ナイルパーチの女子会 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 年齢的にはアウトなんでしょうが・・はまりました。すごく共感できた。精神年齢が低いということなんでしょうか、この物語に出てくる女性の誰もが自分だと思いました。ナイルバーチっているだけで廻りを巻き込んで無茶苦茶にしちゃうんですね。自分にも他人にも残酷な生物です。この物語にでてくる。ちょっと太めの派遣事務員の女の子。彼女のような友達の多い明るい人に憧れる時期もあったなぁ。以外にも内面は辛辣で現実的でしたが、私が知っている現実の世界の彼女もそうなのかしら・・?

  • 『ナイルパーチの女子会』というタイトルが言い得て妙。主だった女性の登場人物は皆『ナイルパーチ』の様だと思った。自己肯定感が足りないとか、満足感が足りないとか、居場所感が得られないとか、脆いアイデンティティだとか、表現はいくらでもしようがあるのだと思うが、そうした「弱さ」を補うかのように、「強さ」をもった自分でありたいがために、皆んな必死だ。

    そして、世の中には実際にこういう人もいるし。そういう人は、いわゆる「精神病者」扱いされるけれど、でも、それって、その人にある背景のようなものをみれば、たまたま自分がそういう環境になかっただけの話で、自分もそういう環境にあったら、そして、そういう自覚を持てていなかったら、同様になってしまっていたかもしれないといつも思う。

    この本が多くの人に読まれ、多くの人がすっきりしない感想を持ち、多くの人が嫌悪を抱きながらも、徹底した否定的意見で満たされていないのは、きっと、多かれ少なかれ栄利子だったり翔子だったり、その他の登場人物も含め、それらが抱えている要素に、一定程度の共感が潜んでいるからなのかもしれないと思う。みんなが幸せでありますように。

  • 世の中にいるよねー、愛情をもらって当然って人。
    でも、愛情って無限じゃないのよ〜。それに気づいた2人は成長できたね。
    女友達って絶対必要?そんなに固執することないと思ったけど。

  • 自分もどこかボタンを掛け違えたら、栄利子にも翔子のようにもなりえると思った。。読み進めていくうちに、「なんでそういう風になってしまうの、違うよ」って何度思ったことか。
    同性同士でも、どんな関係でも、自分の思った通りにことが進むとか、言葉にしなくても通じ合えるとかそういうものはないってつくづく思う。

  • ビクトリア湖に放たれ在来種を食い散らして生態系を破壊したナイルパーチと、ほんの些細なきっかけでも人間関係という生態系が壊れてしまう脆さとその尊さをうまく描いていて面白かった。
    真実が例え自分の望むものじゃなかったとしても、一瞬一瞬の記憶や思い出が人生や自分を豊かにしてくれているのだと思う。
    柚木麻子さんって、女性がとても好きなんだろうなと思う。女性の特有の激しさも切なさもやるせなさも柔らかさも愛しさも全部魅力として綴ってるんじゃなかろうか、と思わせるくらい、女性の描写が素敵だな〜と思いながら読んだ。

    物語前半〜中盤あたりが面白くて好き。

  • 初めての柚木さんの作品、とても面白かった

    読み始めは女の友情や、自分勝手な女性が狂っていく感じの話かと思ったが、読了感は全然違った

    現代はSNSを通してより不特定多数の人からスピード感を持って共感を得ることができるようになっていて、共感を得るために暴走するような恵利子みたいな人は増えてきているんじゃないかと思う

    例えば翔子の家族とうまく向き合えない息苦しさをわかって欲しくて、救いを求めるところ、恵利子の働くことで社会に自分の価値を見出していくところ、誰かに自分の行動や考えに対しての共感を求めるようなところは自分にも多くあるなと思った

    2人の女性の物語だけでなく、それぞれの父や母の世代の人間との考え方の違いとそれによって出てくる苦労、介護や実家の問題なども非常にリアルでぞっとした

    柚木さんの作品他にも読みたいと思わせる一冊

  • 女友達というものに対する自らの理想や価値観に縛られて、周りが見えなくなり暴走し堕ちていく栄利子が、とても哀れで悲しかった。
    そんな栄利子に散々痛い目にあわされたはずの翔子の人生が、思いもよらない方向へ行ってしまうのもまた悲しかった。
    彼女たちの中に、自分の中の目を背けたくなる弱さを見つけてしまうから、さらに悲しくなりながら読み進めた。
    けれど結末は救いのあるもので、読んで良かったと思った。
    巻末の重松清さんの解説もお勧めです。

