革命前夜 (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 本屋で「何か面白そうなのがないかな~」と見ていて目に留まった本。初めての作家でしたがアタリ!でした。
    ピアノの留学生が主人公なのでクラシックが題材かと思っていたのですが、ベルリンの壁が崩れるまでの題名通り重厚な「うねり」がメインテーマ。後半になればなるほど面白くて結局平日の夜で読み切っちゃいました。「桜の国で」も読もうっと。

  • 歴史的背景を知らない私にはとても興味深かった。
    そんな大昔でもないのにそんな国だったとは・・
    前半ちょっと読むのに時間がかかったが、後半一気読み。

  • 冷戦下の東ドイツに音楽留学したピアニストの眞山はある日美しいオルガン奏者と出会う。

    彼女は国家保安省の監視対象だった。

    罪には罰を。

    誰も信じられない。

  • 須賀しのぶさんの本は、本作が初。えー勿体ない事、もっと早く須賀しのぶさんと言う作家さんに気が付きたかったわ。という訳でしばらく追っかけることになりそう。

    この物語を書くために、どれくらい取材したんだろう。体験することができない素材をどうしてこんな作品にできるんだろう。才能ってすごいね。

    人間の想像力って限界があるって思うけど、体験できないことを素晴らしい物語にできる才能ってすごい。

    ルポじゃなく小説なのがすごいよね。


    体調のせいもあって一気読みできなくて、何度か休み休み読んだんだけど、続きから読み始めるとすぐに本の世界に入れる。えっと前回よんだとこは~とか考える必要もないくらいすぐに引き込まれる。


    ほんのちょっぴりネタばれ。

    罪には罰を。

    でもイェンツのその罰は、罰を引き受ける良心があるからで。彼もまた政治や時代に翻弄されたことには変わりがない。違う国や時代に生まれていたらと思うと残念。

    ラカトシュは、彼も罰を受けたのかもしれないけれど、彼はそれを罰として受け止める人ではないんだなってところに、彼の人の悪さが見えて、それもそれで彼らしくて良いなと思う。

  • クラシック音楽と東欧諸国の激動の描写。空気や温度も伝わってくる。‬ 交響曲などを検索して流しながら読むのがとてもピッタリの本。
    ‪音楽を文章であらわす、にトライしていて、それぞれの楽器の特徴なども伝わってくるのがスゴイ。しかも著者はピアノは弾けないと解説で知って驚く。‬
    本音と建前、表と裏、みたいな見えにくい描写もまだ実はありそうな奥深さ(ラストのネタは解説を読んで理解した)。

  • 舞台は1989年東独。主人公と同じ世代を経てきた者として世界中が固唾を飲んで見守ったあの激動の時代を感慨深く思い返しながら読む。主題は音楽ながらそこにあったのは相互監視と密告が支配する中、賢明かつ巧妙に生きる人々。気付けば四百頁超を一気に読み終えていた。

  • 本の中の世界に連れて行かれて、読んでる時、気分はあの時のドイツにいた。

    皆それぞれに正義があって、裏切りとか酷いことするって本当の意味では無いものなのかなと思った。戦争の中に生きる人たちの、誰が悪いかなんてない。

    「教会に押し寄せてくる人々は、気の長い改革よりも、てっとり早く自分が国から出ることを望んだ。」
    今の日本で、優秀な人から外資企業・海外移住を選択されてることがよぎった。
    ドイツ人と日本人は、全然違うけど似ているのかなと思った。

    須賀しのぶさんの言葉で表現されたみんなの感情がひたすら自分にうつって、揺さぶられて。それこそコンチェルトみたいな本だった。

  • 須賀しのぶさん,初めまして作品.
    歴史的教養・音楽的教養が求められる作品でした.
    歴史を調べたり,普段は聞かないクラシックを聴いたりと楽しかったです.
    ただ,見たことが無い漢字がちょいちょい出てきてちょっとストレスでした.
    前半は怒濤の音楽ですが,後半はさっぱりなのでちょっとさみしいです.

  • 「今日、昭和が終わったのだそうだ」から始まり、
    「たったいま、ベルリンの壁が崩れたわ!」で終わる。

    時代が始まり、終わっていく。
    そして、また始まっていく。

    シュウジ、ヴェンツェル、イェンツ、クリスタ、そしてガビィやヴィクター、ニェット、ニナはどう生きていくのか。彼らは「必ず一度、ばらばらになる。そうしなければ見えないものを、ひとつずつ拾い上げて、再構成」していくんだろう。

    ヴェンツェルの書いた革命前夜が聴きたい。

  • ラストの展開が気持ち良い。どこかでベルリンの壁崩壊があることは予想つきましたが、そこの描写と話の展開の組み合わせが素晴らしく、良い読書体験が出来ました!

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著者プロフィール

『惑星童話』にて94年コバルト読者大賞を受賞しデビュー。『流血女神伝』など数々のヒットシリーズを持ち、魅力的な人物造詣とリアルで血の通った歴史観で、近年一般小説ジャンルでも熱い支持を集めている。2016年『革命前夜』で大藪春彦賞、17年『また、桜の国で』で直木賞候補。その他の著書に『芙蓉千里』『神の棘』『夏空白花』など。

「2022年 『荒城に白百合ありて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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