のプロセスを認めた上で、そのプロセスの中で工夫を積み重ねるもの

    ミッション
    1私たちの仕事は社内にイノベーション(業務改革)を起こすこと
    2データと分析力は手段に過ぎない。使うけれども、手段にはこだわらない
    3どれだけ素晴らしいイノベーションを考えても、現場が採用してくれなかったら無意味
    4どういうイノベーションを起こすのか、どうやって現場(人)を動かすのかに知恵を絞る
    5成果はイノベーションの中身ではなく、イノベーションの結果のみ

    ◆壁を乗り越える
    壁を以下の4つに定義
    1事業部門と連携する壁
    使われないデータ分析をしなくて済むように、以下3つのステップで連携する
    -見つける
    ・(業務をよく知る)事業部門の担当者と、データ分析者がコミュニケーションを取るときに発見
    ・お題を待っていてはだめ。事業部門の業務課題をヒヤリングし、何度もできることを議論する
    -解く
    ・問題の設定や前提が現場の感覚と違うことがないよう、連携する
    ・分析結果や進め方と、事業部門の担当者の仮説を融合する
     (使えるなら、分析結果と異なっていても、勘を優先させて良い)
    ・押し付けられた感じがする結果は拒否感を生む
    -使わせる
    ・プロトタイプの作成で、使いやすさを確認
    ・操作の研修などもセットで。
    2会社の経営に貢献する壁
    -分析結果はなんの貢献でもない
    -使ってもらって初めて貢献できる
    3分析組織のメンバーを育てる壁
    -前例、ロールモデルがいないことがしばしば
    -マネージャーの心配り
    4モチベーションを維持する壁
    -便利屋にならない(使われるだけだと続かない)
    -マンネリしないよう、仕事を配分

    プロジェクトをすすめるための3つの作戦
    1隠れる
    はじめは事業部門に内緒で進めて、分析した結果がよければ、提案する
    2刻む
    広範囲の改革でいきなり残帯を提示せず、部品だけを提示し、徐々に全体を完成させる
    絵に描いた餅ではなく、食べられそうな餅になったら全体像を提示する
    3誇張する
    事前に効果が予測できなくても、やるべきという判断をすれば、多少効果を誇張してでも予算を取る。

    ◆分析が使用されないレベル
    1意思決定に役立たない
    部品のLTが7日なのに、3日前にならないと精度が十分な分析になっていないとき
    2意思決定には役立つが使えない
    機械学習を用いた分析ができたが、説明責任が果たせない
    結果責任と説明責任が、担当者の許容値を超えると、採用される。許容値は、担当者の感覚。
    →予測/データ分析だけで全部をやるのではなく、分析が一部を受け持ち、
    最終的には人の感覚でもよい。とにかく使われることが大切。
    3意思決定には使えるのに現場に拒否される
    自らが現場の作業を一通りできるくらいの習熟になる。そうやって初めて、コミュニケーションが広がる

    ◆負け戦に臨まないために
    業務改革の活動で失敗しないために、最も大切なこと
    1現場担当者の本気度が不足しているならやらない
    主体はあくまで現場の担当者。
    2どれだけ頑張っても得られる効果が小さいならやらない。
    対象規模が小さく、一つの分析などで得られる効果が小さいことも
    3素晴らしい予測をしても行動につながらない
    「お宅のガス機器はそろそろ故障しそうなので交換しましょう!」と言われても、顧客がびっくりするので
    営業活動につながらない。

    ◆リソースの最大活用
    ・外部リソースの活用
    限られた人数の分析組織で最大の成果を生み出すために。
    委託できるものは可能な限り外部に任せて、自分たちの時間は、自分たちにしかできないことに投入。
    これにより、受託できる案件が2,3倍になった。
    外部業者(データ分析子会社含む)の従業員を出向で受けて、教育をするといった活動も実施し、
    外部リソースを活用しやすい状況を作った。

    ・事業部門でできることは任せる
    組織の成長のために、事業部門でできることは断る。
    それだけでなく、事業部門自身のデータ分析力を高める施策をうった。
    独自にデータ分析の教育プログラムを作成し、1900人以上が受講。
    ここまでやれるとかっこいいと思う。

    ◆リーダーの役割
    ・マネージャー(センター長)の責任を以下と定義し、メンバーに伝達。
    「万が一、大阪ガスが倒産しても、年収●●万円の仕事に就けるだけの人材に、
    全メンバーを育てます。」人材育成(能力とモチベーション向上)

    ・成果をアピールする。
    社内は、社外の評価に弱い。だから、広報部の協力を得て、活動内容を雑誌や新聞に売り込み。
    雑誌に取り上げられてからは、大評判!
    また、成果を上層部に報告する場面では、メンバーの個人名を出す。
    そして、その個人のブランド価値が上がるように仕向ける。

    ・部下が成長できる仕事を割り振る
    仕事には2種類ある。成長を促してくれる仕事とそうでない仕事
    成長を促してくれる仕事とは、仕事の責任と成果が明確。だからこそモラルハザードが起こらない。
    見つける→解く→使わせるの3つを一気通貫で割り振る。
    責任と成果は、現場に使わせることで、業務に効果がでること。

    ・中計をつくる
    新たに進出する分野などを決めるときには、経営の視点で決めるべき。メンバーには
    それぞれいろんな思いがあるが、経営の視点から、独断でリーダーが決断を下す。
    それをメンバーと共有し、理解してもらう努力を重ねる。

    ・メンバーとの非公式コミュニケーション
    1メンバーが発信するすべてのメールにbccとしていれてもらう
    だいたいの進捗や状況を見えるようにする。
    2毎日、できるだけ多くのメンバーと話す
    3月に一度、メンバー同士で
    商品ではなく、誰がどんなことを頑張ったのかを書いたメモを送りあう。
    リーダーが気づかない各メンバーが頑張っていたことをしるきっかけにも。

  • 解くだけでなく、見つけて解いて使わせる「フォワード型分析者」であることの重要性を学んだ。データ分析者だけでなく技術者にも重要な点であると認識。どうやって組織のモチベーションを保つかなど組織論としても学ぶところの多い内容だった。

  • ためになる。
    Kindle Unlimitedで読めることが分かって読み始めた。

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著者プロフィール

大阪ガス情報通信部ビジネスアナリシスセンター所長。京都大学工学部数理工学科を卒業し、同大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修了後、1991年に大阪ガス入社。2005年、大阪大学にて博士号(工学)を取得。この間、米国ローレンスバークレー国立研究所の客員研究員としてエネルギー消費データ分析に携わるなどの経験がある。2013年、「第1回 データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」(日経情報ストラテジー)を受賞。著書に『会社を変える分析の力』(講談社現代新書)

「2014年 『真実を見抜く分析力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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