[ふゆ side]
魃という神には、人間がひとり、その寿命が尽きるまで仕える。神は人間よりも成長がうんと速く、人間の寿命の半分ほどで最期を迎える。仕いはその最期を看取って、役目を終える。この話は、そういう世界で、魃の父親と人間の母親のもとで生まれた主のレイと、仕いのテオ、ふたりの四季を描いたもの。
レイは魃と人間との初めてのミックスなので、その姿も性質も、魃とは異なり、また人間とも異なる。そのことで父親から疎んじられ、書斎から出ることのなかったレイは、父親が亡くなり、テオとふたりで生活するようになって、初めて誰かに触れるほどに近い暮らしを経験する。テオとの生活はレイにとって好もしいものだったけれども、それはレイにとって良いことばかりではなく。
もう、上の設定だけで、ものすごく心惹かれるのだけど、それが、とても柔らかな絵で、ふたりの様子が印象深く描かれていて、1 ページ、1 ページ、ひとコマ、ひとコマ、すべてのエピソードが、ふたりにとって大事だったり、嬉しかったり、辛かったりするものなのだなぁと、愛しく思いながら読んだ。とてもとてもよかった。