- Amazon.co.jp ・電子書籍 (243ページ)
感想・レビュー・書評
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どのようにAIに学習させたかという話が面白いですね。
AIは何を得意とし、何を苦手とするのか?
というのが よく理解できます。
今の子供たちとAIは
同じことが苦手なわけで
これでは AIに出来る仕事は
人間からどんどん奪われ
AIに出来ない仕事をできる人間がいない
という 最悪のシナリオになるじゃないですか・・・ -
大変興味深い話ばかりでした。
近い将来AIが人間の頭脳を超えると実は私も思っていたひとりでした。しかしAIは数学であって数値化でしか判断できない事。人間が持っている常識や感情などは持たない事。そしてAIが不得意とする読解力は、現代の人間も実は苦手としているというのはあまりにも衝撃でした。
日本の中高生に基礎的読解力を調査した結果に驚き、これをもとに教育現場に反映される事を強く願うと共に、今の子どもたちに良い未来があるよう願うばかりです。 -
AIが人間を超えることがあるのか?
AIが人間の作業を全て置き換えてしまうことができるのか?
AIによる東大合格プロジェクト「東ロボくん」を開発することで、その謎に迫った数学者・新井紀子さんの本。すごく話題になっていましたよね。KindleUnlimitedにラインナップされていたのでやっと読んでみました。
この本を読んでびっくりしたのは2点。
・AIが行っていることの裏側が「理解」ではないのだということ(なのに素晴らしい結果を出したりしていること!)
・そして、子供たちが文章を読んだときに「理解」している率が結構低いこと!
面白い!と思った反面、なんだかゾッとしました。
「東ロボくん」については、なんとなくニュースで見た、気がする…、程度の知識しかなかったのですが、今回、ちゃんと知ることができました。
AIが「設問に答える」とき、どのような処理を行って答えを導き出しているのか、全く知りませんでしたが、これを読んだことで、大体のところが掴めました。
コンピューターは、検索やビッグデータを元にして「一番確からしい答え」を選び出すことはできるけれど、「理解」したり「考え」たりしている訳ではないということに。「理解していない」のに「答えを出すことができる」こともすごいのだけれど、これは人間が「考えて答えを出す」のとは、全く違う方法。機械が人間の脳の働きと同じことをするのではなくて、一番「当たりそうな答えを探してくる」だけ。
色々なパターンの設問に対して、AIが得意なこと、不得意なことを、色々な例を出して説明。
そして、後半では、AIにしたのと同様の数パターンの設問を、子供たち(中学〜高校、さらには大学生や社会人にも)を対象にした試験をすることで、AIと子供たちの比較を行っていました。
AIの開発だけにとどまらず、人間の能力の評価にまで研究対象が広がっているのが面白い。
AI技術の発展や、コンピューター能力の向上によって、一部の仕事はAIにとって変わられるだろう。けれど、AIが不得意である分野では、まだまだ人間が行わなければならないこともたくさんあるはず。それを裏付けたい、という研究だと思うのだけれど、結果は、AIが不得意な分野は、最近の子供たちも不得意であると分かったというものでした。
書いてある文章をきちんと読み解けない。
ちょっとびっくりしました。
実際に試験に使った設問がいくつも書かれていたのだけれど、そんなに難しいものじゃないはず。なのに、子供たちは、文章が理解できてない。設問の中に出てくる数字や単語だけを抜き取って、「答えっぽいもの」を見つけているフシがある。これはAIがやっている処理と同じ…。
ゾッとしました。
このような研究を行ってくれている研究者がいることに感謝したい。今後、どのようになっていくのかわからないけれど、もう少し多くの人がこの事実を知って考えていかなくてはならないのではないだろうか…。 -
「AIはコンピューターであり、コンピューターは計算機であり、計算機は計算しかできない。」だから人間の仕事を全て引き受けたり、意思を持つことはない。シンギュラリティも来ない。
が、人間の強力なライバルになる実力は十分に培ってきている。
AIが代替できない新たな仕事は、多くの人間にとっても苦手である可能性が高い。
AIが人間を超えるためには「常識の壁」がある。「常識」を教え込むためには膨大なデータが必要で現実的ではない。
AIは意味を理解できない。計算しているだけ。
AIに対抗するためには読解力が必要だが、それがない子供が増えている。
