筋肉は本当にすごい　すべての動物に共通する驚きのメカニズム (ブルーバックス) [Kindle]

著者 : 杉晴夫

• 講談社 (2018年9月19日発売)

感想・レビュー・書評

[inu-no-mimiさんの感想 · 2022年5月7日]

この本は続編らしく、著者自ら、一般向けに苦心して書いた第1作よりも今回は自分が書きたいことを書いたと記している。過去に実績を出した老人あるあるかもしれない・・・


P39　「筋肉は天然のリニアモーターである。」回転式モーターに対し、直線的な方向に動力を発生し運動するのがリニアモーターである。【中略】ミオシンフィラメントから突き出たミオシン頭部こそが、筋肉リニアモーターを駆動する超微小エンジンであることが分かった。

P166　猛禽類は地上に獲物を発見すると、翼を畳んで落下する物体となり、一直線に獲物めがけて落下する。しかし獲物の近くまで落下すると瞬時に減速して翼を広げ、獲物を捕らえて上空に上昇していく。このような驚異的な鳥類の行動は、人類にこれを模倣する気さえ起こさせなかった。

P188　我々人類の骨格筋の自由意思による運動は、ピアニストの指の素早い動きを含めて、すべて完全強縮か不完全強縮である。（単収縮が起こる唯一の例は膝蓋腱反射）

P210　ヤリイカの巨大神経線維は生理学者によく用いられ、多くの知見が得られた。【中略】一般生理学の理念は、「生物の示す生命現象の基本原理は、どの生物でも同じであり、したがって研究者は研究対象の解明に最も適した動物を使って実験すればよい」というものであった。（それが徐々に「イカを使ってはイカン」ことになってしまった）

著者プロフィール

帝京大学名誉教授

「2021年 『筋収縮の謎 研究の歴史とこれからの課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」