さよならの朝に約束の花をかざろう [Blu-ray]

監督 : 岡田麿里 
  • バンダイナムコアーツ
4.25
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本棚登録 : 29
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4934569363701

感想・レビュー・書評

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  • なかなか。

    映画館で予告を見て「丁寧なつくりっぽい作品だなぁ」とか思っていたんですがその後すっかり忘却。
    ふとみる機会が出来「あの時の作品か!」で視聴に至る。
    派手すぎない世界観が好印象の佳作。やっぱり丁寧なつくりで最後まで一気にみせる作品でした。
    最後の一点にしぼって泣かせにきている作品なので一緒に見る相手は選ぶ必要あり。

    キャラクタの柔らかさとかやさしい世界観が「どこかでみたイメージだ」と思ったら「凪のあすから」とか「あの日みた~」とかの脚本を書いた人の初監督作品らしい。
    後者は好きでないが前者は大変面白かった。

    「この監督作品ならみてみよう」思わせる出来でした。
    次作も期待しています。

  • 最後にメドメルを抱き締めてほしかった。
    色々言いたいことはあるんだが視聴後の感想はこれに尽きる。

    本当なんで……あの別れ方はないわ……レイリアが駆け出した時てっきりメドメルを抱き締めるんだと思ったのにスルーでダイブて、母親の自殺(未遂)シーンを目撃した挙句「ちょっとの綻び」って言われたメドメルの気持ちを想像すると、胸が痛くてたまらない。
    あんな達観した表情、あんな小さい子がしていい顔じゃない。
    ぶっちゃけレイリアよりクリムより、生まれてこのかた父に愛されず母に会えなかった彼女が最大の被害者……亡国の王女の立場上、捕虜として扱われる未来も踏まえて(さすがに鬱すぎるので、敵国の恩情措置を期待したい)

    テーマは親子愛、もしくは母性愛。
    背景がとにかく素晴らしい。田舎の村の自然物も中世ヨーロッパ風の街並みもスチームパンクな蒸気都市も、緻密に描きこまれた背景に圧倒される。絵を眺めてるだけで満足感がある。
    感情移入できるか否かで賛否両論分かれているが、自分は最後まで面白く観れた。登場人物にガッツリ憑依するより、物語は物語として距離をおいて見ているからかもしれない。

    監督は「あの花」などで有名な脚本家らしいが、該当作を知らなくても面白かった。
    ……が、低評価を付けるレビュアーの気持ちもわかる。
    視聴中、「もったいなあ」と惜しむ箇所は多かった。
    まず主人公、マキアの声がキンキン高すぎ。滑舌もあまりよくなく、所々何を言ってるかわからない。多感な感情の揺れは上手く表現しているのだが……

    そして説明不足。
    序盤に「アカネ病」という病気が出てくるのだが、それがどんな病気でどんな症状か説明が全くなく「え?」となる。王城の会話と遺跡の暴走シーンを組み合わせ、レナトがかかる病だと推測はできるのだが、この手の不親切な省略が目立って地味にストレス。

    マキアとエリアルの関係性の変化も唐突。
    マキアにべったりの幼児から思春期の少年へ、一瞬で時間が経過するので無理もないのだが、あんなに「母さん!」と連呼して懐いてた男の子が、「母さんじゃない……」と拗ねてて、ちょっと待って節目どこ??と困惑。
    エリアルがマキアに恋愛感情を抱いてる事にしたいなら、一気に時間を跳ばす前にもう一段落(マキアを異性として意識するきっかけになる出来事)を挟んでほしい。
    六歳の男の子から十五歳の少年て。大人でも子供でもない、男の子でも男でもない、ばっさり抜けてる十歳前後が母との関係を見直すいちばん重要な時期では……
    さんざんマキアとエリアルの親子の交流を見せられた次のパートで、いきなりマキアに恋愛感情を寄せてるエリアルがフォーカスされ視聴者が置き去り。

    中盤から駆け足の展開も惜しい。
    尺は二時間近くあるのだが、マキアの育児に殆どを割いてるせいで、エリアルとディタの馴れ初めがばっさりカット。そのせいでエリアルの「帰る場所」発言が説得力を持たない。
    視聴者からすればディタは幼少時にチラッと出てきたいじめっ子に過ぎず、なのに再会→結婚の過程をすっ飛ばされ、妊婦として再登場する。
    エリアルが新しく手に入れた家族であり、マキアと対置する居場所を描きたいなら、マキアと過ごしたシーンと同じ位かせめて三分の一の尺はあててほしかった。

    ほか、近隣国と手を組んで変な新興宗教の教祖っぽいのに成りあがったヤンデレクリムなどツッコミどころは満載。終盤に巻き起こる戦争も取って付けたように感じた。
    レイリアとクリムの二度目の再会から、レイリアが激情を吐露するシーン(「私のメドメル」)ではちょっと目が潤んだが、イゾルの掘り下げ不足など残念な感。
    レイリアには敬意をもって接していたが、初登場時は長老をバケモノ呼ばわり。いっそ「イエルフの殺戮に胸を痛め、囚われのレイリアを気に掛けている実直な軍人」に寄せた方がよかったのでは?彼がレイリアにあそこまで尽くす理由もよくわからない、惚れてたならそれがわかる描写がほしい。

    某所で「王子が六年間もレイリアに手を付けなかったのは何故?」という疑問を見た。言われてみれば確かに、国家存亡の折に悠長すぎる。
    王子に嫌われてる描写はあったが、六年間もわがまま通るか?
    誘拐・監禁されたストレスで体調を崩していたとか、イエルフと人では免疫機構が異なるので妊娠が難しかったなど仕方なくこじ付けているが、「女はさらえ!」の命令に反しごく僅かな生き残りを除いて殺されたぽかったり、辻褄が合わない部分が多くてモヤモヤする。
    マキアがディタの出産を手伝うところはキレイに描きすぎ。いやいやお産なら子供が出てきやすいように脚広げるでしょ?足掴むでしょ?悠長にハグなんかしてる場合かとツッコミたい。

    個人的に最大の不満は冒頭に挙げたメドメルの扱い。
    本作の主軸はあくまでマキアとエリアルの疑似親子関係だとわかっているのだが、それと対比する役柄としてレイリアとメドメルを出したなら、せめてもう少し掘り下げてほしい。あれではただただメドメルが可哀想。レイリアも何であんな言葉投げかけたの……
    メドメルの為を思って、とか語られざる心情があるんだろうが、その心情を(マキアとエリアルの尺の何分の一か使って)言うか描くかしてくれ……直前までめちゃくちゃ会いたがってたじゃん。

    視聴後の勢いに任せて不満点を挙げ連ねてしまったが、二時間近く飽きずに見れたので、佳作だと評価したい。

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著者プロフィール

監督、脚本家。2011年に国民的大ヒットアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の脚本を手がけ、一躍脚光を浴びる。その後、『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』など数々のヒット作の脚本を担当。初監督作品の『さよならの朝に約束の花をかざろう』では、第21回上海国際映画祭で最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、アニメーション監督としても世界で注目を集めている。

「2023年 『アリスとテレスのまぼろし工場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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