  • 久々の再読。近作のどぎつさは少し控えめかな?でも読んでて結構きつい、身につまされる…ブログの話が中心だけどSNS社会の弊害が克明に描かれている…。しかし同性の友達がいない人にあまり馴染みがないので物珍しい気持ちで読んでしまった。真織のキャラの強さに驚いた。

  • ドラマ化されていたので手に取りました。

    大手商社でキャリア正社員の栄利子とダメ主婦のブログで
    人気になっていた翔子が出会って意気投合する。
    一見よくありがちで上手くいきそうな二人ですが、
    とにかく二人は根本的に真逆な世界に住む二人。
    育った環境、性格、趣味などは正反対。
    けれど何処か共通するところがあり仲が良くなりつつありますが、
    栄利子の執拗な行動、自分よがりの言動などが
    どんとんと翔子にとっては鬱陶しくなってしまいます。
    これ程自己中心的な人であると読んでいて腹立たしくて
    なんて人だと思い翔子に同情をしたくなっていきました。

    たかが数えるほどしか会っていないのに「友達だから」、
    「親友だから」とか言っていつも口癖のように言い、
    物事を何でも上から目線で話していてとても友達にも
    親友にもなれないです。

    どんなに必死になっても才女である彼女にとって
    女友達を作ることだけは苦手というか作ることが出来ない。
    読み進めていくうちに、
    どうして彼女は女友達を作りたくても作れないのだろうと
    思いながら読んでいましたが、
    両親の育て方、育った環境も勿論少しは影響されると
    思いますが、それよりも一番はやはり自分自身の問題が
    一番大きな影響かとも思えてきました。

    相手がどんなに悩み困った状況に陥ったとしても、
    相手の気持ちも考えずにまたどんどんと踏み込んでいってしまう。
    自分が欲しいもの、知りたいものは全て手に入れないと
    気が済まない性格だからここまでいってしまうのかもしれないかと思うと可哀想な人でもあると思いました。

    けれど栄利子だけが何もかも悪いわけでもなく、
    翔子も普通の人から見たならば、
    自分で何か決断することなく面倒くさがりな性分なところが
    あるので栄利子も余計に腹立たしくなってしまうのだと思います。
    普通の友達同士だったならばあまり性格が違いすぎる場合は
    友達になんてならないのでこんなトラブルは無いと思いますが、
    お互いに女友達の距離感が取れない二人にとってはこれが精一杯なのかとも思いました。

    いくら追いかけても女友達になれない栄利子。
    そこへ時々登場する幼馴染だった圭子の言葉が印象的でした。
    「頑張ってもどうにか出来るもんじゃないんだよ。友達だけはさ。」
    その他にも
    「二人が離れていた間、培ってきたスキルが花開くんじゃないのかな。」
    中略
    「女の一瞬でもその場を楽しくする花火みたいな社交性が、
     楽天的な調子の良さが、次に繋がらないかもしれない小さな約束が、
    根本的な解決にはならなくても、実は通りすがりの
    いろんな人たちを救っているんじゃないのかな。」
    友達の大切さ、長年の友達の絆の良さなどが
    ここにぎゅっと凝縮されているようで、
    今までドロドロとした物語がここですとんとリセットされたように
    思えて心にしっかりと刻まれた思いになりました。

    徐々に翔子と距離を置かれると
    本来の自分を振り返ることができたような栄利子。
    そして栄利子と距離を取ると共に嫌いだった父親と
    真正面から向き合うことでまた自らも自分を見直すこととなり
    二人が出会って悪くもない結果も生まれて
    将来に少し明るい光が見えたようで良かったと思います。
    それにしてもここに登場してくる人物は個性的な人が多く、特に派遣社員の真織の言動には驚かせられました。

    栄利子のストーカーのような異常な行動には
    読んでいて驚かせられると同時にハラハラとさせられ、
    かなり物語がドロドロ感と緊迫感がありこれに嵌って
    ページを捲る手が止まりませんでした。
    実際にはこのような女性特有な世界はありませんが、
    女性の友情とは何かと問われたら
    ここに描かれているような世界が人によっては
    あるかもしれないと思わずにいられない作品でした。
    改めて女の友情とは何かと考えてしまいました。

    1月30日からドラマがスタートをしているので、
    それと並行しながら読んでいたので
    更に面白みが増して楽しめました。

    柚木さんの作品は何冊か読んでいますが、
    ぐいぐいとストーリーに引き込まれ、
    女性心理がよく描かれていると思うので読んでみて下さい。

  • バターみたいな友情を期待して読んだのにつらかった

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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