テストの問題文がいくつか掲載されているが、本当に簡単な文なのに、中学生の正答率が「ランダム並み」なのに慄然とした。
「中学生の半数は、中学校の教科書が読めていない状況」
読書習慣と基礎読解力の間に相関がなかった、という調査結果はショック。
貧困は読解能力値にマイナスの影響を与えている。
AIに代替されないのは、意味を理解する能力を持つ人。
「AIにより仕事を失った人のうち、人間にしかできないタイプの知的労働に従事する能力を備えている人は、全体の20%に満たない可能性がある」
読解力を付けるためにどうすればいいかは続巻に書かれているようだが、Unlimitedから外れてしまった。いつか読みたい。 -
2018年出版の本だが、有益な内容だった。今となってはchatGPTや生成AIも出ており、この本が出版された時と比べたら格段に進化しているが、AIが人間の脳を超えることはかなり難しいということがわかる。
第二章まではAIについての内容なのでやや難しく感じられたが、タイトルの『教科書が読めない子供たち』に触れるのは本題は第三章から。読解力の低い子供がこんなにも多いのかという現実を突きつけられるし、自分の読解力も怪しいと痛感した。
そもそも教科書が読めなければどうにもならない。ただドリルを解いて暗記するだけの型にはまった勉強ではAIには到底勝てない。プログラミング教育するにも生徒の読解力(論理的思考)が必要だ。教育について考えさせられる本だった。 -
AIが人類の仕事のほとんどを引き受ける、AIが人類を滅ぼすというのは妄想に過ぎない。AIがコンピューターである以上、人間の知的活動の全てが数式で表現できなければ、AIが人間に取って代わることはないと、AI研究者である著者は指摘する。
それなら、AIを恐れることはないのでは?という意見もあるが、それは違う。
AIは人間の知的活動の全ては担えないが、膨大なインプットとアウトプット、計算は人間より得意である。
現在の詰め込み教育の実態は、意味も分からないまま、ただ暗記させて答えを吐き出させること。これではAIとやっていることが一緒である。
AIが苦手な分野、問題文の意味を考えて答えを導き出すことの教育が全くなされていないと著者は警鐘を鳴らす。
特に現在の子供達の能力で劣っているのは読解力。
問題文で何を聞かれているのか分からなければ、当然答えも分からない。
現在、こういった子供達が増えているそう。
そして、これは子供達に限らず、大人にも言える。読解力は中高生ぐらいで基礎力を取得して、その後特別な訓練をしない限り伸びることはない。
基礎読解力さえ身に付いていれば、授業中に居眠りしても後で教科書と問題集をやれば理解できる。しかし、読解力がないといくら勉強時間を費やしても学力が伸びることはない。
基礎読解力は、その後の進学に影響する、ひいては人生に影響するといえる。
では、どうすれば基礎読解力が向上するのか。明確な答えは出ていないが、まずは国語力を身に付けること。残念ながら読書習慣が読解力向上に役立つという相関結果は出ていない。
ただし、貧困と読解力の低さは相関関係がある。
また、読書については忙しいビジネスマンにおいてはさておき、子供においては速く沢山読むことよりもじっくり意味を理解して読むことが大切といえる。
AIに代替されない仕事とは読解力と常識、人間らしい柔軟な判断が求められる仕事。
数学は論理的、統計的、確率的に言えることは実に美しく表現することができるが、それ以外のことは表現できない。つまりAIも同じくこれらのアウトプットができない。
喫緊の課題は、中学を卒業するまでに中学校の教科書を読めるようにすること。
文科省のお偉いさんは、まさか子供達が教科書を読めていないとは思っていない。 -
prime readingの自分にハマる良書。
前半はAI技術で東大を目指した実験の解説。具体的に何ができて何ができないかの線引きを明示してくれる。シンギュラリティはくるのか?、人間を凌駕するディストピアはやってくるのか?に対する専門家の冷静な見解に触れることができた。巷で喧伝されているよりもだいぶ冷静だな。
あくまで圧倒的な量に依存した統計的な判断で、曖昧さをある程度目をつぶっている部分があり、推論や論理的な意味を解析できない。そこにAI技術の限界がある。
後半は翻って現代の10代の読解力にフォーカスし、警鐘を鳴らしている。正直、これ本当の話かって訝しくなるような内容だった。他人事でなく、AIに取って代わられる仕事からはみ出した時に果たして自分は何か価値を創造できる人間だろうか、焦燥感。やはり、ここでもキーワードは「意味」なんだろう。最終章の具体的な仕事の創造性、人間としての本質を追求、細分化しているのだ。
示唆に富んですぎる、今後の調査の報告を熱望しまする。